私の可愛い弟「ねえ、KKさんって、恋人いるかな?」
「さ、さぁ、いないんじゃないかな?」
目を泳がしながら、顔を赤らめる四つ下の弟が声をかけてくる。その様子に今日も私の弟は可愛いと考えるも、質問の内容に思わず動揺し固まった。私たち姉弟は、あの夜にKKという男性に救われた。KKと共に弟を取り戻した麻里は彼に感謝している。けれど、弟の恋人候補は駄目だ。
「そっかー、ありがと」
「……」
ほっとした顔をして、自室に籠る暁人の背を固まったまま凝視した。
『私の可愛い弟』
「KKさん、絶対に弟に手を出さないでくださいね!」
「……おい、俺が手を出すと?」
夕焼け彩る夕方に、麻里はアジトで寛いでいるKKへと訴える。周囲には暁人と絵梨佳以外の面々が各自作業をしていた。突如の事に一瞬、言葉に詰まるも、麻里の発言に心外な顔をしながら、返事をする。
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