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    hozumiya

    @yoru_h_i

    書いたものを投げるところ

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    hozumiya

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    映画で久々に書く気持ちになったのでワンドロに参加させていただきました。
    お題に沿っていると信じたいです。

    ##降風

    【ワンドロ】貴方が降りてくるのを待っている【勝負】 風見が警察官になるという夢を持った時、彼はきっとあの人のようになりたかった。はるか先を独りで走る、どんな表情をしているかも分からないあの人のように。風見は上司のようにこの国で暮らす人々の平穏を守りたかった。

    「落ちるなよ、風見」

     英雄と共に走ることなんて、自分にできるわけもないと思っていた風見を引っ張り上げたのは、恐れすら抱いていた英雄たる彼の上司だった。『貴方のように輝くことなんてできやしないんだ』と現実に打ちのめされ、地面を見つめがちになっていた風見の手をすくった上司の掌は燃えるように熱い。上司はアニメや漫画の登場人物ヒーローではなく、血の通う生きた人間なのだという当たり前のことを、その時風見は初めて正しく認識した。
     だからこそ、上司が生身で空を飛んでみせた時、「空を飛ぶなんてとんでもない真似しないでくださいよ。見ているこっちの肝がつぶれそうです」なんて悪態をつくことができたのだ。彼の愛車の修理費だって、生きていればこそだ。
     とんでもない状況から幾度も生還する呆れるほどの豪運を持った上司は、まるで鉄棒の着地を決めただけのような顔をして風見を振り返る。

    「行くぞ、風見」

     背中合わせではなく、風見が上司の隣にあることを自然な事として受け入れられるようになった今でも、あの人は懲りずに宙を舞う。
     ごうごうと流れ星のように命を燃やすその光がより輝くよう、決して絶えぬよう風見は帳を下ろす。

    「信じてますから」

     自分の役目はヘリコプターへ向けて共に飛ぶことではない。
     量産された中和剤を積んだ消防車両が現場へ近付くのを確認し、風見は己へ自分で勝手に押していた落第の印に×を書くと、上司から指定を受けた場所へと地を蹴った。
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    recommended works

    KaraageMitsu

    MOURNING #ルクヴィル版ワンドロワンライ60分1本勝負


    【秘密】


    時間内に書けなかったので。




    *****************
    『願いが叶う赤いリンゴ』

    それは、伝統あるポムフィオーレの寮長が、代々受け継ぐものの一つ。

    「ヴィル、少し話があるんだけどいいかな?」

    外の仕事から戻ってきて、そろそろ一時間ほど経っただろうか。
    恐らくこれぐらいの時間であれば、ヴィルの白く美しい肌を保つための入浴を済ませ、柔らかな表現を可能にするためのストレッチも終えた頃合い。

    留守の間にあったことを報告するために、彼の自室を尋ねるが一向に出てくる気配がない。

    「ヴィル?」

    私の隣にあるヴィルの部屋の扉が開く音がしたのは、一時間前の一度きり。
    つまり、再び出かけたとは考えにくい。

    …となれば、残された場所は一つ。

    鏡台の一番高いところに成る艶やかで美味しそうな赤い禁断の果実。
    その果実に手を伸ばし、優しく撫でるとゆっくりと沈み込みカチっと何かにはまる音がする。

    「やはりここにいたんだね、ヴィル」
    「…ルーク」

    姿見の後ろの壁に隠された小さな小部屋。
    そこにヴィルはいた。

    願いを叶えるリンゴがもたらしてくれるのは、大釜や珍しい薬品など。
    願いを叶えるために最終的には自らの努力が必要という辺りが我が寮に相応しい部屋だ 1286

    KaraageMitsu

    DONE『名前を呼ぶ声』
    #ルクヴィル版ワンドロワンライ60分1本勝負





    ****************
    「で、今日はどこで油を売ってたわけ?」
    「オーララ。そんな険しい顔をしていては、せっかくの美貌に翳りが出てしまうよ?」
    「…誰のせいよ」

    明日の寮長会議に提出するために、今日中に仕上げなくちゃいけない書類があってルークを呼んでいたのに……。

    「私のせいかい?」

    きょとんと大きく目を見開き小首を傾げてみせるルークに、思わず口から漏れるため息で肯定をしてしまう。

    「つい、珍しいものがいたから、学園の外の森まで追いかけてしまってね」
    「外で暴れたなら、アタシの部屋に来る前に、きちんと身をきれいにしてから来てるわよね?」
    「もちろんシャワーは済ませてきたよ。キミと約束していたから、これでも急いで駆けつけたのだけどね…」

    約束をしていた時間は3時間前のことで、ルークは来ないと判断して仕方なく一人で山積みの資料を纏めて一枚の企画書を作り終え、いつもより遅くなったストレッチとスキンケアを手は抜かずに、けれどなるべく急いで済ませ、後はベッドの中で身体を休ませるだけといったところだったのに…。

    「…アタシは、もう寝るから」

    部屋から出て行ってと少し睨みつけるような視線を投げかけていたけれど 1344