人間曦×人魚澄⑧「なあ藍曦臣、そろそろ霊力も回復してきたから一旦蓮花湖に戻ろうと思ってるんだ」
あれから三日後、江澄は話を切り出した。確かに様子を見るに全快と言ってもいいだろう。蓮花湖までの道中も問題なさそうに思える。
「そうかい。いつ出発するのかはもう決めた?」
「明日にでもいこうかと」
「では、明日は空けておくよ」
その翌日、二人は蓮花湖へ向けて出発した。
「なんだこれは…。一体どうなってる…!?」
蓮花湖に着くなり思わず江澄が漏らした呻きも仕方ない。湖というだけあって流れの殆どないはずの底には巨大な水流ができ、大量の水鬼で溢れかえっていた。
「もしかしたら水行淵かも…」
「水行淵だと!?ここ数十年蓮花湖で水死者など数えても十人もいないぞ!!それに水鬼が出ようものならすぐさま人魚によって討伐されていた!!」
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