こだわりの塩大福「あー…」
アジトの一室、徐にKKは歎声を漏らす。周りには数多の調査書やら文献やらが所狭しと放置されて、彼自身も半ばそれらに埋もれつつソファにダラリと座していた。
ここ数日、解決した側から新たな依頼が入り調査書を纏める暇もなく西へ東へと奔走していたKK。
要はこの男、疲労困憊なのである。
そんな彼が虚空を見詰めながらポツリと一つ、言葉を溢す。
「塩大福が食いてぇ…」
それは本当に小さな、聞き逃すのが容易い程の声量であった。しかし今、アジト内は各々が手元の作業に没頭している所為もあり、普段よりは静寂に包まれている。
だからと言っては何だが、KKの独り言は同空間に居る凛子の耳に丸っと届いていたのであった。
「(…この男が甘味を食べたがるなんて、相当お疲れのご様子だな)」
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