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    @t_utumiiiii

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    ウィラマサ(広義)とちょっと幸運児

    ※サバイバーがみんな同じ荘園で生活している捏造設定に基づく妄想
    ※日記未実装キャラクターの言動を捏造

    John/Jane Does(ウィラマサとちょっと幸運児) 「忘却の香水」は調香師ウィラ・ナイエルが生み出した傑作であり、使用者の記憶を忘却させる奇跡の調合であるが、彼女自身はその効果によってか、そのことを忘却している。荘園の中で繰り返される試合の「再現」において、そのアイテムは(おそらく荘園主の計らいで)マップのそこかしこに配置されたプレゼントボックスから入手することもでき、調香師以外の招待客(サバイバー)が使用した場合も、彼女が使用する場合と同じような効果を得ることが出来るが、これもやはり荘園主の計らいにより、その効果は試合内に限定されている。曰く、「直前に受けた負傷を忘却する」ということである。
     試合の再現の中で使用されるアイテムは、どれも基本的にその試合中・そのマップ内でしか使えないように制限されているが、中でも「忘却の香水」に関する荘園からの管理は厳格であり、その作者であるウィラですら、一度の試合に持ち込める最大数は制限されている。その原因には以前、この香水を発端に自らのアイデンティティの崩壊を引き起こし、自殺を図ったサバイバーが居たからだった――とはいえ、ウィラは彼女の発明が用いられたその不名誉な事件さえも既にすっかり忘却の彼方であり、彼女の手元に残っている記憶というのは「忘却の香水を使用できるのは試合内のみ」そして、「一度の試合で使用できる最大数は三回」という二つの規則だけだった。なお、彼女以外の人間に使用が許されるのは二回までである(調香師だけ一度回数に猶予があるのは、製作者である彼女への敬意を示してか、或いは彼女が製作者である故に持つ耐性を考慮してのものだろう。)。
     しかし、その回数上限を超過したところで、罰則が設けられているわけではない。というのも先の「事故」で、ウィラ以外の、つまり、「忘却の香水への耐性を持たない人間が、一度にどの程度香水を使用すると、危機的な人格の崩壊を起こしかねないのか」は既に荘園側で把握済みのことであり、そうでなくとも、一般的な感覚を持つサバイバーであれば、二度も使えば、最早次を使うことは難しい、または、とても使う気にはなれないものだろう(先の「事故」は当該サバイバーが自発的に香水を使用したのではなく、「香水瓶の中に余っていた忘却の香水を誤って被ってしまった」ことで発生した事故であるから、それはそれとして使用に回数制限を設け、管理を厳格にするといった対応をする必要はあるが)から、わざわざ罰則を設けて回数制限をつける必要もない、ということである。

    「ちょっと、貴女」
     荘園の廊下を歩いている最中、ふと香って来たその匂いに気が付いたウィラが、カールしたサイドテールを揺らしながら前を行く軍服の女を呼び止めれば、カーキ色の服に身を包んでいる彼女こと空軍マーサ・ベハムフィールは、自らが男であると勘違いしている風によく伸びた上背のまま、まるで回れ右の号令を掛けられかけたかのように片足を後ろに伸ばしつつ、後ろに立っていたウィラを振り返る。
    「何か?」
    「香水の匂いがするわ……私の香水の。」
    「ええ、さっきの試合で使わせてもらったわ」
    「何回?」
    「ええと……」
     少し言い澱んでから、しばらく試合に出通しだったから、と、曖昧に笑いながら誤魔化そうとするマーサの言い草は、少し前にもウィラが同じようなことを指摘した相手である、冴えない眼鏡を掛けたそばかすの青年とよく似ていた。
    「忘却の香水は、ラストノートが短いのよ……あなたたち、どこかおかしいんじゃないの。」
     繊細かつ優美ではあるが几帳面に描かれているが故に、見るものに神経質さを印象付ける細い下がり眉を怪訝そうな角度にしながら、ウィラはマーサの着る軍服の肩先にいっそう鼻を寄せては顔を顰めつつ、非難めいた調子でそう続ける――ここで忘却の香水が起こした事故について、ゲームのいち参加者に過ぎないウィラは、荘園主などから監督行き不届きを責められる立場ではないが、自分の作り出したものに不名誉な評判が付くことは、職業人である彼女として看過しがたいことでもあった。
     しかし、それはそれとして調合以外のことにあまり関心のないウィラは、彼女の機嫌があまりよろしくないことを察したマーサが、アーモンドの形に近いハシバミ色の目を瞬かせつつ「あなたたち?」と続けた問いかけには、明確に返す言葉もなく、「そうよ、貴女と、あの…………眼鏡の男」と、はっきりしない調子で返すに留まった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE弁護士の衣装が出ない話(探偵と弁護士) ※荘園設定に対する好き勝手な捏造
    No hatred, no emotion, no frolic, nothing.(探偵と弁護士) 行方不明となった依頼人の娘を探すため、その痕跡を追って――また、ある日を境にそれ以前の記憶を失った探偵が、過去に小説家として活動する際用いていたらしいペンネーム宛に届いた招待状に誘われたこともあり――その荘園へと到達したきり、フロアから出られなくなってしまった探偵は、どこからが夢境なのか境の判然としないままに、腹も空かず、眠気もなく、催しもしない、長い長い時間を、過去の参加者の日記――書き手によって言い分や場面の描写に食い違いがあり、それを単純に並べたところで、真実というひとつの一枚絵を描けるようには、到底思えないが――を、眺めるように読み進めている内に知った一人の先駆者の存在、つまり、ここで行われていた「ゲーム」が全て終わったあと、廃墟と化したこの荘園に残されたアイデンティティの痕跡からインスピレーションを得たと思われる芸術家(荘園の中に残されたサインによると、その名は「アーノルド・クレイバーグ」)に倣って、彼はいつしか、自らの内なるインスピレーションを捉え、それを発散させることに熱中し始めた(あまり現実的ではない時間感覚に陥っているだけに留まらず、悪魔的な事故のような偶然によって倒れた扉の向こうの板か何かによって、物理的にここに閉じ込められてもいる彼には最早、自分の内側に向かって手がかりを探ることしかできないという、かなり現実的な都合もそこにはあった。)。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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