遠方の依頼 あの夜からひと月、此れまで幾度も暁人と依頼を熟してきたが、それはすべて県内でのものだった。だが初めての事が舞い降りる。それは、県外での泊まり掛け依頼。
「丁度切迫した依頼も来てないし、貴方達行ってきてくれる?」
「いや急すぎるだろ!?」
けろっとした表情で資料を渡してくる凛子に驚愕。なんせ出発は明日朝早くで最速一泊二日、驚かないわけがない。しかし暁人は至って冷静に、受け取った資料を読みながら「田舎の村……」と興味深そうにしている。
「なんでも、その村に入った仲の良い親子が神隠しに遭うらしいのよ。だから、仲の良い親子として、潜入調査して欲しいの」
「仲の良い親子っての随分強調するな?」
自分も資料を読むと、家族三人で旅をしていてとある田舎の村に休憩の為泊った所、奥さんと子供が行方不明になり、事件として捜査されたが結局証拠どころか手掛かりも見つからず未解決。俺らに依頼を出してきたそうだ。
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