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    okusen15

    まほ晶が好き

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    okusen15

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    フィ晶♀ 元の世界に帰ったと思ってた晶が、レノの家で暮らしてたのを知るフィの話
    半年以上前に書いたものなので、解釈がめちゃくちゃ違ってる たぶん書ききれないので供養 書きたいところしか書いてないのでシーンがめちゃくちゃ飛ぶ

    さよならを数えない朝あの子のこれからの人生に俺という影が染み付いて離れなければいいと思った。
    恋人といる時も、眠る前も、死ぬ時も、その全ての時に俺の存在を探して、いないことに悲しんで欲しかった。
    俺のことを思い出して 俺のことを想って。
    でもきみは一線を超えてくれなかった。きみは聡明な、みんなの賢者様だったから。きみの誠実さが、それを許さなかった。美しく、尊い。それこそが、俺を突き放した。誰か一人を特別にすることを、きみは頑なに拒んだ。恐れていたとも言えた。あの子は俺が過去を語れば、傷口に触れてしまったような顔をした。それを悪だという気はない。あの子は知った気になって同情することも出来なくて、俺を傷つけるかもと恐れて踏み込めなかった。沈黙をもって、俺とあの子自身の心を守ることを選んだ。ただそれが俺にとって正しくはなく、優しくもなかっただけ。それだけの話。
    だけど、あの時、きみが俺と一緒にいる未来を少しでも口にしてくれたなら。俺の腕を掴んで、振り向かせてくれたなら。

    晶の夢を見るフィガロのシーン
    「愛してますよ、フィガロ」
    あ〜あ、なんで今更、こんな夢見ちゃうんだろうなぁ。
    目の前の見知った顔をした知らない命が柔らかそうな唇を動かす。
    何か言っているみたいだったけど、俺の思考はもう遥か遠くに飛んでいて、塊への興味は綺麗さっぱり消え失せていた。どうせ、すぐ醒める夢だから。
    「愛してますよ、フィガロ」
    塊は飽きずに愛を告げてくる。鬱陶しくて、うんざりしてきた。
    「愛してますよ、フィガロ」
    だったら、もっと早くに言ってくれれば良かったのに。は、と吐息がこぼれる。吐息はたぶんに嘲りを含んでいた。
    「もういいよ。不愉快だから消えてくれる?」

    レノの家で暮らす晶とレノの会話
    「エミリー・バーチの贈り物?」
    「はい。西の魔法使いで、この季節になると贈り物を届けにくるんです。毎年、場所はかわるのですが、今年はこの辺りが選ばれたらしいので、もしかしたら贈り物がとどくかもしれません」
    「それは素敵ですね!私の世界にもサンタさんっていう特定の時期になるとプレゼントを送ってくれるひとがいましたよ」
    「そうなんですか。贈り物を届けたい相手がいて、それを受け取ってもらえることは、どちらにとっても幸福でしょうね」
    レノックスが柔らかく目を細めて、羊の毛を刈る。わたしは、集めた毛が飛んで行かないようにそっと抑えた。
    「贈り物の内容は全て違うそうです。美しい小鳥の鳴き声がするオルゴールから、一度身につけると二度ととれなくなる仮面まであるそうです」
    「そ、それはちょっと怖いですね……」
    「はい。ですからもしも晶様の部屋に贈り物が届けられたら俺に見せてください。危ないものだったらいけませんから」
    「分かりました。そうします」


    放牧に行く間、晶をフィガロに預けたいレノと、フィガロに会いたくない晶のシーン
    「あの……」
     もうすっかりフィガロのところにいく事が決まったていのレノックスにおそるおそる声をかけた。レノックスはぴたりと動きを止めると、私を見つめた。
    「フィガロには、お世話になりたくないんです」
     レノックスが息を呑む気配を感じた。つむじに集まる視線。居心地が悪い。悪戯を咎められた子供みたいな気分だ。
    「それは、どうしてですか?」
     長い沈黙の後、ゆっくりと尋ねられる。レノックスの顔にはさっぱり分からないと書いてあって、困惑で満ちていた。
    「大した理由じゃないんです。ただ、私は別に1人でも生活できるし、レノックスが家に私を残していくのが不安なら、どこか住み込みで働けるところを探すので……、だから心配しないでください」
     一息で言い切ったのは、レノックスに口を挟ませないためだった。けれど、レノックスはそんな小細工が通用する相手ではなかった。
    「それは、理由ではありませんよね?」
     朴訥とした青年から繰り出された一言は痛烈に胸を抉った。拙い私の言い逃れは見事に看破されていた。


