「オーディン。次のホリデーが楽しみですわね。
シグムンドと貴方の生涯の伴侶が漸く決まるのですから」
「クソが…ッ!」
ふざけるな。何が伴侶だ。
そんなもの誰が欲しいと願った。
いつだってそうだ。
次期当主の兄が求めたものはなんだって与えられていた。
しかし俺自身の望みは一つだって叶えてもらえなかった。
俺は所詮、双子の兄のシグムンドの代替品。
両親や家の関係者にとって、俺は永遠の二番手であり、実際その様に扱われてきた。
いっそ自由に生きさせてくれと思う。
しかし自由など許されない。
俺も"ダーヴィスト"である以上、家の名前を汚す真似は許されないからだ。
結局俺はこの中途半端な牢獄から、一生逃れる事は出来ないらしい。
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