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    Lei

    @PkjLei

    妄想や幻覚を捏造たっぷりで書いてます

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    Lei

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    👹に指輪を投げつける🦊の話

    指輪机の上に置かれた、指輪の入った箱。勢いで買ってしまったこれを、一体全体どうしたらいいのか。名探偵であるはずの自分でさえ分からない、この難問。捨てるには高すぎて、渡そうとした相手に渡すには正気に戻ってしまった。
    「何で俺はこれを買っちゃたの!????馬鹿なのか!?」
    頭を抱えながら、これを買った時を思い出す。

    ぶらぶらと洋服を買った帰り道。普段は目にも止まらない、高級アクセサリー店。それに目が行ってしまったのは、何故だろう。もしかしたらヴォックスとの交際が5年目を迎え、彼との“これから”を考えるようになったからかもしれない。普通のカップルなら結婚も視野に入っているであろう期間。しかし俺たちは“普通”のカップルじゃない。男同士ってこともそうだけど、何よりヴォックスは400年生きる鬼だ。俺が寿命を迎えても、彼はその後もずっと生きるのだろう。そう考えれば、俺と過ごす時間は彼の中ではちっぽけなものに過ぎない。そんな俺が彼を一時でも縛り付けるのは、いけないことだろう。それでも、5年という月日を彼に愛されてしまった俺は、彼を縛り付けてしまいたいという身分不相応な願いを抱いてしまっている。フラフラと入ったそこは、幸せそうなカップルでいっぱいだった。
    「何かお探しですか?」
    店員に話しかけられて、びっくりしてしまう。
    「あ、恋人に贈る指輪が欲しくて…」
    驚いたせいで、するすると言葉が零れ落ちてしまう。にっこりと笑った店員は、こちらはどうですか?人気のある商品なんですといくつかの指輪を見せてきた。それらは可愛らしいデザインの華奢な指輪だった。いいものなんだろうけど、俺が贈りたいのはこれじゃない。こんな可愛いものはヴォックスには似合わないし、そもそもサイズが無いだろう。仮にサイズがあったとしても、これを身につけるヴォックスを想像するだけで笑えてしまう。
    「お客様?」
    何も反応を示さない俺に、いぶかしげな顔をする店員。どうしよう。やっぱり男の俺が恋人に贈るって言ったら、やっぱり女の人に贈るって思われちゃうよなぁ。困り切ってしまって、なんて取り繕えばいいのかも分からない。そんな俺の様子に何か気づいたらしい店員が、少々お待ちくださいといって店の奥に消えていった。不審者と思われたかなぁと思いつつ、立ち去ることも出来ずその場に立ちつくす。
    「お待たせしました。こちらはいかがでしょうか?」
    そういってスッと差し出されたのは、さっきとは全く違うデザイン。太めの幅のプラチナの指輪。ひねりが入ったような形で、真ん中に小さ目なイエローダイヤモンド。それがまるでヴォックスの瞳のようで。
    「いいですね…」
    「気に入っていただけて、何よりでございます」

    気に入った勢いで、購入した彼のサイズの指輪。しかし家に帰れば正気に戻り、軽かったはずの箱がずしんと重くなる。俺がつけようにも、彼のサイズではぶかぶかになってしまう。箱を手の中でもてあそぶ。指輪に気を取られ、俺は背後から近づいてくる存在に気が付かなかった。

