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    amberheart_kak

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    amberheart_kak

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    #2022夏のK暁ワンライ
    お題は『海』を採用させて頂きました!
    KK視点
    ハッピー同棲軸
    初めてのワンライだったのでかなり駆け足で進みます

    #K暁

    さまーらばー「海に行きたい…」

    明け方まで掛かったマレビト退治、お互い力の使い過ぎでフラフラしながら、寝る前に何か腹に入れたいと早朝で人の少ないファーストフードチェーン店で軽食を買ってから帰路に着き、二人で住む部屋に着くと熱帯夜と激しい運動…元い戦闘でかいた汗を流す為、男二人では少し狭く感じる浴室でさっぱりして、さて飯だとハンバーガーに齧り付いた時、何となく付けたテレビを眺めていた暁人がポツリとそう呟いた。
    テレビにはビーチ特集と書かれたテロップと砂浜で取材している模様が映し出されている。

    「…あ?」

    半分睡魔と疲労に襲われている頭は暁人の言葉を咀嚼するのに時間を要した。

    「海…行きたい…」

    同じく睡魔と疲労に襲われているであろう暁人がオレンジジュースをストローから吸い上げつつ再度呟く。

    「あー…明日行くか?」

    「うん、行く」

    ここ最近、暁人は大学の課題に…無理はするなと言ってもコイツの性格上、何だかんだで俺達の手伝いをし、家事をこなし、俺の方も季節柄…盆前から活発化しだしたマレビト退治に悪霊や妖怪祓いとあっちこっちに飛び回る日々が続いていて、昨晩の多発した百鬼夜行の退治…盆も過ぎコレで落ち着いてくれなければ過労死するそう思っている位、お互い忙しかったのだ。
    百鬼夜行退治に出発する前、エドの予測ではコレを最後に大規模なマレビトの発生は暫く無い事、凛子からは流石に数日仕事を回さない様にする旨を言い渡されていた、眠気目を擦り、普段我儘を言わない恋人が零した願いを叶えるかと聞いた問に暁人は二つ返事をした。

    「じゃあ、仮眠したら必要な物買いに出るか」

    「うん…!」

    軽食を食べ終え律儀に手を合わせた暁人に今日の予定を伝えると嬉しそうな顔で返事をしそのまま船を漕ぎ始めようとするので、片付けは起きた後だと半分寝てしまった恋人を抱えて寝室へ向かった。




    「暁人!起きろ!」

    「うぅ…後…5…10分………」

    「起きろー!店閉まるぞーー」

    「おみ…せ……?」

    珍しく暁人より先に目が覚めたと思い時間を確認すると15時過…やばい日々の疲労のせいか寝すぎた…慌てて隣で爆睡する暁人を起こす…が、寝汚い恋人は枕を抱えもう少しと言ってくる、まだ店が閉まる様な時間では無いが明日の事を考えると早めに準備して寝る必要がある。

    「海、行くんだろ?」

    「っは!…え、あれ夢じゃ…?」

    「やっぱり寝惚けてたか、現実だよ」

    「海…連れてってくれるの…?」

    「ああ、ほら水着とか買いに行かねぇと無いだろ、行くぞ」

    「う、うん!」

    海の一言に一気に覚醒した暁人は慌ただしく支度を始め、その姿を少し眺めてから自分の準備を始めた。





    翌日、天気は快晴、平日と言う事もあり車を走らせる高速道路も混んではいない。
    海が近くなると、レジャー用品を扱う店が増え、昨日買えなかったビーチパラソルやらを買い足し、海に向かう。

    「ありがとう、KK」

    「どういたしまして、可愛い恋人の願いなら安いもんだよ」

    「か、かわ…!……ぅ…KKとの夏の思い出作れて無いなぁ…って思ってたらテレビに海が写ったから…つい…」

    「あの夜は夏の思い出にはならねぇのか?」

    「あ、あれは相棒としてのだろ!こっ恋人のKKとの思い出が欲しくって…」

    暁人の頬が軽く染まるのが目の端に写り、可愛いなぁと笑みが零れ、そしてあの悲劇の夜を思い出と思ってくれている事に胸が熱くなる。

    恋人がご所望した海はまではもう少しだ。





    着いたビーチは道の駅が隣接されているタイプで、更衣室もシャワーもちゃんとしたのが設備されていた。
    平日のビーチだが夏休みなのだろう家族連れもちらほら見受けられる。
    水着に着替え砂浜の空いた場所にレジャーシートとビーチパラソルを立てる。

