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    さくま

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    さくま

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    導入しかないやつ〜!
    むしろ導入以外なーーーーんにも思いついてないやつ

    #読ドラロナ
    readDralona

    読ドラロナ・初夜「セックスするか」
    「えっ」

    私たちの関係はロナルドくんから始まった。

    「千体目の戦い」を執筆するために私の城へと訪れたロナルドくん。
    死んで私が何もできない状態になっても、トドメを刺さなかった。
    それが例え、ロナルド様と賞賛される吸血鬼退治人が書くエンタメ自伝小説のためとはいえ、公平に、フェアな戦いをしようと思う彼の熱意に感心し、私は少しでも良い勝負をしようと試みた。
    しかし、時の流れは残酷だった。
    まさか朝日が登ってこようとは。

    完全なる死を迎えることもなく、今ではこのロナルドくんとコンビを組む間柄となった。
    ロナルドくんの仕事を私が手伝い、そしてロナルドくんがゲームしに私の城に訪れるようになった。

    そう、あくまで私とロナルドくんの関係は、ロナルドくんが私の力を必要と思うときに私を呼び出す、いわばお助けキャラのようなものだ。

    そう、ただそれだけだ。

    だから私は、ソファの端と端に座ってゲームコントローラを握っているロナルドくんと向き合い、聞いてみることにした。

    「も、もう一度言って、ロナルドくん。突然すぎて聞き取れなかったよ」
    「だから、セックスするかって言ったんだよ、ドラルク」

    せ、せっくす。
    セックスって、あのセックスか。
    愛し合う恋人同士が、主に行う行為である、あのセックスのことか?

    あれ、私とロナルドくんの関係って恋人同士?
    ……ではないはずだ。
    だってお互い好きだとか、付き合ってくれと言ってない。
    時にはその言葉さえも無粋になってしまうこともあるが、甘々とは縁遠い雰囲気であるからこそ、言葉がないといけない。

    まさか忘れている?
    いや、それはない。

    私はロナルドくんのことを、初めて会ったときから良いなと思っていたんだ。
    その気持ちが、恋だとか愛だとか、そういうものだと気づくのは遅くなってしまったし、それに私たちは男同士で、しかも吸血鬼と人間であり、彼は吸血鬼退治人だ。
    思いを隠そうと、ただひたすらそばにいることを決めて、ムリをしない程度に自分の気持ちに蓋をした私が、ロナルドくんの言葉を聞き逃すわけがない。

    ぐるぐると頭の中で考えが巡る。
    「遅い」
    ロナルドくんが言う。
    たった数秒ほどしか経っていないはずだ。

    文句を言おうとひとまず思考放棄をした途端。
    私とロナルドくんの唇が重なった。
    キスをしている。
    ロナルドくんから、私にキス。

    私は夢でも見ているんだろうか。
    好きな人と、ロナルドくんと、キスをしているだなんて。

    重なっていた唇が離れていく。
    何か言わなければ。

    「ろ、ロナルドくん……」

    いや、待て。
    何を言えばいいんだ?
    何を言えば、やり直すことができる?
    今のままの関係でも、私は充分に幸せなんだから。
    ここで踏み込んで、今の関係が崩れてしまう方が、私は怖い。
    なのに。
    「まさかザコ砂。お前、やりかた分かんないとか言うんじゃないだろうな」
    「そんなわけなかろう!」
    「じゃあ、何で押し倒さないんだよ」
    「いや、だから……」
    え、待って。
    ロナルドくん、何と言った?
    「押し倒す?誰が、誰を?」
    ロナルドくんの言葉が聞こえているはずなのに、理解が追いつかない。
    「お前が、俺を」
    「君、そっちなの?」
    「抱かれる方が気持ちよさそうじゃねぇか。それに」
    「それに?」
    「感情が昂って吸血されたらようやく『千体目の戦い』を執筆できそうだしな!」
    「君、本当に専業作家になったらどうだい?」

    ここまで言われて逃げるほど、腰抜けではないつもりだ。
    それに発売延期になった責任を、少しでも取ろうじゃないか。

    私はロナルドくんに甘い。
    なんだかんだこれが惚れた弱みというやつだろうか。

    一体ロナルドくんは何を考えているのだろうか。
    それが分からない今はとりあえず少しでも期待に応えようと足掻いてみようか。
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