七風リレー小説(1)カランカランカラン
商店街に鐘の音が響き、周囲の人の目線を集める。「おめでとうございます!はばたきランドタウンチケット2枚、大当たりです!!」
赤い法被を羽織った恰幅の良いおじさんに「賞品」と書かれた大きめの封筒を手渡され、夕飯の買い出しをしていただけの風真玲太は驚きで固まってしまう。
「あれって……風真家の若様じゃね?」
「福引き、当たったのかな」
風真玲太ははばたき市ではちょっとした有名人なのだ。周囲の注目を集めヒソヒソとした野次馬の声が聞こえる頃には我に返り「あ……りがとうございます」と小声で謝礼を絞り出すと、賞品の封筒を夕飯の材料が入っているトートバッグにねじ込み、足早に帰路に着いた。
(遊園地のチケット??俺はただトイレットペーパーと挽肉とピーマン、他にちょっとした食材を買っただけなのに)
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