始祖が秘書上を肩に担いで安産型の尻を叩く 誰だ、先生の椅子でふんぞり返っている感じの悪い男は。
そう思うものの、その男は鬼舞辻に瓜二つで、寧ろ、鬼舞辻よりも妙な大物感がある。親戚など血縁者はすべて把握しているが、あんな男は存在していなかった。
警戒する黒死牟を見て、退屈そうに欠伸をする。
「おい、お前」
「お前と呼ばれる筋合いはない」
声音まで似ていることに驚いたが、毅然とした態度で黒死牟が返事をすると、不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。机に右肘をついて首を傾けたまま、下から睨めつけるように黒死牟を見る。
「口の利き方に気を付けろ、継国巌勝」
本名を呼ばれ、黒死牟の指先が僅かに震えるが、ぐっと拳を握り締め耐えた。その名を知る者は鬼舞辻しかいない。久方振りにその名で呼ばれ、反応する自分にも驚いた。
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