仮でもタイトルが浮かばないカストルが必死にジャックの腹の止血を行う。
鳩尾から下腹にかけて真っ直ぐに裂けた傷から溢れる血液は止まる事を知らない。
「こんなっ、こんなの、僕はゆ、許さない!お前に助けられる、なん、て!こんな、こんなーーっっ!!!」
ドンっ!!と、カストルを突き飛ばしたジャックの身体が巨人族の手中に収まる。
「ジャック!!!」
カストルの悲鳴にも似た声音に、ニタリと笑う巨人族の口がゆっくりと開いていく。
「きょ、ひ、します。」
囁いた言葉と共に、ヴェルンドを強制解除されたフレックが弾かれる。
「坊や!!あんたーーっ!」
弾き出された先で、フレックが巨人族とジャックを見上げて叫ぶ。
その声を聞きながら、静かに目の前の空洞を眺めて、ジャックは小さく笑う。
タダで喰われてなるものかーーーーそう、眸をギラつかせた時。
「お前は本当に、強い、なっ!!!」
その場に似つかわしく無い爽やかな声と共に場を襲った衝撃と轟音。
空中に放り出されたジャックは地面に叩き付けられる事なく、温かい腕の中に収まる。
「・・・・ぁ」
太陽のオレンジ。
空の青。
そして、何よりも誰よりも美しい色ーーー
「か、かみ、さ、ま」
小さな声音に、半神半人は安心させるようにニッと笑った。