    フィガロの突然の訪問とバレた晶のシーン
    「レノ、入るよー」
     コンコンとノックをすると、家の中からバタバタと慌ただしい音がした。家主からの許可の前にドアノブに伸ばしていた手を引っ込める。いつもならすぐに入室を許可するはずの彼の珍しい動きに好奇心が疼かなかったわけではないけれど、大人しくしてあげることにした。
     もしかしたら、女っ気のない彼がその気になっていたのかもしれなかったし、そうだとして、その場面を目撃するのは彼らに悪いし、無粋だなと思ったから。
    バタバタとレノックスともう1人、誰かが動いている。どうやってからかってやろうか頭を働かせていると、ようやく扉が開いた。
    「……お待たせしました、どうぞ」
    「突然悪いね」
    「いえ……」
     歯切れの悪いレノックスをさりげなく観察する。少し眼鏡がずり下がっているところを除けば、彼はいつも通りだった。着衣の乱れもないし、ひどく汗をかいている風でもない。ただし、キッチンと併設された洗い場には水滴の残るマグカップが二つ残されていた。
    「お茶を淹れます。少し待っていて下さい」
    「あぁ、うん。ゆっくりやっていいよ」
     椅子には座らず、室内の壁にそって足を向けた。何かに感心するようなそんなそぶりでゆっくりと室内を歩く。
     少し来ない間に部屋の雰囲気は違っていた。前から配置されていた家具の位置が変わったわけではない。壁紙の色を変えたわけでもない。けれども、違和感はそこかしこにあった。
     例えば、1人がけだったはずのソファはもう1人くらい座れそうなくらい大きくなっていたり。
     例えば、あまり使用された痕跡のない踏み台があったり。
     きわめつけは、レノックスの視線よりも下の方に本や小物が設置されていたり。
     ーー同棲、もしくはその準備か。
     情報を統合して、その結論に至る。やっぱり俺の予想は外れてなかったなと、よく掃除された暖炉に指を滑らせた。
    「フィガロ先生、お茶が入りました」
    「ありがとう、レノックス。いただくよ」
     椅子に座って、レノックスが差し出してきたマグカップを受け取る。綺麗に水滴が拭われたマグカップは、先程キッチンで見かけたばかりのものだった。
    「……これ、俺が使ってもいいの?」
    「?はい」
    「……いや、レノックス、俺は別に全然構わないけど、こういうのは嫌がる人もいるんじゃない?」
    「はぁ……」
     レノックスはいまいちピンときていないらしい。俺はマグカップをひとまずおいて、身を乗り出した。恋人用のものを気安く他人に使わせるのはよくない。もっと相手の気持ちを考えろ、と。そういった心の機微というやつを彼に説明するのは気分がよかった。いつもは、俺がそういう事を諭される側だからかもしれなかった。同時に、抑えておこうと思ったはずの好奇心が芽を出し始める。
    「ところでレノックス」
    「はい」
    「俺に紹介してくれないの?」
    「……」
     レノックスは黙り込んだ。顎を引くと、無愛想な顔がますます剣呑にみえる。小さい頃のルチルが見たら大泣きしそうだなと頭の隅で余計なことを考えた。
    「そんなに警戒しないでよ。何も奪ろうってわけじゃないんだから。ただ、俺に紹介しておいた方が、後々役立つんじゃないかって思っただけだよ。何かあったらーーあぁ、もちろん、ない方がいいけど、ほら、何が起こるかなんて誰にも分からないだろ?そういう時、俺が面倒みてあげられるし、どう?」
     純粋な好奇心だったはずなのに、なんだかやけにしつこい言い回しになってしまったなぁ。そう思ったけど、まぁいいかとやり過ごす。これで断られれば大人しく引き下がるし、彼が紹介してくれればそれはそれで、俺の好奇心が満たされる。どっちに転んでも、体のいい暇つぶしだった。
    「フィガロ先生は……賢者様のことを覚えてらっしゃいますか?」
    レノックスは、思いもよらない返答をした。
    なぜ、どうして、よりにもよって、今?
    「……どうだったかな」
    「はぐらかさないで下さい」
     暖炉の炎に視線を逸らしても、目の前のレノックスが消えるわけじゃない。いっそ俺の方が消えてやろうかと思ったけど、逃げるみたいで嫌だなと考え直した。
    「そんな話題、今したくないよ。そんなのより、俺の質問に答えてよ。俺の方が先だったでしょ?」
    「俺の質問に答えてくださらないなら、俺も答える気はありません」
     彼とこうして話すのが、落ち着いた俺で良かった。世界征服をやっていた頃の俺なら迷わず石にしていだろう。
     懲りずにレノックスが口を開こうとする。彼の強情さは嫌というほど、知っていたはずだけど、それを向けられる相手が自分となるとほとほとうんざりしてくる。マグカップをレノックスの方に押しやったその時。
    「ぎゃーーーーっっ!!」