    「おや、それは何だい?」
    「うわあああああああ」
    聞きなれた、しかし今一番聞きたくない男の声。飛び上がって、箱を後ろ手に隠す。そんな俺に愉快そうな顔を隠さないヴォックス。
    「悲しいなぁ。せっかく遊びに来たのに、そんな反応をされるなんて…」
    シクシクと下手くそな泣きまねをするヴォックス。
    「来るって聞いてないぞ…」
    「メッセージを送ったはずだが?」
    慌てて携帯を確認すれば、確かに1時間ほど前にヴォックスからメッセージが来ていた。指輪を買ったことに動転していた俺は、それに気づいていなかった。
    「あ~~~~、気づいてなかったなぁ~~~~~~~」
    もうやけくそになって大声を出せば、ヴォックスは笑みを深くする。
    「それで?その手の中の物は、俺当てじゃないのか?」
    箱の中の正体を分かり切った様子のヴォックス。ここまで来たら渡してもいいんじゃないかという自分と、そんな資格お前にはないだろと責める自分がぶつかり合う。感情がぐしゃぐしゃになって、愉快そうに笑うヴォックスにも腹が立って、もう分かんなくなって手の中の箱をヴォックスに向かってぶん投げる。平然とした顔でそれをキャッチするヴォックス。
    「いいのか?」
    「分かり切ってるくせに!!!いらないんだったら捨てろよぉ!!!!!」
    フーフーとなんだかよく分からない怒りに肩を震わせつつ、怒鳴る。どうせ俺の中の葛藤も何もかも分かってるくせに、それを言葉にしたがらせるヴォックス。もういっそのこと殺してくれればいいのに。顔も見れなくなって、膝を抱えてうずくまる。感情が爆発して、涙があふれてくる。
    「ああ、からかいすぎてしまったな。すまない」
    ぎゅっと抱きしめてくるヴォックス。その腕の中から抜け出そうと、じたばたと暴れるけどたくましいその腕はまったく動かなかった。
    「きらい…」
    「そんなこと言わないでくれ。お前が俺に、指輪を買ってくれるだなんて思ってもなかったからはしゃぎすぎた」
    涙を拭うように、顔中に贈られるキス。
    「指輪、つけてもいいか?」
    「すきにすれば…」
    ぶっきらぼうに答えれば、目の前で開かれる小箱。キラキラと光る指輪がゆっくりと、彼の左薬指にはまっていく。
    「いいデザインだな。さすがミスタ」
    左手を見ながら、満足そうに言うヴォックス。キラキラと光るイエローダイヤモンドが彼の黄金の瞳と重なって、買ってよかったなと思う。
    「お前も、俺からの指輪を受け取ってくれるか?」
    「へ?」
    話を聞けば、ヴォックスも俺に贈ろうと指輪を買っていたらしい。今は持っていないが家にあるらしく、明日持ってくるから身につけて欲しいと。ずっと指輪を贈りたかったが、俺がそんな様子じゃなかったから贈れなかった。だから、お前が俺に指輪を買ってくれるのが分かって嬉しかった。嬉しすぎて感情を制限できなかったのだと。
    なんだそれ。まるで人間みたいじゃないか。出会った頃の人間離れしたヴォックスからは考えられない言葉。俺がここまで彼を変えたのかと思えば、悩んでいたのが馬鹿らしく思えてくる。
    「あははははは」
    腹の底から笑いが込み上げてきてしょうがない。なんだ、俺はもうこんなにヴォックスに愛されているんじゃないか。ぎゅーっと自分からヴォックスに抱き着く。かなりの勢いで抱きついたけど、ヴォックスはしっかりと受け止めてくれる。
    「結婚しよ!ヴォックス!」
    俺の言葉に目を見開いたヴォックスは、次の瞬間には満面の笑みを浮かべてキスをしてくれた。
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    Replies from the creator

    Lei

    DOODLE🦊の方が一枚上手な🦁🦊
    傾国ミスタ・リアスという男は自己評価が低い。様々な才能に溢れているのに、仲間たちやリスナーからの褒め言葉をちっとも受け取ろうとしないそんな男だ。しかし厄介なことにミスタは、ミスタ・リアスという外見が性的な意味で惹きつけるということだけは理解しているのであった。
    天使の輪が光つややかなミルクティーブロンドの髪に、白く真珠のように透き通った肌、空をそのまま落とし込んだような瞳、つんとした綺麗な形の唇は艶々と魅惑的である。彼はこの外見が人々を魅了することは理解している。それを活用することが特にうまい。それが本当に厄介なのだ。今自分が置かれている状況がいい例だ。
    「ねぇ、ルカ?俺と良いことしようよ」
    どこでミスタのスイッチが入ったのかは分からないが、今自分はミスタに誘惑されていた。ツーっとミスタの細く長い指が怪しく俺の太ももをなぞる。こそばゆい感触に背筋がぞくぞくするが、顔に出ないように必死に堪える。何をするんだと非難を込めて睨んでも、ミスタはただ微笑むだけだ。そして今の彼のほほえみはそれだけで、男をうんと頷かせてしまうくらいの力があった。だがしかし、ここで頷けばマフィアのボスとして、1人の男としての沽券に関わる。嫌だと首を振れば、駄々をこねる子供をなだめすかすような目で見られた。
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    Lei

    DOODLE🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)
    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。
    1996

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