🕷三兄弟(次×長)パトロールから帰って来た次男が音もなく長男の部屋に侵入して寝息を溢す横顔をジッと見つめる深夜
ゆっくりと古びたマットレスに掌を沈めて寝顔を覗き込むも、身動ぎ一つしない
長い睫毛も厚い唇も月光に照らされた青白い肌も、今この瞬間だけは僕のものだ──なんて思うだけで
口に触れる勇気など到底無いくせに、と自分を責めればそれに賛同するようにぎしりとスプリングが鳴いた
パッと身を翻し起こしては敵わないと来た時と同じく静かに部屋を去る
と、ドアの前まで行ったところで忘れ物を思い出したとでも言いたげにいそいそとベッドの側に戻れば
「……おやすみ、兄さん」
マスクをたくし上げ、そう呟きながら柔らかい頬にキスをする
これはおやすみのキスだから、何もやましい事はない、と自分を正当化して
ん、と掠れた長男の声にドキリと身体を強張らせてようやく次男は就寝のために部屋を後にした
次男が静かに部屋を出ていってからゆっくり目を開けて上半身を起こしながら閉じた扉を見つめる長男
ベッドの上に蹲って「……僕達は兄弟なんだ」と、ただ自分に言い聞かせる寂しい夜