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    kototo7777

    @kototo7777
    二次創作、小説、クロイン中心。短め、供養、没案、なんとなくこっそり置いておきたいという作品をアップしています。

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    kototo7777

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    クロインSS。FEH世界線。外転89「女王に捧ぐ風」を前提としたクロード×イングリット(互いに少し気になってる状態)の話。和風衣装のクロードに触発されて書いたもの。外伝89に登場したカチュア、ダグも出てきます。勢いで書いたので、後で気に入らなくなって消すかもしれません。

    祭りの後 アスク王国。幾度もの危機に瀕するこの国には、今、異界の様々な英雄達が集っている。フォドラの士官学校の生徒であり、フォドラ十傑と呼ばれる英雄の血筋であるイングリットもこの地に召喚されてきた。まだ学生の身である自分が何故召喚されてきたのかは疑問であったが、それでも槍に馬術、天馬の扱いにと日々鍛錬を積んできた身の上。自分の力を少なからず求め召喚してくれた召喚士やアスク王国の人達のためにも、出来うる限り力を尽くそう……そう決意を胸に彼女のアスク王国での生活が始まった。

     しかし、そうはいっても毎日毎日、絶えることなく戦っているのでは身も心も疲弊してしまう。戦いのない時期は束の間の休息期間として、皆、思い思いの日々を過ごしている。

     アスク王国城内の食堂。そこでイングリットは同じくフォドラから召喚されてきた金鹿の学級の級長クロードと食事を共にしていた。フォドラでは見たことがない一風変わった装束を身に着けた彼は最近、この地に呼び寄せられた。

    「この服で風の部族のお祭りに参加してきたのですね。随分とその……派手というか、奇抜といいますか」

     アスク王国に来てから、それなりに短くない時間を過ごしている。異界の様々な英雄達の姿を目にしてきたがクロードが身に纏うのは、その中でも「着物」と呼ばれる衣装の形に近いと思った。黒色の下穿きに、帯と呼ばれる腰布から上の片方は鮮やかな金色、もう一方は白地に細やかな金色の模様が浮かんだ布地。華やかな祭りの中でも目立ち、さぞかし映えたことだろう。祭りに参加したのであるから、それに合わせた衣装になるのは当然ではあるのだが、しかし。

    「ちょっと胸元が……はだけすぎではないかと」

     イングリットの知っている着物は首元から下はしっかりと閉じられていたはず。クロードが身に着けているそれは胸元があからさまに開いてしまっている。そしてそれだけならいいのであるが、はだけたその下に首から胸元にかけて生身の肌がしっかり見えてしまっていた。一応黒色の羽織物のような下着のようなものは見えるが肩からその下をほんの少し覆っているに過ぎない。

    「ん?まあ、そういう衣装だからなあ。年頃のお嬢さんってわけじゃないし少し開いてるくらい問題ないだろ」

     イングリットの指摘に対しクロードは全く意に介する様子はない。全く人の気も知らないで……とイングリットは自分の正面で美味しそうに食事を口に運ぶ彼に対し、恨めし気な表情を浮かべる。
     不覚にも彼の逞しく引き締まった身体を目にして、どきりとしてしまった。以前水着姿の彼も召喚されてきたこともあるので彼の身体を見るのが全く初めて、というわけではない。しかし水着という明らかに露出する場面での装いと、今回とではまた状況が違うように思えた。少しだけ見える、少しだけ露出している、という状況。そのことが今のイングリットを悩ませる要因となっていた。

    「それより、祭りの時にさ……」

     彼が笑いながら祭りでの出来事を話始め肩が僅かに上下する。と同時に右肩を覆う布地が肘に近い位置にまでずれて、やはり何も覆われていない生身の上腕部分がイングリットの目に飛び込んできた。ああ、やはり弓の鍛錬を積んでいることもあって、引き締まったしっかりとした筋肉がついているのだな……と思わず見惚れてしまう。

    「そうですか、そんなことが」

     平静を装いつつクロードの話に相槌を打つが内心穏やかではなかった。一体全体自分は何を考えているのか、この地でアスクのために戦うのだと強く決意したのに、少し男性の肌を見てしまっただけでこの体たらく。全く情けないと思った。そして、そんな自己嫌悪の沼に陥いろうとしていた時だった。突然食堂内の床をばたばたと鳴らす大きな音が耳に入ってきた。その音はどうも2人の食事しているテーブルに向ってきているようで、クロードのすぐそばまで来たところでぴたりと止まる。

