容彩祭、閑話休題「トーマ」
「あっ若!お勤めご苦労様です。こんな所でどうされたんですか?」
「何、少し休憩をしに来たのと…恋人と祭りをまわりたいと思って。悪かったかい?」
「悪くはないですけど…ッ恥ずかしいことを平然と言わないで下さいよ」
「ふふっ照れてるお前を見るのは面白い」
「俺は!面白くないです!」
「はいはい。ところで、祭りは楽しんでるかい?」
「えぇ、お陰さまで。様々な娯楽小説に吟遊詩人の詩…稲妻にいてまたモンドの詩がきけるなんて思わなかったです。」
「そうか…喜んで貰えて良かった」
「…不躾ながらお伺いしますが…その、モンドから吟遊詩人を招待しようと提案したのはもしかして若なんですか?」
「おや、意外に早く気づいたね。大した事ではないからずっと黙っていようと思っていたけど、早々にバレるとは思わなかったよ」
「もうっ若はいつもそうなんですから…でも、本当にありがとうございます。」
「えぇ、どういたしまして。気に入る吟遊詩人は誰かいたのかな?」
「あぁ、それなら!あの緑の帽子とマントを身に付けてる少年!」
「ウェンティさんのことかな?」
「そうそう!俺の知らない新しい詩を唄ったかと思ったら今度は小さい頃に聞いた古典も唄ってくれたりとバリエーションが凄くて!」
「トーマが楽しんでくれているようでよかった。彼は私が招待したんだよ。」
「…若が?俺の好みをドンピシャに当ててくるなんて…流石です」
「ふふっお褒めに預り光栄です」
「彼の詩は本当に聴いてて心が踊るんですけど、それよりも…」
「それよりも?」
「なんだか懐かしい感じがするんですよね。モンドにいた頃の風を感じると言うか。」
「そう言えば彼は風元素の神の目を所持していたような」
「その影響なんですかね?…でも不思議な事も言われたんですよ」
「ほう?何と?」
「『異国で暮らすモンドの子よ。どうかこれからも健やかに』と。」
「まるで神のような物言いだね」
「案外彼がバルバトス様だったりして…なんて。そんな訳ないでしょうけど。それよりも若、休憩時間はあまり取れないんでしょう?早く…その…デート!しましょう!」
「お前は本当に…私を喜ばせるのが得意な子だね…ふふっでは『デート』に行こうか」