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    kmchi78

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    kmchi78

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    旭郁Webオンリー「朝日のあわいに幾夜を思う2」の展示作品です。
    恋人同士になって初めてお泊まりをした翌朝の話。

    俺のダメなところ「もう一緒に寝たくない」
     ベッドの上であぐらをかいて、自分用の枕をぎゅっと抱きしめながらプゥと頬を膨らませた郁弥がいかにも不満です、という空気をまといながらそう言ってきた。

     昨日の夜、初めて郁弥とひとつのベッドで寝た。
     今まではじゃんけんで勝った方がベッド、負けた方はリビングのソファーで寝ていた。
     でも、昨日は違った。
    『こっちで一緒に寝ようぜ』
     じゃんけんに負けた郁弥がリビングに向かおうとするのを引き留めた。友達じゃなくて恋人だから。
    『……うん』
     耳まで真っ赤になりながら、ちいさくうなずくとあらかじめ空けておいた隣のスペースにササッともぐりこんでくる。
    『なんもしないから、そんなに緊張するなよ』
     向かい合うような体勢になっているのに、ギュッと全身に力をこめてうつむいているせいで、ちっとも視線が合わない。落ち着かせるように丸い頭を軽く撫でる。
    『旭相手に緊張なんかするわけないでしょ』
     そう返す声はいつもよりずっと固くて、眠る前のリラックスした雰囲気からは程遠い。
    『俺はけっこう緊張してるけど』
     頭を撫でていた手を今度は布団の中に入れ、郁弥の左手を取り自分の胸に手のひらを当てさせる。
     顔にはなるべく出さないようにしてたけど本当は声を掛ける前から全身にバクバクと響くくらい心臓の音がうるさく鳴っている。
    『バカ。かっこつけちゃって』
     フッと軽く息を吐くような気配がして、郁弥がようやく顔をあげた。
     コツンと軽く額を合わせると自然とお互いの緊張がゆるみ、そこからしばらく他愛のない話をしているうちに寝てしまっていた。

     休日だから、と思い目覚ましはかけていなかったのにいつもの時間に目が覚めた。
     隣で眠る郁弥の寝顔をしばらく眺めた後、そっとベッドを降りてキッチンに向かう。
     目覚めの一杯とはいえ朝飯前だしな、と思い電気ケトルのお湯をカップに注ぐ。その場で冷めるのをボーっと待つ気にもなれず、一旦寝室に戻ることにした。
     そんな俺を待っていたのは、さっきまで穏やかな寝顔を浮かべていたとは思えない、不満げな様子の郁弥だった。
    「どうしたんだよ、急に」
     隣に座って首をかしげるとさらにプゥゥと頬を膨らませる。怒っているというよりは不機嫌といった方がしっくりくる。
    「旭、寝相悪すぎ」
    「へ?」
    「夜中に何回も腕がバシバシ当たるし、蹴り落されそうになるし」
     全然安眠できなかったんだけど、ジトッとした目で睨んでくる郁弥から逃れるように目をそらす。
     心当たりはある。別に昨日に限ったことじゃなく、俺の寝相の悪さは中高時代も部活の合宿で何度か周りに指摘されたことがある。
    「その……ごめん、な?」
     ごまかすように頭を撫でようとした手をバシッと容赦なく振り落とされる。
    「寝相だって自己管理のうち!」
     体が資本! とへの字に曲がった口から出た言葉は恋人への不満ではなくライバルに向けたアスリートとしての言葉だった。
    「そうだな」
     寝相が悪いということは夜中に動き回って余分な体力を消耗しているということだ。きちんと休息できていないとなれば、日中にパフォーマンスにも当然影響が出てくる。
    「まぁ、そこが改善できれば伸びしろがあるってことだし」
     いま気づけてよかったんじゃない? と真剣に考え込み始めた俺を慰めるようにいつもより柔らかい声で言いながら顔を覗き込んでくる。
    「そうだな」
    「本当はこれからも一緒に寝たいし」
    「そうだな」
    「ちゃんときいてる?」
    「きいてる。解決策を考えながら」
     寝相を直す体操とかあったような、と昔ちょっと調べたことを思いだしていると郁弥が抱えていた枕を手放して俺の腕に軽くぶつけてくる。
    「はい」
     空いた両腕を俺の方に向けて広げてここ空いてますよ、といわんばかりに待っている。
    「ん?」
    「最初の状態をキープできればいいんだから、簡単でしょ」
     予行演習、といってさらに腕を伸ばしてくるからおとなしくその胸の中に飛び込み、ついでに押し倒す。
    「抱き枕にしてはちょっと固くないか?」
     俺と比べるとやや華奢な印象があるものの、それなりに立派な体格の持ち主ではあるので柔らかさは正直いってない。
    「触感は我慢してよ」
     よしよし、と後ろ頭を撫でられて幸福度だけはピカ一だな、なんて思いながらあんなことを二度と言われないようにするために寝相を直す方法を本格的に考えようと改めて決意した。
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    kmchi78