    「クロード、ここにいたんだ!」

     彼女は周囲の者達も思わず振り向くほどの大きな声で彼に呼びかけてきた。イングリットは天井を見上げるのに近い角度で首を後ろに傾ける。そうしなければ相手の顔を確認することが出来なかったからだ。それだけの背丈、大柄な体躯の持ち主だった。

    「まあ、ダグ王女!こんにちは」

     巨人族の国ヨトゥンのダグ王女。鍛え上げられた腹筋と上腕が露わになった衣装を身に纏っており、彼女も今回クロードと共に祭りに行ったと聞いている。大胆な衣装ながら、いやらしさは一切ない彼女の肉体は芸術的ともいえるもので、イングリットは先ほどクロードに感じていたのとはまた別の理由で彼女の身体に見入ってしまう。ダグはかなり上方からイングリットを見下ろすように顔を向けると、にっと笑みを浮かべる。

    「おっ、イングリットか。ちょっとクロードに用があってさ」
    「ああっ……姉さんか、どうしたんだ?」

     ダグの登場にクロードが臆したような顔つきになり、珍しいこともあるものだとイングリットは目を瞬かせる。

    「あんた、また、風車忘れただろ」

     彼女にそう言われて「えっ?」とクロードが自らの懐を素早く確認する。

    「あれ、本当だ、ないな」
    「だから持ってきてあげたんだよ、はい!」

     ダグはそう言いながらクロードの前……というよりもクロードのかなり上方に風車を持った手を差し出した。クロードは椅子から立ち上がり、少しの間、風車を見上げた末に「姉さん……」と息を吐く。

    「もう少し、手を下に向けてもらえると助かるんだが」

     目が笑っていない。しかも放たれる言葉の口調もどこか硬い。なんともいえない異様な雰囲気が2人の間に漂っていた。イングリットは訳が分からず、そして口を挟むことも出来ず2人のやり取りを見守っていた。そしてその2人の中に新たに割って入ってきた人物がもう1人。

    「もう、ダグ王女ったら、また、こんなことをして!クロードはもう少し下にしてあげないと」

     空色の髪に祭りの装束を身に纏った女性……アカネイア大陸から召喚されてきた天馬騎士のカチュアが咎めるような口調でダグに声をかけてきた。彼女も風の部族の祭りに参加したメンバーの1人だ。するとダグは「あっ!そうだった、ごめん!」と悪びれることなく、笑いながら謝るとクロードの手の届く位置にまでその腕を下げる。

    「悪いな、姉さん」

     クロードが風車に手を伸ばす。

    「一応、普段から気を使ってはいるつもりなんだけど。フォドラの男だと大体これくらいの位置かなって思って」
    「ははっ、そうかい、まあフォドラの男といっても、色々だからな」
    「ディミトリとかシルヴァンとかローレンツとかは、さっきの位置で大丈夫だったからさあ!ついつい」

     風車に手をかけたクロードの手がぴたりと止まる。

    「ちょっ、ちょっと、ダグ王女!そんなこと言ったらクロードが傷つくわ、可哀そうでしょう!フォドラの男性がみんな彼らのように大きいわけではないの!」
    「いや、カチュア、その程度のことで俺は傷つかない……」
    「あっ、クロード、傷ついちゃった?ごめん、ごめーん!」
    「もう、ダグ王女、ふざけないで、もっと真面目に……」
    「カチュア、もういいって、本当に俺は……」

     何かを諦めたようなクロードの引きつるような笑み。イングリットがこれまで見たことのない彼の姿があった。


    ****

     とんだところを見られてしまったとクロードは自分の隣を歩く人物を横目に密かに溜息をつく。イングリットと食事を終え、共に自らの部屋に戻るところだった。

    「なあ、イングリット、何でさっきから笑ってるんだ。やけに楽しそうなんだが」

     食堂を出た後から何故かニコニコしているイングリットにクロードは訝し気に声をかける。説教モードでないのは有難いしニコニコしているイングリットは正直とても可愛いと思っているので、そんな彼女を間近で見られるのは本来なら喜ばしいことではある。しかし先程の状況からの流れを考えると、ニコニコの理由はクロードにとって実に不本意なものであることは容易に予測が出来た。

    「えっ?いえ、別に楽しい、というわけではないのですが」

     クロードの問いかけにイングリットの顔が一瞬しまったといった表情に変化する。しかしすぐにまた「ふふっ」とふんわりとした笑みを浮かべながら、その理由を口にする。

    「あなたがあんなに人にやり込められているところを見るのは初めてだったので……少し珍しくて、面白かったのです」
    「やっぱ、楽しんでるだろ。はーっ……別にやりこめられてたわけじゃないんだけどなあ」

