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    エノモト

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    エノモト

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    ネタ出し&短編練習として書いたSS②

    初稿:2021/07/06(1270字・40分)
    加筆修正:2022/05/28

    骨(鶴薬)薬研の手首にはブレスレットが巻かれている。
    白くて、何と言うか……そう、骨だ。骨に見える。
    「化石だから、まぁ骨だな」
    ワイシャツと手袋の間から、薬研の白い肌に被るように、チラチラとその骨が覗く。薬研が、ブレスレットをはめた方の手をヒラヒラと振った。
    「1万年かかるそうだ」
    「うん?」
    「化石になるまで」
    そんな豆知識を披露してくれたかと思えば、骨を指先で撫でつつ、『あれ?』という表情をしている。
    「……いや、有史前か後か、だったか……?」
    そう定義づけられたのが、もう1万年も前のことだった。
    「ま、1万年前のものだから化石ってことでいいだろ」
    「いいんじゃないか?」
    もう決める者はいないのだから、自分たちで決めてしまって構わないだろう。

    『主』という存在ですら、今やもう、システムと化していた。作った者がいなくなっても、歴史を守るというのは、何だか不思議な心地だ。
    とはいえ、否やはない。悲観にも暮れていない。何だかんだと、今ですら楽しいのだった。
    鶴丸は積極的に楽しみを見つける性質であったし、もう、刀の姿で大人しく収まるつもりもなかった。
    「きみがそうして、肌身離さず身につけるのは珍しい。……何の化石だ?」
    「鶴丸の」
    「……ふむ」
    『骨が残るものなのか』とは訊ねなかった。鶴丸は、骨として残ることを既に知っていたからだ。
    薬研の手首ごと指で触れ、検分してみる。確かめようもない残骸であるので、何かを鶴丸に伝えてくることはなかった。
    「もうこれだけしか残っていなかったし、あのまま置いておくのも忍びなくて」
    1万年以上前に強襲されたという本丸。そこへと赴いたのはつい先日の話だった。
    既に廃墟ではあったが、審神者の加護が未だ残っているのか、屋敷自体は思っていたより荒れていなかった。定期調査の任務である。要は、何度もどこかしらの調査隊が派遣されているはずの場所。
    「今までよく見つからなかったもんだ」
    「埋まっていたしな」
    「……よく見つけたもんだ」
    「呼ばれてな」
    もう、欠片ほどの骨しか残っていなかったのに、それでもこの刀を呼んだのか。
    その気持はわかるような気もする。自分も、呼んでしまいそうだ。例え最後の一欠片になっても。
    特別責める気はない。化石も、薬研も。
    だが、
    「しまっときなさい」
    「でも、鶴丸はしまわれるのあんまり好きじゃないだろ」
    「きみの手に巻かれてるのを見るのも、あんまり好きじゃないな」
    「可愛いこと言うじゃないか」
    ふふ、と、笑った薬研が鶴丸の頭を撫でた。まるで幼子のような扱いだ。
    「お前だって、俺の欠片持ってるだろ」
    「……バレてたか」
    「俺は懐でよしよしとされて嬉しいけどな」
    鶴丸が、脱ぎ捨てた寝間着にソイツを忍ばせていたのも知っていたのか。
    妬かれないことに少しの不満はあるにはあるが、これはもう感性の違いだろう。置いておけない、ひとりにしておけないという気持ちは一緒だった。
    「まぁ、見せつけてやればいいか」
    「コラ。昼間っからお前」
    あからさまな含みを持たせて、薬研の腰に手を回し、よしよしと腹を撫でてやる。
    そのまま、肋骨の感触を辿っていく。
    手に馴染んで離れない、細いその体躯。
    ──それでも、何もかも、いつまでも残るものではない。
    自分たちもいつどうなるとも知れない。
    最後は薬研と一緒に埋めて欲しい。薬研とふたり、地中深く埋まって、星の最後を見届ける。
    悪くない終わり方じゃないだろうか。

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    recommended works

    げろ彦

    MEMO北斎漫画の感想です。
    走り書きしながら回ったので意味不明のところもあるかと思います
    ◆→作品タイトル
    〇→カットイラストのタイトル
    江戸時代の豆知識的なのをメモしてたりする。

    △→個人の感想、語彙力ZERO
    △日本の和紙すごい
    こんな何年も前に刷られた絵が残っている



    △デフォルメタッチがうますぎる


    △筆圧の強弱の味……



    ◆人物百態
    土蜘蛛の妖怪の絵
    1枚絵として完璧に魅せてくる


    〇辻放下(つじほうか)
    路上で曲芸を見せて銭を貰うストリートパフォーマー

    〇鳥追い(とりおい)
    正月に三味線を弾き歌を歌って門付けする女芸人


    〇すたすた坊主
    頭に鉢巻、腰にしめ縄 注連縄
    手に扇と錫杖を持って忙しい人のかわりにお参りに行く



    〇願人坊主(がんにんぼうず)
    人に変わって水垢離などをした


    △ただのスケッチじゃなくて、ちゃんと物語になってて、ユーモアがある

    〇連
    仲間と共に狂歌や俳諧を読む
    読んでない人は俯いとるのはなんで?
    怠くて寝てんのかな


    〇犀(さい)
    霊獣。キリンに似てる

    〇騶虞(すうぐ)
    白いトラの霊獣
    この時代虎は日本にいないから
    想像で描いてるから
    やっぱり他の動物より本物感は薄れている

    △猿も見たことない種類……
    マスコットキャラみたい

    〇鳥
    カメラがない時代なのに羽ばたいてる瞬間を描いてる

    〇野草
    え?この時代マスキング液とかないよね?
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