ヘラジャク
それは、とても綺麗な私だけのーーー
零れ落ちそうな星々を、屋根の上に座って眺めている人影をヘラクレスは見つけた。
ヘラクレスが歩いている通りは、沢山の人が行き交う大通りから外れており、周囲はひっそりと静まり返っていた。
その静寂に包まれながら、屋根に居座る人物は、時折手を宙に伸ばしては下げる動作をしている。
ヘラクレスが屋根を見上げてから、3度目に手を伸ばしたのに合わせて、ヘラクレスはその場を跳躍した。
何も掴めずに下ろそうとした手は、暖かく大きな手に包まれた。
「?!」
「どうした?ジャック。」
突然目の前に現れたヘラクレスに、ジャックは驚きに目を見開く。
「ジャック?」
「あ、えぇっと。こんばんは?Sir?」
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