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    Hoopono41030595

    @Hoopono41030595

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    Hoopono41030595

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    #9月20日はくわぶぜの日 アンコール!
    今月2回目のくわぶぜの日、おめでとうございます。
    今回は、神様っぽいくわぶぜを目指してみました。
    ちょっとだけ、欠損注意。

    #くわぶぜ

    その敵は強く、部隊は苦戦した。
    さんっ
    空気が浅く切れるような音がして、目の前に素早い苦無が迫る。
    豊前はその動きを何とか察知すると、身をひるがえしてよけるがそれでも的確にとらえられていた敵の一撃は、浅く豊前の頬を薙ぐ。
    「っっ。いってぇなぁああーー。」
    苛立つような豊前の声に、桑名の声が重なる。
    「豊前!後ろ!!」
    ごぉぁ!
    桑名の声と空気を震わすようなうなり声に、振り向いてみれば、目の前には大太刀の刃が迫る。
    仲間の脇差がカバーに入るのも間に合わず、その一撃は豊前へと吸い込まれる。
    「ぐぅ!!」
    重い一撃に、一瞬にして左手が動かなくなる。口の中いっぱいに血の匂いが広がり、ぐわっと体中の血が沸騰するような高揚感に包まれた。

    動かない左腕が邪魔だ! 

    豊前は、自らの本体で左腕を切り落とすと、風のように戦場を駆けた。豊前に一撃を食らわせた大太刀は、その勢いのまま桑名とつばぜり合いをしている。

    「舐めたまねしてくれんじゃねーかよ!」
    片腕で刀を構え大太刀の背後から渾身の力を込めて貫き通す。

    ぉぉぉおおぉぉぉおお………
    悲し気に空気を振動させながら、大太刀はその場で霧散した。
    「やった!」
    桑名の嬉しそうな声。
    「お、わ、わわわ!」
    大太刀に突き刺さるようにしてとどめを刺した豊前はその場で足場を失いバランスを崩す。慌てて桑名が手を差し伸べて、豊前の体をキャッチするように抱きかかえた。

    どうやら最後の一体だったようで、敵の気配はもうない。
    隊長の撤収!の声が響き、桑名は豊前を抱えたまま集合場所へと向かう。

    「おー、さんきゅな。桑名。」
    「もう、危なかったよね。大丈夫?」
    「おうっ」
    桑名の腕の中でにかっと笑う豊前であるが、その姿はどう見ても大丈夫ではない。全身は血にまみれ、左腕はない。

    「豊前、左腕どこやったの?」
    「ん?邪魔だから切った。その辺、落ちてる。」
    「痛くないの?」
    「いてぇな。」

    豊前の言葉に桑名はぁと大きくため息をつく。
    「もうちょっと体、大事にしなよ。手入れだってタダじゃないんだよ。」
    桑名の言葉に豊前はぷうとむくれる。
    「この器が弱すぎんだよなぁ。もうちっと頑丈に作ってくんねーと、戦場じゃ全く役に立たねー。」
    「しょうがないでしょ、人の体ってのはこういうもんなの。」
    豊前はいつもそうだ。
    人間の体をなかなか認識できない。器としか見ていない。刀である自分の魂を一時的に入れておくもの、くらいの認識しかなくて「壊れたから取り換えてくれ。」といって主を驚かせている。

    桑名はぎゅっと豊前の体を抱きしめる。片腕がない分、いつもより少し小さく感じられた。
    「僕は、この器ごと、豊前を愛しているのになぁ。」
    「はは、じゃあ、器がこの見た目じゃなくなっちゃったら、お前は、俺を愛さないのか?」
    今度は桑名がむぅっと膨れる。
    「そういうことじゃないよ。片腕くらいだったらいいけど、これ以上体が損傷すれば、本体だって折れちゃうんだからね。心配させないでほしいの!」
    「ははは、わかってるって。でーじょうぶだよ!」

