ナイト・ミュージアムへの招待 今年の辻の誕生日は午前零時に鳴らされたクラッカーの音で幕を開けた。
「辻ちゃん、お誕生日おめでとう!」
犬飼が勢いよく紐を引くと同時にパーン! と大きな音がなる。
「っくりしたあ……」
まさか真夜中にクラッカーを鳴らされるとは思わず、辻はドキドキする胸を押さえてそう言うのが精一杯だった。
「はは、驚いてる驚いてる」
「驚きますよ。今夜中ですよ? 」
「まあこれ一発だから許してよ。はい、バースデープレゼント」
真っ白い洒落た封筒を取り出すと、そう言って辻に手渡した。
「ありがとうございます。なんですか? 」
「それは開けて見てのお楽しみ」
にこにこと見つめる犬飼の表情から期待と不安を感じながら、金色の封蝋風シールを半分はがして封筒の中身を取り出す。
3461