     確かにダグの行動に対して少し、むっとしてしまったのは事実だ。彼女にクロードをからかおうとか、やりこめてやろうとか、そんな気持ちは一切なかったことは分かっている。しかし、だからこそ、だろうか。少し、ほんの少しだけ以前から気にしていたことを改めて自覚させられて自分らしからぬ態度をとってしまった。

    「他の奴らには今回のこと言わないでくれよな」
    「身長のこと、ですよね。勿論です」

     よりによってイングリットに知られてしまったことは不覚としか言いようがない。

    「でも、そんな気にすることではないと思いますよ。人は皆それぞれ違うのですし」
    「うっ……まあ、確かにそうだが。ただ、まあ一応級長で……次期盟主だしな、それなりに威厳もあった方がいいと考えると、大きいにこしたことはないだろ」

     取り繕う気にもなれず思わず本音を漏らす。全く恰好悪いにもほどがあるが少しやけくそな気分になっていた。

    「未来のあなたも、ここにはいますが……。身長は変わっていないようですが、威厳と風格はそれなりにあるかと」
    「……地味に傷口抉ってくるよな」
    「えっ!?そんなつもりは」

     そう、これから少しは身長も伸びるだろうと期待していたが、未来の自分は今の自分と全く同じ身長だった。その事実を知った時は愕然としてしまった。

    「だが、まあ、うだうだ考えても仕方ないよな。俺はこの現実をしっかり受けとめて、これからの人生を生きていくことにしよう」

     とはいえ、いつまでも気にすることではない。クロードは気持ちを切り替え、厳かな表情で、そして大仰な口調でその決意を口にした。

    「もう、何を大げさな」

     クロードの言い方がおかしかったようでイングリットが吹き出すように笑い、彼もまた、つられる様に笑みを浮かべた。そして、ひとしきり笑った後にクロードは少し迷ってから「なあ、イングリット、今度良ければだが」と彼女に呼びかける。

    「風の部族の村に今度一緒に行ってみないか?勿論、次の戦いが終わって時間が出来たら、なんだが」

     果たして彼女は、この誘いに応じてくれるだろうか。

    「風の部族の村に、ですか」
    「ああ、カチュアが言っていたんだ。ペガサスで駆けるのに、あの村にはとてもいい風が吹いているって」
    「いい風が……それは興味深いですね」

     真面目に考えこむ表情にイングリットが前向きにクロードの誘いを検討し始めているのが分かった。しかし、彼女はやがて残念そうな表情を浮かべる。
     
    「行ってみたいのは、山々なのですが。今の私の相棒はペガサスではなく馬なのですよね……」
    「あっ」

     言われてみればそうだった。士官学校では天馬騎士としての鍛錬を積んでいたはずだが、アスク王国に召喚された彼女の職種はソシアルナイトだ。彼女の様子を見るにクロードの誘いを断る口実として、そう言っているわけでもなさそうだ。何か方法はないかとクロードは束の間思考した末「それじゃあ」とある提案を持ちかける。

    「ペガサスの背中とはまた感じ方が違うかもしれんが。俺のドラゴンに一緒に乗っていくってのはどうだ?」
    「えっ!?さすがにそれは、あなたの負担に……村までの距離もそれなりに……ありますよね、その間ずっとあなたと……?」

     クロードの言葉にイングリットが大げさとも言えるほどの驚きの表情を浮かべる。驚いている、というより焦っているようにも見えた。口調は、しどろもどろで、何故か視線を逸らされてしまう。

    「あ~っ、まあ、無理にとは言わんが……」

     任務や戦場で急を要する時ならいざ知らず、さすがに物見雄山で異性と同乗することには抵抗があるか。かくいうクロードも自分で言っておきながら不作法だったかと後悔する。これは怒られるかと覚悟をするもイングリットは「いえいえ!」と首を横に振った。

    「そうだ、水着の私か2年後の私にペガサスを借りられないか頼んでみます!少しの期間なら何とかなるのではないかと」
    「ああ、その手があったか!」
    「それでしたら、早速交渉してみます!では!」
    「おいおい、そんな急がなくても……っと、行っちまったな」

     最後のクロードの言葉はイングリットの耳に入っていないようだった。とはいえ、ひとまず彼女との約束が取り付けられそうでほっとした心持ちになる。両手を後頭部に回し空を見上げつつ、先ほどのイングリットの笑みを思い浮かべる。風の部族の村でもあの笑みが見られればいいのであるが。

