翳の王「駄目だ、伏黒!!俺が行く!」
反射を繰り返す光にぼやけ始めた虎杖の視線の先に、蹲った伏黒のシルエットがあった。
演壇上からの強烈なスポットとあるはずのない光源からの凄まじい光の乱反射、網膜に灼き付く不快な白が氾濫する。
「くそ…」
微かな禍々しい呪力の流動のみが僅かに光の迸る床から感じられる。
凄まじい速さで光の壁の中を移動する呪力を、同じく呪力で追うが虎杖の反射神経をもってしても未だに捉えられずにいる。
ヒカリアレ
狂騒的な、けたたましい笑い声とともに溢れた白い悪意はいまや世界を塗りつぶし、影という影を駆逐していた。
くそ。
なにか手はないか。
こんな時いつも冷静且つ的確な戦略を叩き出す伏黒の術式が無力化されてしまった。
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