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    ヒロ・ポン

    支部ないです。ここに全部ある。

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    ヒロ・ポン

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    モブ黒服たちと羊毛教室に参加してる門倉です

    羊毛の刑この時間が好きだった。女性に囲まれているからというのではなく(むしろ疎外感が凄く緊張した)、無心になれるから…
    ここは賭郎本部、なんとなく集まってなんとなく散る休憩所。そして今、なんとなく結成されている羊毛部の活動をしている。
    人を殴る拳を丸めて、刃物ではなくニードルを持ち、急所ではなく羊毛を刺す…すると、無心になっているうちに手の中の羊毛が丸く固まり目指している羊さんの形に近づいて来た。
    隣の席の最上立会人の所の黒服が手元を覗き込んできて裏面の処理の甘さを指摘された。
    おっと、前回もそれが原因でほころびが早かったんだったと思い出し、礼を言いながらまたニードルで刺す。
    女性に囲まれている~なんて鼻の下を伸ばしていたのは最初に入った時の数十分だった。案外難しく、根気強く継続して形が見えて来た時の喜びが自分の性にはあっているらしかった。

    「上手いものだな。裁縫男子という奴か?」
    視界に入れないようにしていたのに向こうから接触して来た。この人だけ、ニードルも普通に武器に見える。
    手元では真っ黒な羊毛が未だ多くの毛羽を残したまま弄ばれ、ほぐされ、原材料に還ろうとしている。
    「あ、ありがとうございます…難しいものではないので、刺すだけで、ね」
    「そうね~集中力が要るけど縫うよりは簡単かも」
    ね~…と言ったところで会話が切れた。視界に黒い物体がにじり寄ってくる。怖い。
    見るからに興味なさそうなのはいい。ただ、圧迫感が凄かった。

    「門倉さん、出来はどうかな~」
    (おやっおやかたさま!?)
    黒服が立ち上がろうとするのを指が一本無い手で制止して、お屋形様が門倉立会人の手元から毛玉を取り上げる。
    「私の性にはどうにも合わないようで」
    「なあにこれ。アレじゃん、こないだマーくんがビデオ借りて来てたやつ。トトロだっけ」
    まっくろくろすけ、という声が最上立会人の所の黒服から上がり、「それ!」とお屋形様が頷く。
    「前がどうだったかわかんないけど、門倉さんちょっと沸点とパワー調整がバカになってるからじっとしてこういうの作ってさあ、南方さんと施設壊す回数減らして欲しいんだよね」
    「ご厚情賜り恐縮です」
    お屋形様がニードルを手に取り、ちくちくと毛玉に刺していく。器用なもので毛羽があっというまに本体に吸い込まれて消えていく。
    はい、と返却された羊毛ボールを門倉立会人が両手の上に乗せ受け取る。
    がんばって!と背後から肩を叩かれた時の門倉立会人の顔は、般若のような…いや、般若そのままだった。

    *

    「…これ、何よ」
    南方は額に青筋を浮かべ、諸々をこらえながらその物体を門倉の前に突き出した。
    ギリギリ、球体のような形状にはなっていたが中心をえぐるようにして乱された毛の渦はとっちらかっていた。
    「おどれの陰毛」
    「は?ワシのは直毛じゃタコ助。人のポケットに入れんな!こんなんお前…ハンカチ出した時に出て来て…判事に”呪われているのか”って真顔で言われたじゃろうが!」
    眉間にそれ以上皺は寄らないだろうと言うくらい深い溝を刻みながら南方は謎の物体をくるくると掌で丸め、ゴミ箱に投げ込んだ。
    「ああっ南方のぽぽちゃんが」
    「何がぽぽちゃんじゃワレ!可燃じゃこんなもん!」
    「陰毛も可燃じゃもんね。分別も完璧じゃなあ」
    「門倉ァ!」

    今度掴みかかったのは南方の方だった。今度は南方が羊毛部に送られるというのを、この時点の二人はまだ知らない。
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    DONE初門梶SSですが、門倉さんあまり出ません。すいません…。

    裏ver書きたい。
    僕の秘密

     門倉さんに秘密にしていることがある。それは門倉さんがいない間に僕が彼のシャツを独り占めしてることだ。僕と門倉さんは恋人同士で今でもどうしてこの関係になったのかもわからない。きっかけはたぶん、プロトポロスでの出来事だろうと踏んでいる。お付き合いしてだいぶ経った頃に彼がある日仕事が長引いてなかなか会えなくて寂しくなった僕は洗濯物に混ざっているシャツを見つけた。シャツから香る門倉さんの匂い。たばこと体臭。最後に嗅いだのはいつだったか。そしてふと思いついて、実行すると寂しさが解消された。
     
     その日も僕はあることを始めた。洗濯せずに取っておいた門倉さんのシャツを抱きしめながら眠る。彼と一緒に暮らすようになって、いつしか彼の存在がそばにあるのが当たり前になっていた。だから、会えない間はそばにいないと僕は胸に穴が開いて落ち着けなくなってしまう。
    「…門倉さん」
    僕より大きいそのシャツから嗅ぎ慣れた匂いがした。その匂いがあるだけで門倉さんがいるんだと錯覚できる。だから、よく眠れるようになる。胸のあたりに顔を埋める。今は薄っぺらいシャツだけの感触しかないけど、ここには彼のたくましく厚い 1001