「あ、」
グツグツと鍋の中で煮えたぎる液体が灰色から鮮やかなオレンジ色へと変わったのを見て、教科書通りに山嵐の針の粉を入れたつもりだった。量が多すぎたのか、それとも前の手順で間違いがあったのか。本来ならば白色に変化するハズだった薬液は、一瞬のうちにどろどろのヘドロ状へと変わってしまった。どこからどう見ても失敗だ。
あーあ、せっかく順調だったのに。コレ難しすぎない? そりゃこれだけ手順が面倒だったらO.W.L試験に出されるよね。魔法薬学落としちゃいそう。
ひとまず火を止めて、汚いヘドロになってしまった"安らぎの水薬"を匙で突っつく。これ、どう片付けたらいいんだろう。スコージファイを唱えたらいいのかな、でも勝手に処分したら怒られるよね。うーん、唸りながら突っついて遊んでいると、教室内を歩いていた先生に深い深い溜め息を吐かれた。
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