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    住めば都

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    住めば都

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    あくねこ、ハウレス夢。恋人設定。
    夜の見張り台でハウレスと星を見る話。
    特にヤマもオチも深い意味もない。イチャイチャしてるハウ主が書きたかっただけ。

    #aknkプラス
    aknkPlus
    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #aknk夢
    #ハウレス
    howles.

    星の夜 星を見に行かないかという誘いに、ハウレスの主人であり恋人でもある女は、にっこり笑って頷いた。拒否されるとは思っていなかったが、それでも受け入れられると嬉しいものだ。ハウレスは微笑みを返し、彼女に手を差し出した。
     陽はとうに落ちて、屋敷には夜闇が蟠っている。ロウソクだけが光源の視界では足元が疎かになるからと、女が夜の屋敷を歩くときは、その日の担当執事が手を引いてエスコートするのが常となっていた。
     主人の部屋のある二階から階段を上がり、三階の細い廊下を奥へと進む。見張り台へと続く階段を上がって扉を開け放てば、一気に視界が開けた。
    「屋敷の中より、外のほうが明るいんだね」
     歓声に続けて、女が言う。彼女の視線はすでに、数多の宝石を散りばめたような星空に釘づけだった。
    「そうですね。今夜は月がないのでもう少し暗いかと思っていましたが……ここは、空に近いからでしょうか」
     応えるハウレスの視線は、空を仰ぎ見る女の横顔に向けられている。花や景色、今年の夏にフガヤマで花火を見たときもそうだった。主人とともに美しいものを見るとき、ハウレスの視線はいつも彼女の横顔に吸い寄せられてしまう。
     だって、美しいのだ。暗い色の瞳に星を映し込んだ彼女の横顔は、ハウレスにとっては満点の星空よりよほど魅力的だった。
    「……っくしゅん」
     すっかり女に魅入っていたハウレスを我に返らせたのは、彼女の溢した小さなくしゃみだった。今の季節はまだ、そこまで冷え込みが厳しいわけではないが、部屋が温かかった分、寒く感じるのかもしれない。
     ハウレスはとっさに、恋人を抱きしめた。こうして触れ合うとき、彼女はいつも「ハウレスは温かいね」と言ってくれるのだ。
    「……ふふ」
     大人しく腕の中に収まった女が、今度は小さく笑い声を立てる。どうかしたのかと訊ねると、彼女は嬉しいのだと答えた。
    「嬉しい、ですか?」
    「うん。だって、執事としてのハウレスはきっと、こういう方法は取らないでしょう?」
     言われて初めて、ハウレスは自分の行動の大胆さに思い至った。
     確かにそうだ。執事としてのハウレスであれば、くしゃみをした主人にこんな態度は取らない。来たばかりではあるが体を冷やすといけないからと言って、部屋へ戻ることを提案するか、さもなければ、自分の上着を脱いで差し出すだろう。こうなることを想定して、最初からブランケットを用意しているような気もする。
    「そう、ですね……すみません、とっさに体が動いてしまって……」
    「謝らないで。嬉しいって言ったでしょう?」
     細い腕が、ハウレスの背に回る。彼女は体の力を抜いて、凭れるように恋人の胸に顔を埋めた。
    「執事だから、主の私を大事にしてくれるんじゃなくて。ただの私を、私だから大事にしてくれてるんだってわかって、嬉しいの。それに、執事としてじゃなくて、恋人として傍にいることに慣れてくれたことも」
     主人と使用人としてではなく、互いを思い合う恋人として。それは自分だけではなく、彼女にも言えることだろうとハウレスは思った。
     ハウレスたちが良き執事で在ろうと振舞うように、彼女もまた、良き主人で在ろうと心がけている。線を引いて、踏み越えないように。どんなに疲れて辛くとも、過分なわがままを言って困らせないように。
     今、こうして温もりを求め身を寄せてくれるのは、ハウレスが彼女の恋人だからだ。主人ではない彼女は結構甘えただし、可愛らしいわがままも言う。そういうところが愛しくて堪らないと、ハウレスは常々思っていた。
    「しかし、これでは星が見えないですね」
    「確かにそうだねえ」
     楽しそうに笑い声を立てた女が、ハウレスの胸に手をつく。意図を察して少しだけ身を離すと、間近に星のような瞳が見えた。
    「もう少しだけ、こうしていたい……って言ったら、困る?」
    「いいえ。俺も、同じことを考えていました」
    「……そっか」
     はにかんだ恋人と、そっと額を合わせる。どちらともなく目を閉じて、やがて唇が重なった。
     もう少し、あと少し、このまま。愛しいひとと温もりを分け合うひとときに浸っていたい。同じ願いを抱いていると知っているから、二人はしばらく腕を解けなかった。
     そんな恋人たちの頭上で、星々はただ静かに瞬いている。宝石を散りばめたような輝きは、人間たちがその美しさを逢瀬の口実にしていることなど、知らぬ存ぜぬと言わんばかりだった。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
    1511

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