翔玲「悪魔の甘やかし方」「翔ちゃ〜ん」
よく晴れた秋空の昼下がりだった。
ランチタイムを終え、客足はなくあたりは穏やかな空気に包まれていた。
翔平はキッチンカーの中で集中して後片付けをしており、そんな翔平に玲音は機嫌よく名前を呼んだ。
「あ?
なんだ、玲音か。
もう食うもん、ねぇぞ」
キッチンカーのカウンターから少し下を見て、声の主を確認すると翔平は眉間に皺を寄せた。
「ねぇ!
オレのことなんだと思ってるわけ!?
タカリ屋かなんか?!」
文句を言う玲音を見ながら、翔平は「そういえばいつも金貰ってなかったな」と思った。
実質、言葉通りタカリ屋なのだが、それを肯定すると話が大きくなりただ面倒なだけなので、聞かなかったことにする。
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