    事情を聞いて、じゃあ俺の家に来たら?ってなってるフィガロのシーン
    「一人でって……きみが?」
    「そうです」
    「あんなに虫で大騒ぎしてたのに?」
    「それは…そう、ですけど……」
    痛いところをつかれた。視線をさまよわせて、指を何度も組み替えていると、フィガロは叩き込むように正論を告げてきた。
    「それに、一人暮らしっていうのは賛成できないな。この辺りはあまり近くに人が住んでいないから、もしもの時すぐに誰かに頼れない。夜盗や獣が現れるかもしれない。そういう時、きみ一人で対応できるの?」
    「う……」
    「それに、きみが危ない目にあったら、一番責任を感じるのはレノックスなんじゃないかな?」
    賢者様の心を動かす1番の方法は良心を刺激してあげることだった。案の定、賢者様は黙って項垂れてしまった。もう一押しだな、と目を細めると、斜め横から強い視線を感じた。レノックスだ。
    ……そんな目で見るなよ。何も言わないってことは反対しないってことだろ?
    「……賢者様、俺もフィガロ先生の意見に賛成です。この辺りは行商がくる回数も少ないですし、普通に日常生活を送るだけでも苦労すると思います」
    「じゃ、じゃあ、どこか住み込みで働けるところを探しますから……」
    「レノックスが放牧に出るまであと1週間でしょ?見つかるかな?」

    (エミリー・バーチからの贈り物を開けたら虫が入ってて叫んでバレた後の話)


    なんだかんだでレノが放牧から帰ってくるまでの間、フィガロの家で暮らすことになったシーン
    「そんな話題、今したくないよ」
    扉越しにフィガロの冷え切った声を聞いた瞬間、心臓が刃で刺されたみたいに痛んだ。震える足を必死に動かして、自室に逃げ込んだ。音が出ないように扉を閉めて、ずるずると扉伝いに座り込む。折り曲げた膝の間に顔を埋めると、涙が目頭を伝った。


    くっついた後のフィガロと晶のシーン
    「フィガロ先生と一体どんな関係なの?」
    「……」
    改めてそう問われると、言葉が出てこなかった。フィガロがどんな人なのかは言葉にできるのに。
    恋人。家族。同居人。じょうきょうだけみればそのどれもに当てはまりそうなのに、どれもしっくりこない。
    なんだか私たちは随分あやふやでぼんやりしたものの上に立ちながら、関係を築いてきたのだなと実感する。よく途中で崩れてしまわなかったものだ。……いや、これから先崩れることがあるのかもしれないけど。
    うんうん考え込む私に、目の前の女の子は苛立たしげにため息を吐いた。
    「わたし、フィガロ先生が好きなの。あなたにその気がないなら、早く離れてちょうだいよ」
    くるりと均等に綺麗に巻かれたブロンドが揺れる。垢抜けた顔立ちに、薄いピンクの口紅がよく映えていた。


    俺は晶となら、キスもハグもセックスも出来る。そうしないでいることも出来る。お茶を淹れるあの子の背中を何時間も見続けることも出来るし、箒に乗ってどこか綺麗な場所に行くことだって出来る。
    俺は晶となら、キスもハグもセックスも出来る。そうしないのは、それでもいいと思ってるからだ。肉体関係の有る無しなんて、あの子が俺の隣にいてくれるなら、些末な問題だ。肉体関係がないからこそ清らかな関係を続けていけるだなんて、思春期を拗らせたような思想もない。あの子と俺を繋ぐ糸があるなら、それが清らかだろうが汚れていようがどっちでも良かった。それがどんなものであれ、俺は手繰り寄せるだけだから。そして、手繰った人はいま、俺の隣にいる。その糸を、晶も握りしめてくれている。それが嬉しかった。喜びと幸せだった。
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