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    Lei

    @PkjLei

    妄想や幻覚を捏造たっぷりで書いてます

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    Lei

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    大学生パロな👹🦊
    👹に片思いする性格悪い女子に言われたことが理由で、👹から逃げる🦊
    注:モブが喋ります。モブが嫌な女です。
    友情出演:👟🖊🦁

    ふさわしいのはポタポタと水が滴り落ち、ズボンにシミを作っていく。穏やかな日曜の昼下がりのカフェ。どうしてこんなことになってしまったんだろう。

    「リアス君、日曜日空いてる?」
    そう俺に話しかけてきたのは、ヴォックスと同じサークルに所属している女の子だった。確かミスコン優勝者。興味なかったから、詳しくは知らないけど。俺とヴォックスは違う学部、違うサークル。だからその子との接点なんて、ほとんどなくて1回挨拶をしたことがあるか無いかくらいのはずだ。
    「空いてるけど」
    「良かった。今度の日曜13時に、駅前のカフェに来てもらえないかな?」
    唐突な休日のお誘い。普通の男なら嬉しいと思うんだろうけど、残念ながら俺はヴォックスという最愛の彼氏がいる。
    「2人で?ヴォックスとか誘わなくていいの?」
    「ちょっと相談したいことがあるから2人がいいかな」
    気恥ずかしそうに言う彼女にそれ以上追求できず、了解する。
    「ありがとう!じゃあ日曜日にね」
    俺に話しかけてきたのは約束を取り付けるためだけだったらしく、彼女は足早に去っていった。

    そして来る日曜日。駅前のカフェはほどほどに混みあっていた。俺はアップルジュース、彼女はキャラメルマキアートを注文し席に着く。
    「それで、相談って何?」
    席についても喋らない彼女にしびれを切らした俺は、話を切り出した。
    「……リアス君と、ヴォックス君の関係って何?」
    「シェアハウスするくらいには仲のいい友達だけど?」
    嘘。本当は同棲というやつ。高校の頃に付き合い始め、大学進学を期に同棲を開始したのだがそれを彼女に伝える気は無い。
    「男の子って仲いいと、外で恋人つなぎなんてするんだ」
    そういって彼女がカバンから取り出したのは、俺とヴォックスが手を繋いでいる写真だった。服装から思い出すに、一緒に映画を見に行った日。人混みの中、こっそりと繋いでいたのだけれど、どうやら彼女に見られていたらしい。
    「その時のノリってやつだよ!」
    「うそよ、知ってるんだから。貴方とヴォックス君が付き合っているの」
    そこからは彼女の独壇場だった。彼女曰く、ヴォックスという顔良し、頭良し、家柄良し、性格良しの男はそれに相応しい女性と付き合うべきらしい。そして俺は、ヴォックスの未来を奪うとんでもない男ということ。彼の事を本当に思っているなら、別れるべき。
    「だから、別れてくれるわよね?」
    その彼女の言葉に、俺はすぐにうなずくことが出来なかった。そうすると彼女は我慢できない様子で、テーブルの上の水の入ったコップをつかむと俺にぶっかけてきた。
    「この身の程知らず!アンタみたいな異常者が調子に乗って!ヴォックス君の未来を奪わないで!」
    そういうと彼女は怒った様子でカバンをひっつかみ、金も支払わずにカフェを出ていった。

    そこからどうやって家に帰ったかは覚えていない。濡れたまま家に帰った俺を見て、ひどく心配したヴォックスに浴室に押し込まれた。シャワーを浴びてから、リビングに行くとヴォックスがココアを淹れておいてくれていた。
    「で、なんでお前は濡れて帰ってきたんだ?」
    俺が席に着くと同時に、ヴォックスが切り出した。
    「公園に行ったら、子供たちの水鉄砲の流れ弾にあったんだよ」
    俺たちの家の近くには、デカい公園もあるしありえない話じゃない。
    「なるほど、災難だったな」
    「子供たちにもめっちゃ謝られたよ」
    「それで、今日の呼び出しの要件は何だったんだ?」
    「あ~、俺のゼミの友達が気になるらしくてそれの相談」
    適当に嘘と真実を混ぜる。特に怪しむ様子の無いヴォックスにホッとする。その一方で彼女に言われた言葉が胸に突き刺さり、ズキズキと痛む。結局その日は彼女に言われたことが頭から離れず、モヤモヤとした気持ちを抱え続けた。