    「ま、そこそこ脈はある、と見ていいのかねえ」
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    kototo7777

    MOURNINGクロイン。グロンダーズ会戦後、祝勝会の時の2人。関係としては両片思いの状態。もっと手直ししたり、もう少し色々書き加えたいと思っていたのですが長らく放置していたため供養。
    仲間だから 同盟、帝国、王国……三つ巴の戦いとなったグロンダーズ会戦。深い霧が立ち込める中、敵味方がはっきりと認識できない中でのその凄惨な戦いは同盟軍の勝利に終わった。ファーガスの王子ディミトリは帝国兵に討たれた。アドラステア皇帝エーデルガルトは退却し、帝国はメリセウス要塞の守りを固めつつある状態だった。

     会戦から数日後、ガルグ=マク大修道院の大広間では此度の戦の祝勝会が行われていた。討つことは叶わなかったものの皇帝自らが出陣してきた戦いで勝利を収めたことは大きい。まだ戦いは終わっていないという緊張感は持ちつつも、同盟の兵達はこの勝利の宴で、束の間の休息ともいえる時を過ごしていた。

    「盟主殿!ベレト殿!」

     祝勝会では当然、同盟軍の中心的立場である盟主のクロード、そして的確な指揮で同盟軍を勝利に導いたベレトの2人が兵士達から引っ張りだこの状態だった。2人も勿論兵士達を労うために忙しく大広間内を駆け回っていた。そして、ようやく乾杯の音頭からしばらく続いていた盛り上がりが落ち着いた頃、クロードは大広間を見渡して、ある人物の姿がないことに気付く。
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    kototo7777

    DONEクロイン。ED後パルミラ宮中で。捏造名前ありオリジナルキャラ視点(ナデルの姪で名前はナディア。イングリットの新米侍女兼護衛)のお話なのでご注意ください。クロードは本名表記。
    思い出(※捏造キャラ視点その2) 早朝……ようやく日が昇るかといった頃合いの時間、パルミラ王城内の訓練場では掛け声と共に槍を交わす音が響き渡っていた。

    「させません!」

     相手の攻撃をかわしたナディアは、体勢を立て直し反撃に出た。相手は渾身の一撃を放ってきたが、なんとか、かわすことが出来た。大きく隙が生まれているはずだった。勝てる、と確信する。

    「遅い!」
    「えっ!?」

     速さには自信があったのだが、相手の方が上手だった。あると思っていた隙が全くなく動揺したところを打ち込まれ、気づくと手にあったはずの槍が床に転がっていた。

    「このくらいにしておきましょう」

     ふーっと、息を吐き、目の前の女性は槍の構えを解いた。その女性をナディアは複雑な面持ちで見つめる。白い肌、ブロンドの髪、一見華奢にも見える、すらっとした体形。パルミラの子供向けの絵本によく出てくる異国のか弱いお姫様がまさに彼女のような外見をしていたように記憶している。だから、きっとこの女性もそうなのだろう、自分が守らねば……そう初対面の時は思ったのであるが。
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    kototo7777

    MOURNINGクロイン供養。支援CとBの間のクロードの思考。グリットちゃんは、ほぼ出ない。
    人を信用できていない頃のクロードは、どんなことでも疑ってかかっていたんじゃないかという話。(実際のところ、そこまでクロードは考えてなくて、もっと軽い気持ちでの会話かもしれませんが……)
    「もう少し柔らかくならないもんかねえ」

     ぷんすかと怒りながら去って行くイングリットの後ろ姿を見送りながらクロードは溜息をつく。彼女に説教を受けるのは何度目になるか。なんだって他学級の彼女にそこまで言われなきゃならないのか。突然現れたリーガン家の嫡子にして次期盟主。そんな自分に対し不振の目を向ける者、警戒する者は決して少なくない。しかし彼女は王国貴族だ。互いに直接的な利害はないように思えた。

    「何か目的があるってことか?調べてみるかね」

     王国貴族のガラテア家が自分を探る理由。主な貴族達の情報は頭に叩き込んでいるが、まだまだ自分が知らないことはたくさんあるだろう。きっとイングリットが自分に関わらなければならない理由があるはず……そう思った。利がないのに、わざわざ、あんな風に構ってくるなぞおかしいではないか、と。しかし、様々な伝手も使い調べたものの、特にこれといった有力情報は掴めなかった。
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