avenir未来を信じて戦ってきた。
先の見えない戦いだろうとも、鬼殺隊は全員、鬼を滅するために戦い続けた。
それは鬼のいない世界を求めて。
炎柱として、俺は悔いのない人生を駆け抜けたのだと。
そして今、生まれ変わった先は鬼のいない、望んでいた未来。
平和であることは尊く、優しい弟が無理に戦うようなこともなく、父上が酒に溺れることもなく……母上が病で亡くなることもなかった世界。
なんと素晴らしいことか。
そして、家族は記憶を持ってはなかった。鬼殺隊の他の隊士とも再会したがその誰もが記憶を持っていなかった。柱であった宇髄、不死川、冨岡……、その誰もがだ。
それで良いとは思っている。
悲しく辛いことばかりではなかったが……沢山の人々が犠牲となった。そんなことを覚えていなくて良い。ましてや生まれ変わったのだから。
1960