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    Lei

    @PkjLei

    妄想や幻覚を捏造たっぷりで書いてます

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    Lei

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    全部に苛立つ🦊の話(👹🦊)

    雨音ぽつぽつと降り出した雨に苛立った。自然現象に苛立つなんてどうかしてると思うけれど、イライラする気持ちを抑えきれなかった。こういう日はたまにある。自分の身の回りの全ての事に腹が立ってしょうがない日。低気圧のせいで頭痛もするし、今日は早く寝てしまおうと決めた。仕事をやる気にもなれなくて、乱雑に書類をまとめて引き出しにぶち込む。どうせ読むのは自分しかいないし。
    ガチャンと音を立ててドア閉めて、事務所をあとにする。自分とすれ違う歩行者全員が幸せそうに見えて、自分1人不幸な気がしてむなしくなる。
    「なんなんだよ。皆して幸せそうに笑いやがって」
    ブツブツとこの世のすべてに対して呪詛を振りまいてやりたくなる。こんな日はベッドに籠るが勝ちだ。早足で自宅に向かって、ベッドに向かう。傘をさしていなかったから、髪も洋服も濡れているけれど、拭く気にも着替える気にもなれなかった。
    “まあいいや。どうせ俺を気にする人なんて誰もいないんだし…”
    そう思って俺は瞼を閉じた。

    ふと意識が浮上した。窓からはザーザーと雨の降る音がする。帰ってきたときよりも、雨脚は強くなっているようだ。そして寝室の扉から光が漏れ出しており、リビングに誰かいるのが分かる。まあ勝手に自分の家に入れる人物なんて1人しかいないのだけれど。ヴォックスがこの家に来るのは珍しくない。自分の料理スキルを憐れんだ彼は、時々家にやってきてはたくさんの料理を作ってくれる。合間に掃除やら洗濯やらもしてくれているので、恋人というより母親のようだ。
    ヴォックスが来ているなら2度寝するわけにもいかないので、よっこいせとベッドから起き上がる。ふと自分の服に目をやれば、着替えさせられてることに気づいた。気に入っている大きめのパーカーとスウェットという、お気に入りの部屋着の組み合わせ。着替えまでしてくれているなんてありがたいはずなのに、眠る前の謎の苛立ちのせいで素直に感謝できそうにない。
    「俺の事なんて放っておいてくれていいのになぁ」
    酷い顔をしている自覚があって、そんな顔をヴォックスに見せたくなくて、扉の前で膝を抱えて座り込んだ。
    「むしろ放っておいて貰えると思っている方に、俺は驚いているけどな」
    顔を上げればヴォックスが目の前に立っていた。逆光のせいで表情はよく分からないが、なんとなく怒ってるんだろうなって思った。
    「だって…俺……」
    「俺は一度手に入れたものを、みすみす手放すつもりはないぞ」
    全くとため息をついたヴォックスは、寝室の電気をつけると俺を抱えてベッドに座った。チュッと額や頬にキスが贈られる。俺の腹の中の苛立ちはそれにもめらめらと燃え立った。
    「もう、やめろよ!」
    グイっと胸板を押してるのに、目の前の男はびくともしなかった。ドンドンと強めの力で叩いても、ヴォックスの表情を崩すことが出来なかった。
    「ミスタ、ちゃんと話しなさい」
    「話すって何をだよ!」
    「何でもいいんだ。今日あったことでも、今の気持ちでも、整理できてなくていい」
    ヴォックスの低音で紡がれた言葉は、いつも以上にひねくれていた今の俺にもストンと落ちた。
    「今日の俺はダメなんだ…」
    全ての事に腹が立ってしょうがないこと、そのせいでしょうもないミスをしてしまったこと、自分でもどうしたらいいのか分からないこと。思いのままに話しているから支離滅裂なはずなのに、ヴォックスはうんうんと頷いてくれた。下手な言葉よりも、その同意が嬉しかった。
    話し終えた時には俺はもう泣いてしまっていた。
    「そんな日はもう寝てしまおうなぁ」
    「うん」
    2人揃ってベッドに横になる。2人で寝るには狭いけど、今はそれがちょうど良かった。牛とヴォックスに抱きついて目を閉じれば、世界に俺たち2人だけになった気がした。
    雨音と俺たちの呼吸の音だけが響くこの部屋は、仮初でも確かなぬくもりがあった。
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    Lei

    DOODLE🦊の方が一枚上手な🦁🦊
    傾国ミスタ・リアスという男は自己評価が低い。様々な才能に溢れているのに、仲間たちやリスナーからの褒め言葉をちっとも受け取ろうとしないそんな男だ。しかし厄介なことにミスタは、ミスタ・リアスという外見が性的な意味で惹きつけるということだけは理解しているのであった。
    天使の輪が光つややかなミルクティーブロンドの髪に、白く真珠のように透き通った肌、空をそのまま落とし込んだような瞳、つんとした綺麗な形の唇は艶々と魅惑的である。彼はこの外見が人々を魅了することは理解している。それを活用することが特にうまい。それが本当に厄介なのだ。今自分が置かれている状況がいい例だ。
    「ねぇ、ルカ?俺と良いことしようよ」
    どこでミスタのスイッチが入ったのかは分からないが、今自分はミスタに誘惑されていた。ツーっとミスタの細く長い指が怪しく俺の太ももをなぞる。こそばゆい感触に背筋がぞくぞくするが、顔に出ないように必死に堪える。何をするんだと非難を込めて睨んでも、ミスタはただ微笑むだけだ。そして今の彼のほほえみはそれだけで、男をうんと頷かせてしまうくらいの力があった。だがしかし、ここで頷けばマフィアのボスとして、1人の男としての沽券に関わる。嫌だと首を振れば、駄々をこねる子供をなだめすかすような目で見られた。
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    Lei

    DOODLE🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)
    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。
    1996

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