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    taruto20201010

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    taruto20201010

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    ドルあん○○以上恋人未満関係プチオンリー「君と恋人になるために」参加作品です。まこあんで参加させていただきました。

    #星とあんずの幻想曲3
    fantasyOfStarsAndAnzu3
    #あんず島3プチオンリー
    anzuIsland3PetitOnly
    #君と恋人になるために
    toBeYourLover

    まこあん「片想い?以上恋人未満」最初は大切な仲間だからだと思っていた。他のユニットの誰かと一緒に彼女がいるとそわそわして、つい気になって後をつけて。ストーカーみたいなことをしてごめんねと自分から謝って。他の三人にはしていないのも出会う前からの関係性があるからだ~なんて言い訳をしていたのに。
    「あんずは俺たちだけのプロデューサーではないからな。他のユニットのアイドルと仕事をすることもあるだろう」
    「そうそう、真は気にしすぎなんだよ」
    「そ、そうだよね! あんずちゃんは誰かのものじゃないもんね!」
    「いや、いつかはそうなるんじゃないか?」
    そのあとの会話がどうなったか、自分がどう答えたのか。思い出そうとしても掴めない。

    初めてちゃんと向き合った女の子だと思う。今まで異性に接することは何度かあったけど、あまり印象にない。アイドルとプロデューサーという関係性から僕たちのユニットのプロデュースをお願いするようになって、クラスメイト以上になるのはあっという間だった。
    ——じゃあそれ以上は?
    大切な仲間の、その先。彼女をひとりの女の子として意識して、男女の仲に、なる?
    「ない、ないないない」
    明星くんなら。氷鷹くんなら。衣更くんなら。きっと彼女の隣にふさわしい。でも僕なんかじゃだめだと思う。自分に自信のない、何のとりえもない自分のままじゃ。自分自身に問いかけて、すぐに否定するこのやり取りを何度も何度も繰り返しては変わらない現状にため息が出てしまう。そんな場面を衣更くんに見つかった時もあって「悩んでるなら相談してくれよ〜?」と言われたけれど、衣更くんだってあんずちゃんのことが好きなんだと思う。意識してないとできないであろう行動を見てしまったらそうとしか思えなくて、言葉にするのをやめていた。それから衣更くんを補佐する彼女をよく見かけるようになって、きっと両想いなのだと言い聞かせるように呟いた。友人として、仲間として、二人を応援しよう。
    それに逆らうように表れた感情も自分ならなかったことにできる。一度壊れたのだから、再び壊すことだって可能なはずだ。そう思うのに。以前自分のチャームポイントを聞いたときの真っ直ぐに僕の目を見て伝えてくれた表情も、声も、全部覚えている。ねぇ、あんずちゃんも覚えてくれているかな?

    進級して、クラスメイトじゃなくなった。学科が違うだけ、あとはいつも通り。そう思っていたのは僕だけじゃないはず。本当に、あの毎日は貴重だったんだ。たまにゲームセンターによって、遊んで、お土産のぬいぐるみを二人で抱きしめて帰る。今日付き合ってくれたお礼とか何とか言って渡した子たちはどうしてるんだろう。
    現場が一緒で久しぶりに二人でゲームセンターで遊んでいると凪砂さんと漣くんに会った。
    「今度こそデートですかねぇ♪」
    そう漣くんは言ってたけど、それを本当に言いたいのは僕の方。壊そうとした感情はあれからどんどん膨らんでいつか表に出てきそうで怖い。
    「凪砂さんもクレーンゲーム、上手なんだね」
    こんなにたくさん取っているし。彼女の手元が気になって、そのまま言葉を続ける。その子はどうするの? と聞けたらどんなに良いか。優しく握りしめる指先が少し白くなっていた。
    「気付かなくてごめんね、少し寒くなってきたから温かい飲み物でも買ってから帰ろう」
    袖をくいっと引かれる。彼女の方を見ても表情が見えない。
    「えっと……何かしちゃったかな?」
    「真くんからもらった子たちは全員大切に飾ってあるよ」
    「え、」
    「たまに持ち歩いて元気をもらってる」
    「ど、どうしてそれを?」
    「ずっと見てるから」
    それはどういう意味で、誰を? それを聞く勇気はまだ出ないけど、いつか答え合わせするくらいならいいよね。
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    related works