    その日からだった。彼女が毎日のように別れろと、言いに来るようになったのは。俺から告白した訳ではないことを伝えても、“俺”という存在がヴォックスにとって邪魔でしかないと言われる。最初は気丈でいられたけど、段々と彼女の言うことが正しいのではないかと思うようになってしまった。1度そう思ってしまうと、ヴォックスと一緒にいるのが申し訳なくなってしまい始める。何が正解で、俺はどうしたらいいのか分からなくなる。どんどん沼に沈んでいくように、気分が沈みこむ。鬱々とした俺が出した結論は、ヴォックスの前から消えることだった。ヴォックスがサークルの合宿で居ない1週間。一緒に住んでいる家から俺の荷物を運び出す。俺の痕跡を抹消した、2人で選んだ部屋。“ごめん”と書き置きの手紙と、彼からプレゼントしてくれた指輪をテーブルに置く。部屋の鍵を閉め、郵便受けに鍵を入れる。これでもう、ヴォックスとはさよならだ。

    2人の家を出た俺が向かった先は、兄弟であるシュウの家だった。彼は今、海外に留学している。パスポートは持っていたので、格安の飛行機のチケットを取った。詳しい事情も告げず家に住まわせてと無茶なことを言ったが、彼は快く迎え入れてくれた。お礼に家事はするって言ったんだけど、何故か断られ俺がしていることは買い物に行くことくらいだった。
    「で、なんでウチに来たの?ヴォックスに来てること言わないでくれなんていう条件も付けて」
    そうシュウが切り出したのは、俺が住み始めて2週間後の事だった。
    「ヴォックスとは別れた。あいつとは距離を置きたいから、ここにいることバレたくない」
    「本当に別れたの?ちゃんと別れたなら、ヴォックスが僕にミスタの居場所を知らないか?なんて聞くはずないと思うんだけど」
    シュウのところに連絡が来ているのは知っていた。ちょうどヴォックスが家に帰ったであろう日から毎日、シュウの所に連絡が来ている。シュウは僕も知らないんだよと言って誤魔化している。
    「……俺はヴォクスにとって害しかないんだ」
    「なんでそんな悲しいこと言うの」
    俺の言葉に、俺より悲壮な顔をするシュウ。
    「ある人に言われたんだ、ヴォックスには、家柄も顔も性格も能力も良い人がふさわしいって」
    「そんなことない!ヴォックスにとっては、ミスタが良かったはずだ!」
    「でも俺は、ヴォックスから奪うことしかできないんだよ?子供だって作れない」
    泣くつもりはなかったのに、涙が零れ落ちる。1度泣いてしまえば、カフェで言われた時から溜まっていた気持ちがあふれ出るように涙がどんどんと出てくる。慌てたようにシュウがギュッと、抱きしめてくれる。
    「ミスタ、そんな自分を傷つけること言わないで」
    頭を撫でてくれるシュウの手に心地よさを感じる一方で、ヴォックスの手を思い出して更に涙が出る。俺が泣き止むまで、シュウはずっと抱きしめて頭を撫でていてくれた。

    「ミスタ、どこにいる…なんでごめんなんて……」
    普段がカッコつけの色男は、1週間前に愛している恋人に雲隠れされてからすっかりくだびれてしまっていた。高校時代に特に仲の良かったルカ、シュウ、そして自分など思いつくところに連絡はしたが彼の詳細はいざ知らず。兄弟のシュウですら知らないのは、いささか怪しいが。送った指輪も置いて行かれ、連絡も取れず、居場所も分からない。なぜそんなことになったのか、心当たりもないらしくすっかり困り果てていた。食事もおろそかにしたせいで倒れそうになっていた、彼を食事に連れ出したのは僕だ。酒は頼んでいないが、すっかり酔ったような様子の彼に電話をかけてきたのは、シュウだった。
    「シュウか、ミスタの居場所が分かったのか?」
    「なんで、ミスタが酷いこと言われているのを知らないの!」
    珍しく怒りを露わにした様子のシュウが言うところによると、ミスタはどうやらある人物からヴォックスと別れろと言われ続けていたらしい。その際にミスタ自身を否定し、傷つけるようなことも。それに悩み続けた結果、ヴォックスの前から姿を消すという結論をミスタは出したらしい。というかシュウ怒りすぎて分かってないんだろうけど、暗にミスタが自分の所にいるって言ってるよね。居場所を知らないなんて、嘘だと思ってたけどね。
    「そんなことが…」
    シュウの言われたことにショックを受け、黙り込むヴォックス。
    「誰に言われたのかミスタは、絶対に言わない。もしヴォックスがミスタともう一度会いたいなら、そいつをどうにかして。じゃないと家に来ても絶対に入れないし、会わせないから」
    「分かった。俺が行くまで、ミスタを頼む」
    電話がかかってくるまでとは違い、目に光が戻る。
    「すまん、アイク。やることが出来た」
    「いいよ。それより心当たりはあるの?」
    「丁度ミスタが居なくなってから、付き合ってくれと言い続ける奴がいる。事情は知っているだろう」
    「殺さないでよ。ヴォックスが捕まって、傷つくのはミスタだ」
    「もちろんだ」
    今日の礼だと、多めの金を置いていこうとするヴォックスを止める。
    「ミスタとよりを戻した時に奢ってよ」
    僕の言葉に、笑ったヴォックスはもう一度礼を言うと足早に店を出ていった。僕は見守るしかできないけれど、彼らの行く先が上手くいくことを祈った。

