汗ぽたり
ぽたり
乾いた地面に落ちる水滴を見て雨かと思い空を見上げるけど変わらない曇空で雨雲じゃなかった。
無意識にTシャツの袖で顔を拭いたとき、水滴が自分の汗だと判った。
雨雲になれば、少しはこの状況が変わるかと思ったのに…
広い森の茂みに身を隠しながら、どうして僕がこんな目に合っているのかと記憶を辿る。
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明日から夏休みで少し、ううん。大分興奮したクラスメイトは普段は大人に「行ってはいけない」と注意されている【森】に行こうと言い出した。
賛成する子。反対する子。どっちにも付かず遠巻きに見ている子。
僕もその遠巻きに見ている一人で、楽しそうに騒いでいるクラスメイトを眺めていた。
僕の両親は変わっていて、友達と呼べる子もいないし、頼まれ事以外で話し掛けられても楽しく話した事もなくて、今日の【冒険】も誘われず、一人家に帰るんだろう。そう思っていた。
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