    「KK、貴重品どうする?さっきコインロッカーあったけど」

    「あーめんどくせぇから適当な鞄に一纏めにして印結んどく、小銭出しとけよ」

    「えぇ…力の無駄遣い…」

    「うるせぇ」

    暁人は何とも言えない顔をしながら財布から必要な分の資金を小銭入れに移し、必要の無くなった財布とスマホを俺の鞄に入れ渡してくる。
    俺も適当に財布から札を何枚か抜き暁人に渡し、鞄を閉めると印を結び簡易的な結界で俺達以外が開けられ無い様にし、シート用のペグの予備分を鞄の金具の間に通し砂浜に打ち付け此処にも印を結んで置く、コレで持ち逃げもされない。

    「ほら、行くぞ」

    「ここまでするならコインロッカーの方が良くない…?」

    「いちいち取りに行くの面倒だろ」

    ごちゃごちゃ言う恋人を波が来る所まで引っ張って行くとちょうど波が押し寄せ、お互いの足を濡らす。

    「つめた!」

    「っめて、盆過ぎたからなぁ…少し海水温低めだな」

    「ふふっ、楽しいね!KK!」

    引っ張られていた手を今度は引っ張り海に入って行く暁人は満面の笑みを浮かべている。
    あぁ、この恋人はこんな小さな事で喜んで楽しいと思ってしまうんだ…暁人の手を強く握り返し、膝上程まで浸かった所で空いている手で海水を掬い暁人目掛けて振り上げる、日光を反射した海水はキラキラと光ながら暁人に降りかかった。

    「っ!KKーーやったなー?おりゃっ」

    「おわっ」

    暁人は握った手を解く事無く俺がやったのと同じように海水を俺にかける。

    「ははっしょっぱい」

    「ったく、俺も口に入った、濯ぐか」

    さっき入ったばかりだと言うのに俺達は早々に浜に上がり自分達の荷物から小銭入れを取ると水道がある場所へと向かう。

    「はーさっぱりした、KK飲み物何が良い?」

    「あー適当に水で良いよ、お前こそ何食うんだ?」

    「とりあえず焼きそばかな?」

    水道の水で口を濯ぎ、お互い反対方向にある自販機と海の家を指してお互いが欲しい物を確認する。

    「分かった!じゃあ買ったらシートで待ってるね」

    「おお」

    自販機より海の家で注文する俺の方が時間がかかるだろうと暁人は合流せずに待っていると告げ自販機に向かって行った。
    ご所望は焼きそばだけだったが、他にも良さげな物があれは買うかと、海の家へ足を進めた。


    焼きそばとカレー、そしてかき氷と海の家定番メニューを抱えて戻るが暁人の姿が無い、疑問に思い自販機がある方を見ると何やら女性二人に話しかけられている恋人の姿…やれやれ手のかかる…
    焼きそばとカレーをシートの上に置き、かき氷は置いたら溶けそうなので持ったまま暁人の所へ向かう。