    ピンポーンというチャイムの音に、暇つぶしに呼んでいた本から顔を上げる。何か荷物でも届いたのであろうと、何も考えずに扉を開ける。するとそこに立っていたのは、結局心の中から離れなかった人物だった。勢いよく扉を閉めようとする俺を、すばやく足を間に差し入れることで阻止するヴォックス。
    「頼む、話を聞いてくれ」
    「いやだ、お前と話すことなんてない」
    「お願いだ、ミスタ」
    ヴォックスの足がケガするかもなんて思えば、扉を閉める力をそれ以上強くすることなんて出来ない。それに気づいているのか、ヴォックスは扉に手をかけると無理やり開けてきた。ゴリラかよ。あまりの力の強さに呆然とする俺を、痛いほどの力で抱きしめてくるヴォックス。久しぶりの彼の匂いに、安心してしまう。
    「離してよ」
    「嫌だ。離したら、お前はまた逃げるだろ」
    離すという言葉に反応して、これ以上ないと思っていた抱きしめる力をさらに強めてくる。
    痛いけどなんだか愛されているような気がして、ヴォックスの前から俺から消えた癖に嬉しくなる。
    「あのな俺は子供なんていらないんだ」
    唐突に始まったヴォックスの話。それによると、どうやら俺に別れろと言ってきた女はヴォックスから丁重にお断りをしたらしい。そしてなぜ俺じゃなきゃダメなのか、俺が消えてどれだけ傷ついたのか語られた。
    「でも、ヴォックスにはやっぱり女の子の方が…」
    「くどい。俺はお前が良いと言っているんだ」
    それでもごねる俺を一刀両断するヴォックス。黙り込む俺に、しびれを切らしたのかヴォックスは抱きしめていた力を緩ませ俺の左手を取った。何をするのか見つめると、そっと薬指につけられる置いてきた指輪。
    「これを送った時から、俺にはお前しかいない。お前以外考えられない」
    俺を見つめる真剣な瞳に、張り詰めていた気持ちが緩んでいく。
    「俺がお前の邪魔になってるなんて思ってなかった」
    「邪魔じゃない。むしろ傍にいてくれなきゃ困る」
    「何もお前に与えてやれない」
    「そんなことない。俺に愛をくれるじゃないか」
    「……いっしょにいたいよ、ヴォックス」
    「ああ、いつまでも一緒にいよう」
    またギュと抱きしめてくるヴォックス。さっきとは違い、俺もヴォックスの背中に手を回す。
    まるで2人だけの世界にいるみたいで、どうしようもなく幸せだった。

    蛇足の話 そのいち
    「そろそろ、部屋の中に入らない?」
    シュウの言葉に、ビックリして飛び上がる。そういえばここは、シュウの家の玄関だった。
    「いつから見てた!」
    「やあ、シュウ。ミスタと会わせてくれて、ありがとう」
    恥ずかしさから顔が赤くなっているのが分かる。
    「呼び鈴の音で来てたのは分かったんだけど、30分経ってもリビングに来ないから呼びに来たんだよ」
    どうやら見られていたわけじゃないらしい。ホッと一安心し、抱きしめていた手を放す。
    「部屋に入ろうぜ」
    抱きしめる手を緩めないヴォックスに声をかける。
    「手を離したらどこかに行ってしまいそうな気がする」
    「ちゃんとお前と一緒に家に帰るよ」
    安心させるように背中を撫でると、緩められる手。そんな俺たちを見て、シュウは安心したような表情を浮かべる。
    「でも次は無いからね。もし次似たようなことがあったら、絶対に教えないから」
    「ああ。次はない」
    シュウの言葉に、深くうなずくヴォックス。そっと彼の腕に手をやれば、安心させるように微笑んでくれる。多分心無いことを言ってくるやつはいるかもしれない。でも、ヴォックスがいてくれたら大丈夫。そんな確信が持てた。

