ポッキーゲーム「今日はポッキー&プリッツの日だ。ということで買ってきた!」
太宰はごそごそと小袋を切って、かの有名な菓子を取りだすと俺に突きつけた。その意を汲んで菓子に食いつく。
両端から互いに食べ進めていく。
チョコレート部分のみとなった辺りで太宰の動きが鈍ったが、俺は構わず食べていく。
唇が触れてゲームが終了した。
「少しは戸惑えよ…」
自分から持ちかけてきたのに頬を染めて不平を言う太宰に、自分の頬が緩んでいるのを自覚しながら俺は答える。
「避ける理由が全くないからな」
その言葉に黙りこくった太宰は、次の一本を取り出すと自分一人でぽりぽりと食べだしてしまった。恥ずかしさを誤魔化そうとしているのだろう。
少し残念に思いながら俺は口のなかに残った菓子を噛み砕く。
「美味いな」
「分かる?期間限定のやつ」
太宰が食べかけのポッキーを手に告げる。
「ああ。もう一本くれないか」
太宰がもう一本とりだして俺に突きつけたのでまた食いつく。その姿勢のまま太宰の口許までポッキーの反対側を持っていくと、少し止まった太宰が観念したように反対側を咥えた。
ぽりぽりぽりぽり。
(今日は良い日だ)
甘い菓子と重なる唇に満足しながら俺は思った。