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    Lei

    @PkjLei

    妄想や幻覚を捏造たっぷりで書いてます

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    Lei

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    🦊に執着する依頼者と🦊と👹の話

    執着心絶え間なく流れるピアノの音がやけに耳障りだ。そしてむせかえるような薔薇の匂いと、依頼主がつけている香水の香り。その両方が混ざり合い、甘ったるすぎて顔をしかめたくなる。体中を舐めまわすような視線に、不自然なほどに行われるボディタッチ。今回の依頼者は毎回羽振りがいいものの、どうしても好きになれなかった。しかし依頼を受けなければ生活できないし、依頼内容の割に報酬のいいこの依頼者を切り捨てることは出来なかった。報告に来ただけなのに、気づけばディナーまで付き合わされた。出されたコース料理はなんだか味気なく、腹にたまった気もしない。泊っていくといいと言われたが、泊まる気になれず夜道を1人歩いていた。凍えるような寒さに身を震わせながら、帰ったらすぐに寝ようと心に決め歩くスピードを早めた。

    誰もいないと思い自宅のドアを開けると、リビングから明かりが漏れ出していた。
    「ヴォックス~?来てるの?」
    「ああ、ミスタ。おかえり。邪魔しているぞ」
    「ただいま。いい匂い。ご飯作ってくれたの?ごめん、依頼者に付き合わされてディナー食べてきちゃった」
    リビング中に漂ういい匂いに、申し訳なくなる。こんなことなら断ってくればよかったと後悔する。
    「お前は依頼で忙しくなると食事をないがしろにするからな。作り置きでもしておこうと思ったから気にしなくていい」
    ヴォックスの言葉に、少しだけ気持ちが軽くなる。お茶は飲めるかという言葉にうなずくと準備しておくから、先にシャワーでも入って来いと言われ浴室に向かう。無造作に服を洗濯機に投げ入れ、浴室に入る。どうやら掃除もしておいたらしく、心なしか浴室がピカピカしているように思う。頭からシャワーを浴びると、鼻にいつまでも残っていた嫌な臭いが流れ落ちていくような気がする。
    “ヴォックスがいないと本当俺って駄目だな”
    以前だったら1人でなんとか対処できていた。でもヴォックスと出会ってから、彼無しではいられないようになってしまった。最初はそれではマズいと彼と一定の距離を置こうとしたが、すぐに見破られ懇々と人に頼る重要性を説教されたのはちょっと前の話だ。それをシュウに話したらヴォックスの言うとおりだよと言われたので、本当にそうなのだろう。適当に頭を洗い、そのまま体も洗う。それをシャワーで洗い流すと、やっと肩の荷が軽くなり張り詰めた緊張から解きほぐされたような気がする。シャワー室をでて、雑に体をふきヴォックスが置いておいてくれた部屋着に着替える。濡れた髪はそのままに、タオルを肩にかけてリビングに向かう。
    「髪をちゃんと乾かせと言っているだろう、ミスタ」
    「めんどくさいんだもん。ダディがやってよ」
    茶器の用意をしていたヴォックスに、髪を乾かしてとおねだりする。軽くため息をついた彼は椅子に座って待っていろと言うと、洗面所からドライヤーを持ってくる。ゴーという音共に優しい手つきで、俺の髪を乾かし始める。ただ髪を乾かしているだけだけど、気持ちよくてこの時間が大好きだ。だからヴォックスがいる時は、わざと髪を乾かさずリビングに行く。きっと聡い彼の事だから、俺の意図には気づいてる。なんだかんだ毎回乾かしてくれるのだから、ヴォックスは俺に甘い。
    「できたぞ。紅茶を淹れてくるから、大人しく待っておけ」
    紅茶は嫌い。でもヴォックスの淹れてくれる紅茶は好き。俺用にミルクたっぷり、砂糖もたっぷり入れられた特製のミルクティー。これを飲むと心までぽかぽかになった気がする。
    「ほら。それで、依頼は無事に終わったのか?」
    ヴォックスが差し出してきた俺用のマグカップ。礼を言って受け取り、一口飲む。ああ、やっぱりホッとする。
    「うん。依頼の難易度自体はそこまで高くないから」
    「当分ゆっくりできそうか?」
    「うん、あの依頼者金だけは持ってるから」
    たわいもない雑談に、疲れて凝り固まった心が解きほぐされていく。安心したのかだんだん眠くなってくる。
    「眠いのか?」
    ヴォックスの問いに、目をこすりながらうなずく。
    「俺がベットまで運んでやる」
    スッと俺に近づいたヴォックスは、俺を横抱きにすると寝室に向かう。正直限界だった俺はそれに抵抗することなく、大人しく運ばれる。寝室につくと、俺を優しくベッドに寝かせ布団を被せてくれた。
    「だでぃは帰っちゃうの?」
    「“片づけ”をしたら、一緒に寝るさ。だから、もうおやすみ」
    ヴォックスの優しい声に、限界を迎えていた瞼が下がってくる。きっと今日はいい夢が見れる。そんな予感を抱きながら、俺は夢の世界へ旅立った。




    「さて、この目障りなものをどうしようか」
    ミスタが帰ってきたときから、ヴォックスは怒りを隠していた。理由はただ1つ。ミスタに、どろどろとした忌々しき欲の塊がくっついていた。恐らく、今日の彼の依頼者であろう。彼の話を聞くに、かの依頼者はミスタに魅せられている。彼を自分のものにしたいという欲求がミスタにまとわりついて離れないほどに。不快な臭いを落とすためにシャワーを浴びせた。髪を乾かすときに、彼からはぎ取った暗い欲求はヴォックスに対して彼は僕の物だと主張していた。そんな哀れなモノに、怒りを通り越して笑いが込み上げる。ミスタはヴォックスのものだ。ヴォックスがミスタのものであるように、彼の頭の先から爪の先、魂にいたるまでヴォックスのものだ。美しい彼を穢すものは、ヴォックス以外誰であっても許されるものではない。この汚いものは所有者に返してくることにしよう。

    ヴォックスの影が揺らいだかと思うと、彼の体は忽然とミスタの部屋から消えた。
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    Replies from the creator

    Lei

    DOODLE🦊の方が一枚上手な🦁🦊
    傾国ミスタ・リアスという男は自己評価が低い。様々な才能に溢れているのに、仲間たちやリスナーからの褒め言葉をちっとも受け取ろうとしないそんな男だ。しかし厄介なことにミスタは、ミスタ・リアスという外見が性的な意味で惹きつけるということだけは理解しているのであった。
    天使の輪が光つややかなミルクティーブロンドの髪に、白く真珠のように透き通った肌、空をそのまま落とし込んだような瞳、つんとした綺麗な形の唇は艶々と魅惑的である。彼はこの外見が人々を魅了することは理解している。それを活用することが特にうまい。それが本当に厄介なのだ。今自分が置かれている状況がいい例だ。
    「ねぇ、ルカ?俺と良いことしようよ」
    どこでミスタのスイッチが入ったのかは分からないが、今自分はミスタに誘惑されていた。ツーっとミスタの細く長い指が怪しく俺の太ももをなぞる。こそばゆい感触に背筋がぞくぞくするが、顔に出ないように必死に堪える。何をするんだと非難を込めて睨んでも、ミスタはただ微笑むだけだ。そして今の彼のほほえみはそれだけで、男をうんと頷かせてしまうくらいの力があった。だがしかし、ここで頷けばマフィアのボスとして、1人の男としての沽券に関わる。嫌だと首を振れば、駄々をこねる子供をなだめすかすような目で見られた。
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    Lei

    DOODLE🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)
    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。
    1996

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