    蛇足 そのに
    「ミスタとヴォックスの復縁を祝して、乾杯~~~~~!!!!!」
    陽気なルカの音頭から始まったのは、今回の件で迷惑をかけてしまったルカ、アイク、シュウへのお詫びの会。俺たちと一緒に、シュウも夏休みということで帰ってきていた。
    「いや本当に良かったよ。ヴォックスから連絡来た時はどうなるかと思った!」
    「本当にね。まぁくたびれたヴォックスなんて一生に一度見れるかどうかだから、逆に見れて良かったかも」
    「ヴォックスにはミスタしかいないなんて分かり切ったことなのにね」
    POGといつもの決まり文句を叫びつつ、良かったと言ってくれるルカ。そして安堵しつつも、ヴォックスをからかうアイク。やれやれとといった様子でため息をつくシュウ。俺たちの中を肯定してくれる仲間がいることに、胸が熱くなる。
    「本当ありがとう‥‥」
    なんだか最近涙もろくなったみたいだ。まだ酔っぱらってもいないのに、涙がポロっと出てくる。
    「ああ、ミスタ泣くなよ!」
    ルカが励ますように、ギュッと抱きしめてくれる。
    「なんか嬉しいなって思ったら、涙が…」
    「ならいいけどね。でも、俺なんかがって思ったらダメだよ」
    おしぼりを差し出しながら、アイクがくぎを刺す。
    「そうだぞ。次に俺にふさわしくないなんて考えた日には、たっぷり骨の髄まで教え込んでやる」
    俺の耳元で囁いたヴォックスの言葉に思い出されるのは、シュウの家から帰宅した日の夜の事。もう無理って何回も言ったのに、やめてもらえなかったあの夜。ボッと一気に顔が赤くなった俺に、けらけらと愉快そうに笑うヴォックス。
    「その調子なら大丈夫そうだね」
    「POG!!!!!!!!!」
    「ルカは絶対分かってないね」
    これまた俺を見て、満足そうにうなずく仲間たち。(ルカは多分分かってないけど)
    「ああ~!!もう!俺を見ないで!」
    気恥ずかしくなって、ルカの腕を振り払うと近くにあったジョッキを掴む。
    「乾杯したのに全然飲んでないじゃん!ほら飲むぞ!」
    ぐびぐびと酒を飲む俺を見て、更に笑いを深めたこいつらは可愛いミスタに乾杯なんていいやがる。全く困ったやつらだ。でも、そんなこいつらのこと大好きで仕方ないんだけどね!
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    Lei

    DOODLE🦊の方が一枚上手な🦁🦊
    傾国ミスタ・リアスという男は自己評価が低い。様々な才能に溢れているのに、仲間たちやリスナーからの褒め言葉をちっとも受け取ろうとしないそんな男だ。しかし厄介なことにミスタは、ミスタ・リアスという外見が性的な意味で惹きつけるということだけは理解しているのであった。
    天使の輪が光つややかなミルクティーブロンドの髪に、白く真珠のように透き通った肌、空をそのまま落とし込んだような瞳、つんとした綺麗な形の唇は艶々と魅惑的である。彼はこの外見が人々を魅了することは理解している。それを活用することが特にうまい。それが本当に厄介なのだ。今自分が置かれている状況がいい例だ。
    「ねぇ、ルカ?俺と良いことしようよ」
    どこでミスタのスイッチが入ったのかは分からないが、今自分はミスタに誘惑されていた。ツーっとミスタの細く長い指が怪しく俺の太ももをなぞる。こそばゆい感触に背筋がぞくぞくするが、顔に出ないように必死に堪える。何をするんだと非難を込めて睨んでも、ミスタはただ微笑むだけだ。そして今の彼のほほえみはそれだけで、男をうんと頷かせてしまうくらいの力があった。だがしかし、ここで頷けばマフィアのボスとして、1人の男としての沽券に関わる。嫌だと首を振れば、駄々をこねる子供をなだめすかすような目で見られた。
    1088

    Lei

    DOODLE🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)
    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。
    1996