    「あっ、あの今日は連れと来てるんで…」

    「えー彼女さんー?」

    「かっ彼女ではないかな?」

    「じゃぁ、私達と遊ぼうよーそのお連れさんも一緒で良いから〜」

    ……見事な逆ナンに会っている姿に思わず吹き出しそうになる。
    普段のお人好しが裏目に出て強く断れないのだろう、仕方ない助けてやるか。

    「暁人ー水買うのにいつまでかかってんだよ」

    「っっめた!?…KK!ご、ごめん」

    暁人の背後まで来ると持っていたかき氷を頬に当ててやりこっちに気を向かせる。

    「えーっとその人がお連れさん?」

    「おじさんじゃーん…会社の上司とか?えー休日まで上司の相手!?可哀想ー」

    まぁ、20代のうら若き青年と40代過ぎのおっさんの組み合わせを見たらそうなるわな…

    「上司ではないかな!?と、とりあえず今日はこの人と遊ぶからごめんね!」

    「悪いな嬢ちゃん達」

    俺が介入した事により無理矢理話を切り、断りを入れれた暁人は彼女達に背を向け走りだす、俺も一言残して暁人を追う。

    「暁人待ってくれー」

    「あっごめん、KK、助けてくれてありがとう」

    「どういたしまして、ほら折角買ったかき氷溶けちまう」

    「や、焼きそばだけで良かったのに…」

    「遠慮してんのバレバレなんだよ、ほら食っちまえ」

    シートに着くと暁人は買ったペットボトルを置き、かき氷を受け取ると早速一口、口に運ぶ。

    「んーおいひー」

    「俺にも一口くれ」

    暁人に向かって口を開けると、照れた様に少し逡巡した後に氷の塊が乗った先がスプーン状のストローが突っ込まれる。

    「ん、うまい」

    「KK、焼きそば食べたい」

    口の中で氷を溶かしていると、今度は暁人がこちらに向けて口を開いて来た、珍しいおねだりに仕方ないなとパックに入った焼きそばを取り、多少行儀が悪いが割り箸を口と手で割り輪ゴムを外して蓋を開け、割り箸で焼きそばを少し持ち上げ暁人の口に運ぶ。
    もぐもぐと美味しそうに食べる暁人に、雛鳥に餌をやる親鳥よろしく、次を口元に持って行く。

    「ん、待って、かき氷食べちゃうから…KKもいる?」

    「いや、俺はもういいよ」

    半分水分に変わってしまったかき氷を飲むように食べ終え、暁人はまた俺に向かって口を開く、どうやら餌付けに成功してしまったらしい。

    「これ食べ終えたらまた泳ぐか?」

    「もちろん」

    そんな会話をしつつ暁人に焼きそばをやっていると数分もかからぬ内にパックの中が空になる、1パック丸々、俺が食わせた事実に気付いているのかいないのか分からない暁人は買ってきたお茶を開け飲んでいる…まぁ恐らく後者だろうから黙っておく。
    カレーを目敏く見つけた暁人は今度は自分で食っているんだからな…
    暁人からカレーのおこぼれを貰いつつ、海の家にサーフボードの貸し出しがあった事を思い出し、波を眺める、海が冷たいのか泳いでいる人は少ない、学生時代に少しやっただけだが、少しやってみてもいいかも知れないと、恋人の食事が終わるのを待つ。
    恋人とこの夏の思い出を作るのだ、多少はっちゃけても問題ないだろう。


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    りんご

    DONE人魚(マーメイド)は嫉妬の幻獣だそうです。
    前回ワンライのふたりの設定ですが、時系列は前後してる可能性あります。
    当日予定が入っているので先に作ってしまってます。(一応ワンアワー計ってますが、やっぱ無理でした;;)ごめんね!その分ちょっと容量多めなのでユルシテ
    鰭さえ焦がす炎で死を恋う『今回の依頼は何があっても私が行く!』と息巻いていた凛子さんが、まさかまさかの辞退。しかも名前を言ってはいけない例の感染症ゆえに絵梨佳ちゃんも動けず、急遽白羽の矢が立ったのは必然的だった。とりあえず必ずいるだろうものを準備していると、背後に音もなくKKが立つ。

    「オレも行く」

    簡潔かつ明確な一言で、僕は二重に驚いてひっくり返りそうになる。それなりに馴染んでいたはずの空気や存在が急にわからなくなるのはこんな時だ。逆光になった彼の瞳には光がない。だから、それがどんな感情を伴って告げられているのか、咄嗟に判断できなかった。

    「いいな、連れてけ」
    「えっと……うん ハイ」

    そんな感じで決まった急遽二人の出張行脚。僕は緊急事態だと言われたので詳細をあまり聞かずに頷いていた。少なくとも、KKはそれを分かっているようだった。結局僕らはどこに行くんだっけ。出来るだけ穏便に訊ねたつもりだったのに、これ見よがしに大きなため息を吐いたKKは、目線を逸らして小さく拗ねた。
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