AWAY,AWAY,AWAY from HOME グレイグ8日目8日目
信じられない。
わざわざ車を借りて随分早めに出発したのに、途中まさかの事故渋滞に巻き込まれ、空港に着いた頃には見送る予定だった飛行機はとっくに旅立っていた。
それでも、もしかしたらと空港中を走り回って彼の姿を探したが、あの美しい金髪を持つ男はどこにもいなかった。
彼はもう、この国のどこにもいない。
その事実を目の当たりにして、全身から血の気が引くのが分かった。
「嘘だろう…」
思わず口からことばが洩れる。
膝から崩れ落ちてしまいそうな喪失感が襲ってくる。
昨日の彼の姿が脳裏に甦る。
最後に彼は何と言った?
自分は、何と言った?
上手く思い出せない。
嘘だろう、
もう会えないなんて。