雪の日 集会のない夜は暇だ。しかも今日の予報は「夕方から雪」。予定のない放課後をどうするか、決まらないまま万次郎と堅は下駄箱までにたどり着いてしまった。カコンと軽い音をたてて万次郎は下駄箱から靴を取り出した。
「ほんとに降ってきやがった」
一足先に玄関先に出た堅の背中に万次郎は駆け寄った。空に向かって睨みを利かす堅の隣に並んでふわりと落ちてくる白い粉雪と眉を寄せる堅を見比べて、つい口元が緩む。
寒さに肩を窄める堅の隣で「ケンチン、見ろよー」と万次郎は粉雪が舞う空に向かって緩く白い息を吐く。ふたりで並んで見上げた空に白い息がふわりと浮かんで消える。ふわりふわりと白い結晶が舞う空を難しい顔をして睨む堅をこっそりと覗く。
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