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    ry_blah

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    仮面舞踏家×白雷スキン。仮面プト族可愛すぎる駄目になる。

    メモレベルの内容なので誤字脱字、急展開ご容赦ください。

    #プトオク
    ptochu
    #仮面族
    maskedPeople
    #仮面舞踏家
    masquerader
    #白雷

    山の精霊プトと砂漠の眷属オクソイツの変わった届け物は、なんの変哲もない石ころから始まった。

    「ん?なんだこれ?くれるのか?」

    こくこくと上下する派手なお面。砂漠にも石くらいならそこら中に転がっているが、碌に雨が降らないこの地帯ではなかなかお目にかかれない苔が生えている。たしかに、これは少し珍しい。

    なぜこんなものを、と不思議に思うがコイツの善意を無駄にする訳にもいかない。

    「そうか、ありがとな!大事にするぜ」

    動かない仮面は気持ちを伝える手だてはないけれど、なんとなく感情は読める。嬉しそうで何よりだ。



    名前も知らない仮面の男と出会ったのは、まだコイツが俺の膝くらいまでしか身長がなかった頃。俺の棲み処である砂漠に、ふらふらと迷い込んできた一人の子ども。見るからに砂漠の眷属でないソイツは、いくつものオアシスを超えた先にある山奥の精霊のようだった。

    「なんだお前、どうしたこんなところで」
    「…」

    喋れないのか、それとも警戒しているのか。うんともすんとも言わない子供に当初俺はほとほと困り果てたが、見捨てるわけにもいかず。アネキや近くの涸れ谷に住むブラッドハウンドの協力を得て、紆余曲折ありながらも本来の棲み処である山奥に帰すことができた。結局最後まで言葉を交わすことは叶わず、迷っていた理由も分からずじまいだったけれど。



    それから数十年。迷子を助けたことなどとうに忘れかけていた頃、コイツは再び俺の前に現れた。俺の身長はとっくに抜かれ、最後に会ったときとは比べものにならないほど逞しく育ったソイツは、最初は誰だか分からなかったくらいだ。生まれ落ちてから一気に成長する砂漠の眷属とは違い、山の精は成長が比較的緩やからしい。

    久々の再会を喜ぶ俺にこいつが差し出したのが、山から拾ってきた石ころだった。恐らく礼のつもりだったのだろう、角がない綺麗なまあるい石。数えきれない石の中から、きっととびきりのものを選んでくれたのだ。無事俺への礼を果たすと男はすぐに身を翻し、日が照る砂漠から自身の涼やかな山へと帰っていく。今度こそもう会うことはないんだろうな、と少し寂しく思いつつ、満足そうに帰巣する極彩色の精を見送った。



    しかし、俺の予想に反し、ソイツは以降何度も何度も俺に会いに来た。砂漠からコイツの棲む山奥は遠い。人間だったら優にひと月は歩かなければ辿り着かない距離。精霊にとっては苦ではないのかもしれないが、飽きずに遠路はるばるやってくるコイツに俺は首をかしげるばかりだ。そのうえコイツは毎回律儀に一つの品物を携えて訪れる。

    葉っぱ、木の実、山鳥の羽、はたまた土まで。

    すべて砂漠では手に入らない珍しいものではあるものの、贈り物と呼ぶには少し謎めいている。けれど毎度、少し緊張した様子でおずおずと差し出してくるものだから、それぞれにコイツなりの想いがこもっているのだと理解し、俺はそれだけで嬉しかった。時間の経過でそれらが枯れようと、塵になろうと、すべて大切に取っておいた。



    ある日のこと。いつものごとく数か月ぶりに砂漠まで降りてきた仮面が、物珍しそうに俺の腰をじっと見つめているのに気づく。

    「あ、これか?カッコイイだろ!俺たち砂漠の眷属は大人になると、それぞれが金でできた装飾品を与えられるんだ!俺はこのベルト」

    俺が興奮気味に説明すると、男は指先でするすると金属の腰帯をなぞる。

    「これで俺も晴れて大人の仲間入りだぜ!」
    「▽⁂◆…」

    ボソボソっと、俺には聞き取れない何かを口にする仮面に驚く。コイツ、今喋ったのか?

    「?どうした?」

    ベルトに触れたままの男はしばらく何かを思案している様子だったが、突然くるっと踵を返しスタスタと歩いていってしまった。

    「なんだったんだ?」



    そして再び数十年。あの日以来、男は俺の前に現れることはなかった。怒らせでもしたのだろうか、と何度かその日のできごとを反芻したが、思い当たる節はない。それに、俺達の間では既知の間柄の奴がふらっと消えていくなんてこと、良くある話だ。かといって、少しだけ心が欠けたような気がするのも事実で。大切にしまっていたアイツからの贈り物を時折眺めては懐かしい記憶に想いを馳せ、ぴりぴりと巣食う痛みを紛らわせた。




    「ちょっと、オー!外来て!」

    砂が溜まって動きがぎこちなくなった義足を点検していたとある日。慌てた様子のアネキに呼ばれ急いで足を嵌めなおし外に出てみると、そこには男が立っていた。見慣れた白い羽の外衣に派手な色彩の衣装。しかしその上に乗っかっていたのは、いつもの赤い仮面ではなく、なんと男の素顔。

    吸い込まれそうな真っ黒な瞳に、きつく結ばれた厚い唇。目元や頬、顎の先など、顔のいたるところに赤い刺青が刻まれている。

    「…お前」

    予想外の事態とはじめて見る素顔に呆然としている俺の元に、男は迷いのない足取りで向かってくる。かと思えば、砂塵から守るために身に着けている俺のゴーグルとマスクがぐいぐいと引っ張られた。

    「ん、なに、外してほしいのか?」

    今までそんなこと頼まれたことないのに、男は執拗にずらそうとしてくる。

    「分かった!分かったから待て!」

    あまり外すことのないゴーグルとマスクを取り除き、男を見上げる。するとそこには、口角を吊り上げ、心の底から嬉しそうに目を細めた男の顔。これまで仮面越しではしっかり読み取れなかった感情を明け透けに晒した男に、心臓がドキドキと高鳴る。

    そして男はおもむろに手を伸ばすと、外衣でまるごと包み込むように俺を抱き締めた。

    「ん??な、なんだ??」

    慌てふためく俺をよそに男はすりすりと顔を寄せ、よりいっそう力を込めてくる。

    「…▲☆◎◇^¡」

    だいぶ前に一度だけ聞いたことがある、俺には理解が及ばない山の精の親語。それをまた小さく囁く男に、俺は再び首を傾げるしかなかった。


    end.

    ーーー

    小さい頃助けてくれた優しい砂漠の眷属が大好きな仮面。プレゼント持っていって好き好きアピールしてるつもり。オクの「大人になった」という言葉を聞き、「そうか、大人か。大人になったらこいつを番にして独り占めできるんだ」と考え、自分もしっかりと大人になれるように暫く山に引き込もる。きっと大人になる山の精の通過儀式みたいなのがある(適当)

    晴れて大人になれたので、お嫁さんを迎えにいくために素顔で登場。「やっと一緒になれる、俺の番になってくれ」って渾身の告白をするけどオクは何一つ分かってない。

    この後、実家の山にオクを連れて帰り初夜おせっせかな!!!
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