1ツイートSSログ(10月レイリド)【さっぱり】
赤点を回避したいリッドは、教科書を眺めながら唸る。
「さっぱり分からん」
「毎日勉強してたらテスト前に慌てないのに」
教えを乞われたレイスは苦笑する。
「補習で休み潰したくねー」
「どうして?」
「レイスと会う時間が減る」
「なら、私の為に頑張って」
レイスは破顔し、リッドの頭を撫でた。
【たどたどしい】
ソファで眠るレイスが珍しく、床に膝を付いて顔を覗き込む。
美麗な寝顔に引き寄せられるよう手を伸ばした。
柔らかな髪に触れる。
たどたどしい手つきで撫で、手を離すと手首が掴まれ引かれた。
勢いのままレイスの上に倒れ込む。
「もう終わり?」
見目よい顔に微笑まれ、恥ずかしさから頬を染めた。
【目を閉じる】
目が覚めるとレイスに抱きしめられていた。
起こさないように腕を外そうとすると、腕に力を込められた。
「起きてたのか?」
「寝てる。キスしてくれたら起きる」
「起きてるし、腕解かねーとできねーよ」
「それならずっとこのままだね」
起きるのを諦めて目を閉じる。
頭上でくすりと笑う声がした。
【恋しい】
インターフォンが鳴り、扉を開くと赤い薔薇で視界が埋め尽くされた。
視線を上げると微笑むレイス。
薔薇が似合うな、とうっとり見入った。
花束を渡され、重量感に驚く。
「何本あるんだ?」
「365本だよ」
何でそんなに、と思うがきっと意味があるのだろう。
「君が毎日恋しい」
耳元で囁かれた。
【悪くない】
火を絶やさないよう枝を焚き火に放る。
「ぶえっくしょん!」
冷たい風が吹きつけ、盛大にくしゃみをした。
慌てて口を押さえるが、後ろから忍び笑いがした。
「悪い、起こしたか」
「豪快だね」
レイスの腕が体に絡む。
触れ合う体が熱い。
「これなら寒くない?」
…野宿も悪くないか?
【スマート】
まだ一緒にいたい。
照れくさくて、その一言が言えない。
フェイスラインを指先が滑り、髪を耳に掛けられた。
目を向けると、端麗な顔に微笑まれる。
耳元に顔が寄り、掛かる息がくすぐったい。
「朝まで一緒にいてくれる?」
嬉しいのに頷く事しか出来ず、スマートに誘うレイスには敵わない。
【良心】
「捨てたら良心の呵責に苛まれるよ」
「海老の尻尾でなるか!」
「君は海老の尻尾の気持ちを考えた事がないのか?!」
海老の尻尾の気持ちって何だ?
エッグベアの気持ちになった事はあるけど。
なおも熱く語るレイスの口に、あーん、と放り込む。
美味そうに飲み込んだ後、残りを口に捩じ込まれた。
【めでたい】
宅配業者が来たが、食器を洗ってる最中だった為、受け取りをリッドに頼んだ。
頬骨を上げ、嬉しそうな表情で渡された。
「ありがとう、何かあったの?」
「なんかさ、お前の名字書くのいいなって」
顔を赤くしてはにかむ姿が可愛すぎて抱きしめた。
擦り寄られ、愛しさが募る。
毎日愛でたい。
【最長】
レイシスからラインが届いた。
毎日最長記録を更新するような頭の悪い惚気話が送られてくる。
ロエンも最初の頃は律儀に読んでいた。
だが、スクロールしなければならない程、長い文章が送られてくるようになってから読むのをやめた。
リッドの事になると残念になるレイシスにはほとほと参っている。
【暇】
「まだ終わらねーの?」
「もう少し待ってね」
パソコンから目を離さず、左手で頭をポンポンされた。
家で仕事をしているのが珍しく、最初はその姿を眺めているのも楽しかった。
でも今は暇だ。
頭の上にある手を掴み、薬指に噛み付いた。
「いたっ」
独占欲の跡に頬が綻ぶレイスが見れて満足した。
【迷う】
商品の仕入れをするレイスに付いて行き、帰り道で迷った。
木陰に腰を下ろし一息付く。
隣に座るレイスは浮かれているように見えた。
「迷ったのに楽しそうだな」
「ああ、わざとだよ」
進んで迷う意味が分からない。
首を傾げれば、息のかかる距離で見つめられた。
「君とまだ一緒にいたいから」
【つれない】
たまには魚が食べたい、と言ったら釣りに誘われた。
釣果はボウズ。
朝は一緒に出掛けるだけで嬉しかったが、今は話しかけられてもそっけない態度をとってしまう。
「つれないな。私は2人でいられて嬉しかったのに」
レイスは目を細め、切なげに微笑む。
…1番の大物が釣れたのかもしれない。
【のめりこむ】
「今日は俺の勝ちだな」
倒れたレイスに手を差し出す。
引き起こす前に強い力で引かれた。
レイスの上に倒れ込み、背中に腕が回る。
「仕返し」
耳まで真っ赤に染まった。
すぐに腕が解かれ、残念に思う位にはのめりこんでいる。
心を掻き乱すレイスに、この気持ちをいつまで隠し通せるのだろうか。
【悪戯】
「トリックオアトリート、お菓子持ってねーだろうから悪戯するな」
レイスに跨りくすぐる。
身を捩りながら笑う姿にムラムラした。
両手首を掴まれ、体の位置が反転し、覆い被さられる。
「トリックオアトリート」
「持ってない」
「それなら悪戯されちゃうね」
レイスは妖艶に笑う。
むしろされたい。
【鳥肌が立つ】
雨宿りの為、山窟に駆け込んだ。
「何か出そうだね」
穏やかな声で暗い奥を見ながら笑うから、鳥肌が立った。
すかさずレイスの腕にキツくしがみ付く。
「ちょっと痛いかな」
腕を外され不安が増した。
「おいで」
両手を広げて待つレイスの腕の中に飛び込む。
抱きしめられると、ひどくホッとした。