1ツイートSSログ(10月ユリフレ)【鼻で笑う】
近付いてくる靴音に座りこんでいるユーリは目を上げた。
「待ち合わせの時間過ぎてるぞ」
フレンは鼻で笑う。
「僕は待ち合わせした記憶ないよ。何したの?」
ユーリは立ち上がり、鉄の柵越しに指を絡める。
「税の徴収に来た騎士をちょっと…」
「反省は?」
「全く」
「暫く臭い飯食べて改悟しなよ」
【勝ち誇る】
子供の頃から幼馴染みに勝てた試しがない。
フレンは何でも1番だった。
その日はたまたまかけっこで勝てた。
勝ち誇った顔をフレンに向ける。
いつもふんわり笑ってる顔が悔しそうに歪んだ。
フレンのこんな顔を見たのは自分が初めてなんだろうな、と思うと異常な興奮に襲われた。
【ブロック】
「騎士団のイメージアップの為に、ツイッターを始めたんだ」
フレンらしい堅苦しい文章が綴られていた。
「イメージアップ目指してるなら、もっと親しみやすく書けよ」
「親しみやすく、か。見てくれる人のリクエストも答えた方がいい?」
大臀筋大胸筋が見たい、の文字を見つけて無言でブロックした。
【柔らかい】
ストレスの緩和には触り心地の良い物を揉むのが良いと聞いたことがある。
うつ伏せで眠るフレンがいるから丁度いい。
両手で尻を鷲掴んで揉んだ。
俺に揉まれる為にあるのでは、と思う程手に馴染む。
「…何してるの」
振り返り侮蔑の目を向けられた。
「柔らかいからつい…おい、尻に力入れるな!」
【いい気になる】
新しいレシピを手に入れ作ってみると、絶賛されていい気になる。
フレンにレシピを知りたい、と言われて見せた。
後日、そのレシピをアレンジした料理を出される。
「こうすると、もっと美味しいよ。ユーリ、食べて」
善意100%の笑顔に何も言えず、食べながら少し泣いた。
【スリル】
「魔導器なしでギガントモンスターと1人で戦うってスリル満点の夢見て朝から疲れた…」
朝食を食べながらユーリがぼやく。
「呼んでくれたら助けに行くのに」
トーストにかぶりつくフレンが当たり前のように言うのが可笑しくて吹き出す。
「次は呼ぶわ」
「まかせてくれ!」
フレンは胸を張り頷いた。
【健気】
陽の光を存分に浴びて、ふかふかになった布団を取り込む。
冷蔵庫は新鮮な食材で満たした。
部屋の空気を入れ替える為、窓を開ける。
「ユーリ」
下を向き、満面の笑顔でフレンが手を振る。
フレンを迎える準備をしていたが、この顔が見られれば疲れなど吹っ飛ぶ事に気付き、健気な自分に苦笑した。
【面倒】
雨漏りが酷い、と屋根の修理を頼まれた。
金槌を振るい、穴を塞ぐ。
「素人に修理を任せて、またすぐに雨漏りするだろ」
久々に下町に帰ったのに、面倒事を押し付けられてぼやく。
本当は今すぐに城に行ってフレンを抱きしめたい。
「こら、ユーリ!真面目にやらんか!」
下でハンクスが声を荒げた。
【声】
いつものように窓から侵入し、暗い部屋を見渡す。
帰ってくるまで寝るか、と靴を脱ぎ捨てベッドに上がると扉が開いた。
俺に気付き、フレンの顔がパァッと明るくなる。
「ユーリ」
弾む声で名を呼び、フレンはこちらに近付き脱ぎ捨てた靴に眉を顰める。
小言が始まる前に引き寄せ、唇を重ね塞いだ。
【扇情的】
足の上にフレンが跨り、項で指が組まれた。
目を上げれば、視線が甘く絡む。
艶を帯びた瞳はとても扇情的だ。
背中に腕を回して首元に擦り寄る。
舌を這わせ歯を立てた。
体がピクリと震え、頭を掻き抱かれる。
もっと、とねだられているようで首に吸い付き、背中の腕に力を込めてキツく抱きしめた。
【無礼】
「本当にすみません。ほら、ユーリも謝って!」
頭を押さえられ下げさせられる。
「おっさんをパシリにして何が悪いんだよ」
「悪いに決まってる!無礼だろ!」
「うるせーな、お前は俺の母ちゃんか!」
「僕は君のヒロインだよ!」
…顔は文句無しだが、こんな口煩いヒロイン嫌だ。
「チェンジで!」
【泣く】
川に流されたフレンは魚人に掴まり助かった。
「大したこと無くてよかったね、ゆーり」
解放されたフレンの一言にカッとなり、思いっきり殴りかかった。
フレンがいなくなる、と泣きながら必死で駆けたのに…。
フレンはユーリをきつく抱き締め、ごめん、と漏らす。
抱き締め合いながら2人で泣いた。
【身に染みる】
痛む頭を押さえて、やらかした、と項垂れる。
隣に視線を移せば、フレンが気まずそうに目を逸らした。
昨日は自宅でフレンと酒を飲んでいた。
気付いたら朝で、2人とも全裸でベッドに寝ていた。
何も思い出せず、酒の怖さが身に染みる。
「俺、酒やめるわ」
「僕も」
「頭いてー」
「僕はお尻が痛い」
【大好き】
目の前に置かれた大きなハンバーグに、フレンは顔を輝かせた。
大きな口で頬張り、ほっぺた落ちる、と漏らす。
「そんなに喜ばれると作り甲斐あるな」
「僕、ユーリの料理大好き」
幸せそうに食べる手を掴んだ。
「料理だけか?」
目をキョトンとさせ、笑顔が向けられる。
「ユーリが大好き!」
【お泊り】
急な豪雨に足止めを食らい、客の押し寄せた宿屋からシングル一部屋しか借りられなかった。
「男2人で狭いベッドで寝ろってか?」
「子供の時みたいに一緒に寝ようよ」
この気持ちに気付いて、子供の頃の様に眠れなくなったのに。
今日はあどけない寝顔を晒すフレンの隣で、眠れぬ夜を過ごすのだろう。
【願いが叶わない】
ハロウィンは可愛い格好で来いよ、と伝えていたのに、扉を開けたらでっぷりしたファンシーなクマの着ぐるみがいた。
「トリックオアトリート」
くぐもった声はフレンのもので泣きたくなった。
エロ可愛いコスプレしたフレンとエロい事しようと夢見ていたのに。
来年はこっちで用意しよう、と反省した。