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    miyu_hoshiya

    @miyu_hoshiya

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    miyu_hoshiya

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    映画で久々に書く気持ちになったのでワンドロに参加させていただきました。
    お題に沿っていると信じたいです。

    ##降風

    【ワンドロ】貴方が降りてくるのを待っている【勝負】 風見が警察官になるという夢を持った時、彼はきっとあの人のようになりたかった。はるか先を独りで走る、どんな表情をしているかも分からないあの人のように。風見は上司のようにこの国で暮らす人々の平穏を守りたかった。

    「落ちるなよ、風見」

     英雄と共に走ることなんて、自分にできるわけもないと思っていた風見を引っ張り上げたのは、恐れすら抱いていた英雄たる彼の上司だった。『貴方のように輝くことなんてできやしないんだ』と現実に打ちのめされ、地面を見つめがちになっていた風見の手をすくった上司の掌は燃えるように熱い。上司はアニメや漫画の登場人物ヒーローではなく、血の通う生きた人間なのだという当たり前のことを、その時風見は初めて正しく認識した。
     だからこそ、上司が生身で空を飛んでみせた時、「空を飛ぶなんてとんでもない真似しないでくださいよ。見ているこっちの肝がつぶれそうです」なんて悪態をつくことができたのだ。彼の愛車の修理費だって、生きていればこそだ。
     とんでもない状況から幾度も生還する呆れるほどの豪運を持った上司は、まるで鉄棒の着地を決めただけのような顔をして風見を振り返る。

    「行くぞ、風見」

     背中合わせではなく、風見が上司の隣にあることを自然な事として受け入れられるようになった今でも、あの人は懲りずに宙を舞う。
     ごうごうと流れ星のように命を燃やすその光がより輝くよう、決して絶えぬよう風見は帳を下ろす。

    「信じてますから」

     自分の役目はヘリコプターへ向けて共に飛ぶことではない。
     量産された中和剤を積んだ消防車両が現場へ近付くのを確認し、風見は己へ自分で勝手に押していた落第の印に×を書くと、上司から指定を受けた場所へと地を蹴った。
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