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    Lei

    @PkjLei

    妄想や幻覚を捏造たっぷりで書いてます

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    Lei

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    🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)

    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。

    最初の手紙が届いて2週間後、次の手紙が届いた。中には“ちゃんと風呂に入りなさい”と書かれた一筆箋。まるで母親のようなその言葉にくっくっと笑いが込み上げる。ひとしきり笑った後に、アイクが死んでから久しぶりに笑ったなぁと思った。シャワーを浴びれば、スッキリと頭が冴えわたるような気がした。適当に着替えて浴室を出る。そしてそのままキッチンに向かって冷蔵庫から水を取り出して飲む。水の冷たさが火照った体にはちょうど良かった。最初の手紙が届いてから、毎日食事を取るようになったせいか腹が小さく鳴った。
    林檎でも食べるかと、お行儀が悪いがそのまま丸かじりする。シャキシャキとした食感とすっきりとした甘さ。禁断の果実とも言われるものを、アクマの名を持つ鬼の自分が食べているのをアイクは笑っていたなと思いだした。

    そんな感じのアイクからの手紙は2週間に1回の頻度で届いた。彼の手紙はいつも一言だった。しかしそれによって、少しずつ自分は人らしい生活を取り戻していった。朝7時に目を覚まし朝食を食べ、家の掃除をする。昼食を食べた後は、散歩がてら買い物に行く。夕飯を食べながらTVでも見て、風呂に入って22時には寝る。規則正しすぎる生活。アイクが死んだ後の人外の生活からは考えられないだろう。鬼の自分を人の世界に引き留め続けるのは、どうやってもアイクだけなのだった。
    そうして彼の手紙が届き始めて半年が過ぎた頃。今日もやってきた手紙をワクワクしながら開けば、“これで最後。僕の机の引き出しを見て”と書いてあった。掃除をするようになっても、アイクの部屋にだけは入れていなかった自分を見透かしているような手紙に少し怖くなった。恐る恐るアイクの部屋の扉を開ける。そこは彼が生きていた時と全く変わらなかった。掃除をしていないから少し埃臭いけれど、それは大した問題では無かった。アイクが吟味に吟味を重ねた机とテーブルが窓際に鎮座していた。ここで時間を忘れて執筆作業するアイクを見るのが、一等好きだった。その姿の幻覚を見ながら、机の引き出しを引いた。そこには原稿用紙の束があった。それは文豪アイク・イーヴランドの遺作であった。それをそっと机の上に出して、アイクの気に入りの椅子に座って彼が残した最後の作品を読み始めた。
    その作品はアイクから見た、自分とアイクの話であった。恥ずかしがりやな所がある彼は生きている時は素直に気持ちを言うことは無かった。それなのに作品の中の彼は、いまだかつてないほど饒舌に自分への愛を語っていた。そうして最後の一言見た時に、こらえていた涙腺が崩壊した。原稿用紙を汚さないように、自分の腕に顔を押し付けて泣いた。400年も生きた鬼の自分がわんわんと子供のようにみっともなく泣いた。アイクが死んでから、初めてまともに泣いた。それくらい自分にとって、ヴォックス・アクマにとって、アイク・イーヴランドという人物は大切で愛していたのだ。寂寥感と虚しさが襲ってくるが、それでも死んだ直後のように無気力にはなれなかった。それはアイクが半年かけて送った手紙のおかげでもあったし、遺作の最後の一言があったからであろう。この先自分は寂しさを抱えながら、いつか来る未来を待って生きるのだろうと思った。それがいつになるのか分からないけれど、この作品と手紙そして思い出を抱えて生きるのも悪くない。そう思えた。
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    Lei

    DOODLE🦊の方が一枚上手な🦁🦊
    傾国ミスタ・リアスという男は自己評価が低い。様々な才能に溢れているのに、仲間たちやリスナーからの褒め言葉をちっとも受け取ろうとしないそんな男だ。しかし厄介なことにミスタは、ミスタ・リアスという外見が性的な意味で惹きつけるということだけは理解しているのであった。
    天使の輪が光つややかなミルクティーブロンドの髪に、白く真珠のように透き通った肌、空をそのまま落とし込んだような瞳、つんとした綺麗な形の唇は艶々と魅惑的である。彼はこの外見が人々を魅了することは理解している。それを活用することが特にうまい。それが本当に厄介なのだ。今自分が置かれている状況がいい例だ。
    「ねぇ、ルカ?俺と良いことしようよ」
    どこでミスタのスイッチが入ったのかは分からないが、今自分はミスタに誘惑されていた。ツーっとミスタの細く長い指が怪しく俺の太ももをなぞる。こそばゆい感触に背筋がぞくぞくするが、顔に出ないように必死に堪える。何をするんだと非難を込めて睨んでも、ミスタはただ微笑むだけだ。そして今の彼のほほえみはそれだけで、男をうんと頷かせてしまうくらいの力があった。だがしかし、ここで頷けばマフィアのボスとして、1人の男としての沽券に関わる。嫌だと首を振れば、駄々をこねる子供をなだめすかすような目で見られた。
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    Lei

    DOODLE🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)
    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。
    1996

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