ちょっとした小ネタ(あぁ。やってしまったな。)
肩で息をしながらソアは横たわっていた。
界賊に酷く殴られた身体は、呼吸をするたびにジクジクと痛みを訴えてくる。特にお腹が痛い。体重をかけて踏みつけられていたから、もしかしたら臓器が傷ついたのかもしれない。
簡易的な処置をしようにも、ソアの医療バッグは界賊に奪われたままだ。知識は頭にあれど、道具がない。何より、もう指一本すらソアの身体は動かなかった。
悲しいくらいの無力感がソアを覆う。船の倉庫の薄暗さ、啜り泣く子供達の泣き声が、ソアの胸を一層締め付けた。
少人数での任務中だった。不審な男を見かけたソアは、メンバーに一言告げてから、コッソリその男のあとをつけた。
あとをつけた先には、今ソア達がいる世界とはまったく文明が違う宇宙船。間違いない。男は界賊の一味だ。
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