    DONE2023/12/17 Dozen Rose FES.2023内で開催される、旭郁オンリー『朝昼幾夜重ねても♡DR2023』に参加します

    スペース:南1ホール エ49b きむち鍋

    「友達と恋人になる100の方法」
    文庫サイズ・フランス製本/64P/500円(イベント頒布価格)

    両思いからはじまる大学生旭郁
    恋人になりたい旭と友達が減るのが嫌だから恋人になりたくない郁弥による三ヶ月の茶番劇
    友達と恋人になる100の方/『朝昼幾夜重ねても♡DR2023』新刊サンプル 合同練習終わりの帰り道、珍しく郁弥と二人きりになった。他愛のない話をしながらいつもより少しゆっくりと歩いて最寄り駅まで向かう。帰宅ラッシュの時間ではないものの、それなりに人通りの多い道だからわざとペースを落としていても気づきにくいはずだ。
     普段通りに歩けばちょうど電車の到着時刻に間に合い、すぐに別れることになる。その前に話がしたかった。
    (中略)
     意味が分からないんだけど? とでも言いたげな不信感のにじむ視線をまっすぐに捉えてから口を開く。
    「郁弥のことが好きだ。俺と付き合ってほしい」
     ポカンと軽く口を開けた間抜け面すら、可愛いと思えてしまうから重症だ。
     ずっと友達だと思ってた。いまも表面上はそうしてるけど本当は違う感情を抱いてしまっている。
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    kmchi78

    INFO2023/3/25 pictSQUARE内で開催される旭郁webオンリー『朝日のあわいに幾夜を想う2』に参加します
    スペース:え5

    「おやすみの前にいいたいこと」
    A5正方形/28P/580円(BOOTH頒布価格)

    初夜を大成功させた二人が、二度目をどう誘うかでそれぞれ悩む話
    ※全年齢/直接的な表現はありません

    BOOTH匿名配送を利用します。商品ページは当日スペースでご確認ください
    【3/25 朝日のあわいに幾夜を想う2】旭郁新刊サンプル どうしてこんなことで悩まないといけないんだろう。 
     せっかく好きな人と両想いになれたのに。心だけじゃなくて体も通じ合えたのに。
     頭の片隅をよぎる初めての夜のことを打ち消すように、ハァァとわざとらしく大きなため息をついてみる。
     自室だし、ひとりだし、別にいいんだけど。どうしてもだらしなくポーっとした表情を浮かべてしまう自分が嫌でブンブンと大きく頭を振ったところでもう遅かった。だって、すごくうれしくて幸せだったから。ここに至るまでの苦労とか、ギリギリのところで我慢し続けた日々とか、いろんなことを思い出して感極まって繋がってからはほとんどずっと泣いてた気がする。
    『わかったから、もう泣くなって』
     最初で最後じゃないんだから、と言いながらやさしく目元を親指で拭ってくれた旭の瞳は潤んでなかったけど、同じ気持ちでいてくれることが表情だけじゃなくて体中から伝わってきて、さらに涙があふれてきてしまった。
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