    ltochiri

    DONE #星とあんずの幻想曲3 陸上部とあんず【移動】プチオンリー #君とどこに行こうか 展示作品です。(斑あんです)
    ざっくり夏〜秋くらいの設定です。
    ESビルの七階からロビー階まで移動している時の話です。
    ※イベント終了にともないパスワードをはずしました。当サークルまでお越しいただき、またリアクション等いただきありがとうございました!
    映画はラブストーリーがいい アンサンブルスクエアの拠点——通称、ESビル。そのフロアとフロアを繋ぐエレベーターは、到着が遅いことで有名だ。
     P機関のトップである『プロデューサー』は「修行のため」と言って階段を使うことがあるのだが、それはエレベーターが来るのを待ちきれなかったから、と噂を立てられてしまうほど。
     その話の真偽はともかく、ESビルで働く人々が、このエレベーターにひどく恨めしい気持ちを抱いていることに、違いはない。
     噂の『プロデューサー』も、今日はエレベーターに乗っていた。
     タイミングが良く、すぐにエレベーターが来たので運がいいと喜んだのも束の間。あんずは今、ひどく焦っていた。
     七階でエレベーターが止まると、ドアが開き、その向こうから三毛縞斑が現れた。長身の彼を見上げるスタッフたちを通り越して、斑はエレベーターの隅で肩を縮こまらせながら立っているあんずを見つけておや、と思った。ホールハンズで見た予定では、彼女はこの後、十二階に用があるはずだから。
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    ltochiri

    DONE #星とあんずの幻想曲3 女装アイドル×あんずプチオンリー #Pぼくスカート 展示作品です。(斑あんです)
    暗夜行路から骨董綺譚までの間の秋というゆるめの設定があります。
    スカウト「ホワイトブリム」のストーリーもよろしくお願いします。
    ※イベント終了にともないパスワードをはずしました。当サークルまでお越しいただき、またリアクション等いただきありがとうございました!
    メイド服を着ないと出られないフィッティングルーム 衣装に負担は付きものである。
     Double Faceとしてユニット活動をしているのなら、なおさら。
     キレのあるダンスで糸がほつれるだけでならまだしも、ホール内に雨を降らせる演出で水浸しにもなる。当然、生地の伸び縮みや色褪せ、装飾品の綻びなどがあるので、ライブが終わるたびに修繕される。
     そのたびに斑はあんずから直接受け取っていて、今日もまた、衣装ルームへやってきた。
    「こんにちはああ! ママだぞお!」
     斑のあいさつは絨毯の敷かれた部屋の隅々にまで響き渡った。けれどその大きな声に対して返されるのは静寂のみ。まるで音がカーテンの布に吸収されたみたいにしんとしている。
     あんずが不在であることに首を傾げながら——ここで待っていると連絡をくれたのは彼女の方だ——斑はソファとテーブルがある位置に移動した。すると、丁寧に畳まれた衣装と小さな透明の袋に分けて入れられている装飾品が置いてあるのを見つけた。
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    kotobuki_enst

    DONEあんず島展示① 寒い日の茨あん
    地獄まで道連れなことに定評のある茨あんですが、一度茨のいるところまであんずさんを引き摺り下ろした後に共にまた上り詰めてほしいという概念の話です。
    その身体のぬくもりよ「おかえり、早かったね」
    「会食をドタキャンされてしまったもので」

     もこもこのルームウェアで着膨れした彼女は足先までルームソックスに包み、その上毛布に包まりながらソファに縮こまっていた。限界まで引き延ばしたであろう袖口に収まりきらなかった指先が膝上に置かれたマグカップを支えている。冷え切った自分とは対照的に、随分と暖かそうな格好だった。暖房の効いたリビングは空っ風に吹き付けられた体をじわじわと暖めていく。

    「食べてくると思ってたから何にも用意してないや」
    「連絡を怠ったのはこちらですのでお気遣いなく。栄養補助食品で済ませます」
    「……用意するからちゃんとあったかいご飯食べて。外寒かったでしょ」

     日中の最高気温すら二桁に届かなくなるこの時期、夜は凍えるほどに寒くなる。タクシーを使ったとはいえ、マンションの前に停めさせるわけにもいかず少し離れた大通りから自宅まで数分歩いただけでも体の芯まで冷え切るような心地だった。愛用している手袋を事務所に置いてきてしまったことが悔やまれたが、家に帰ってきてしまえばもうそんなことはどうでもいい。
    2027