    いいながら、豊前が首を伸ばし、唇を寄せる。
    桑名もそれに答えて、その唇を小さく吸った。
    口の中に血の匂いがぶわっと広がる。

    「俺はぜってー折れねーから。」

    男らしく笑う豊前に桑名はまたも盛大にため息をつく。

    「折れなきゃいいってもんじゃないんだってば!」

    目の前には集合場所。仲間たちが手を振っている。
    豊前は、それに答えようとして左手を上げて……。
    「あ、腕ねぇや……。」
    ふたりしてクスクスと笑いあったのだった。
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    Hoopono41030595

    MOURNINGくわぶぜの日りたーんに合わせて書いていたのですが、「美しい悲劇」で全て吹き飛んだので、出しそびれた。
    キス魔の豊前くんと、キスするタイミングがわからない桑名くん。
    加減がわからず暴走する桑名くんが大好き。
    桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
    ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
    僕はそれを、両手を広げて受け止める。
    「うん、いっぱい収穫したよぉ」
    僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。


    これは大広間での出来事。


    夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。

    キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。

    まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
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    DOODLEラクガキ、になるんかな。これも
    診断メーカーで出た
    『おうせ本丸のくわぶぜのBL本のタイトルは「シーツの波間で待っている」で、帯のフレーズは【 身体だけでも愛して欲しかった 】です。』をちょっぴりと

    ぶぜの「存在感すごいのに、何だか希薄」という雰囲気やばい…
    目を覚ますと…背後から緩やかな寝息が聞こえて来た。
    「…………」
     そうだな。夜明けがくるにゃあまだ早い。
     ふわりとあくびをつきながら…俺はその場に起き上がる。
     腰に回っていた桑名の腕が、へたりと敷布の上に滑り落ちた。



     昨夜の事は全部覚えている。
     呑んで。酔って。

    「自分の事なのにさ、俺は自分が今…本当に在んのか。正直わかんねぇんだ」

     言葉が零れる。

    「確実なのは、俺という自覚を持つこの身体だけ。振るう本体だって…結局は主に与えられた仮初の器だから…」

     考える事すら億劫で…
     だけど気持ちかひどく逸る。

    「……布団敷いてくるから、少し休みなね?」

     ふわっと笑う桑名の声。
     いつものように優しくて……

    「大丈夫?立てるかい」
    「…………」
    「そんな風に見上げてくるだけじゃ、解んないよ」

     なぁ。この戦が終わって…
     俺たちが全て本霊のもとに帰るとして。
     だけど。
     もしも…俺の寄る辺が逸話だけであったのなら。

    「わり…確かに深酒しちまったみてぇだ」
    「うん」

     当たり前のように桑名が俺を抱き上げる。
     多分…立てないと判断してなのだろう。
     善意 1247

    Hoopono41030595

    DONEエアスケブじゃなくエアSSで頂いたお題「お酒を飲むウリブゼン君」です。
    いちゃいちゃじゃなくてごめんなさい。
    める(@mxexrxu)さんリクエストありがとうございました。

    #江楽宴
    俺は酒が飲めない。
    世の中には酒が強いやら弱いやらという体質による違いもあるが、俺のはそれとは根本的に違うようだ。アルコールアレルギーとかそんなかんじだろう。 
    アルコールを口から少しでも摂取すれば頭痛、嘔吐、呼吸器官に影響が出ることもある。アルコール消毒だって危険だ。不意に消毒液を手に吹き付けられて、真っ赤に腫れ上がったこともある。

    とにかく、酒はダメなのだ。
    こういう夜の仕事をしていて、これは結構なイメージダウンだ。必ず酒の席につき合わせる客もいるし、無理やり飲ませようとするヤツもいる。
    まあ、それで一度救急車で運ばれてからは、俺も断固として拒否するようになったのだが……。

    そして、ここにもひとり。その事情を知らないやつが。

    「ねえ、豊前。本当にお酒飲めないの?」
    桑名が、日本酒を片手に首をかしげている。
    「ああ、飲んだら死ぬぞ。」
    俺はにこやかに返すが決して比喩ではない。
    しかし、桑名はその返答に長い前髪の下で眉根を寄せた。
    どうやら、大学の友人から希少な日本酒を貰ったらしい。
    「豊前と一緒に飲みたかったのになぁ……。」
    「いーじゃねーか。飲めば。コーラで付き合ってやるよ。 1731