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    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

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    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

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    お盆ですね!!いかがお過ごしでしょうか!!
    この2人が出会って約1年経った頃の話になります。
    前作幽霊の日の話と時系列的に???となりますが、書いた時期でいうとこっちが先になります。
    なのでちょっと辻褄が合わないところがあると思いますが、多めに見ていただけると幸いです。

    #K暁

    盆休みの過ごし方「じゃあ、気をつけて行ってきてね」
    『おう、一六日には帰るからよ』
     八月一三日、盆の入の日。KKは田舎の祖父に会いに行くといって数日暁人の体から抜け出すことになった。繋がりが切れることに不安を覚えた暁人だったが、一度繋がれば戻ることは容易いというKKの言葉を信じて送り出すことにした。それに、KKと入れ違いに両親と麻里があの世から帰ってくる。お互い家族水入らず過ごすのも悪くは無いだろう。
     KKが暁人の身体からすっと抜けていき、人魂の形となる。抜ける感覚にやはり少し不安を覚えながらも、それを安心させるようにKKはふよふよと暁人の周りを浮遊する。
    『そんな不安そうな顔すんな、ちゃんと帰ってくるからよ』
    「…うん、待ってる。行ってらっしゃいKK」
    『おう、いってくる』
     KKの人魂はそのまま空高く浮遊していき、やがて見えなくなった。見送った暁人は早速家族を迎える準備を始める。胡瓜と茄子に割り箸で出来た足をつけ精霊馬、精霊牛を作り簡易式な仏壇の写真立ての前に置く。迎え火はアパートでは焚くことが出来ないので小さめの盆灯籠を置いた。これでよし、と準備を終えて
    「KK、そろそろお昼に………」
     いつもの癖でKKに声をかけてしまったが、彼はいま自身の身体にいないことを思い出す。それが少し寂しく感じて胸がチクリと傷んだ。一度味わってしまった孤独感は忘れることが出来ず、こうして時折暁人は胸を痛めていたのだが、それもKKのおかげで埋めることが出来ていた。暁人は一人で菓子パンをもぐもぐと口にし、簡単に昼飯を済ませる。久しぶりに一人になった感覚がなんとも慣れず、気分転換に買い物へと出かけることにした。
     
     買い物に行くと、いつものスーパーは家族連れが多く少し混雑していた。こちらは都会と言えど、きっと里帰りをしてくる家庭もあるのだろう。あれが食べたい、これが食べたいとおねだりする子供をよく見る、きっと祖父母とその孫なのであろう。暁人はその様子を微笑ましそうに見つめながら買い物を済ませていく。
    『KK、今夜はお寿司でも………』
     癖でまたやってしまった、と暁人が苦笑する。それだけKKと共にいることが当たり前になってしまっていたことを暁人は再認識する 。早く帰ってこないかな、と暁人はKKの帰りを待ちわびつつ、たまには手抜きにしてもいいよね、とレトルトやインスタント食品をカゴに入れる。最後に店内調理された寿司を入れて足早にレジへ向かった。
     
     その日の夕食は買ってきた寿司と缶ビールで済ませ、家族が帰ってくるのを待った。簡易的な仏壇にはいつもの線香、蝋燭、そして麻里が好きだったお菓子を供えておいた。やがて、半開きになっていた窓から急に強く風が吹いてカーテンを揺らす。気配を感じて霊視をすると、そこには両親と麻里の姿があった。こうしてしっかりと出迎えたことは初めてかもしれない、と両親に申し訳なさを感じつつ今年が初盆となる麻里のためにもと帰ってきた家族の霊たちを暖かく迎えた。
    「おかえり。父さん、母さん…麻里」
     三人がにっこりと暁人に笑いかける。久しぶりの一家団欒となった。
     
     KKから受け継いだこの力によって、両親が亡くなって初めて会話をすることが出来た。毎日ちゃんとご飯は食べているかとか、仕事は大変じゃないか、とか。それなりに上手くやってるよ、と暁人が安心させるように返す。そんな会話を続けていると、ふと麻里が仏壇に置かれたパスケースに気づく。
    『これ、お兄ちゃんの?』
     暁人は少し迷ってから「大事な人の、大切なものだよ」とだけ返答し、麻里もそれ以上は追求してはこなかった。普段は幽霊と一緒に暮らしています、とはさすがに今は言えなかった。が、家族と話している間も時折KKのことを思い出したり、恋しくなってしまう度にまた胸を痛めていた。
     
     その後普段通り風呂と寝支度を済ませ、家族におやすみと告げて寝室に入る。ベッドに倒れ込み、天井を見つめてはKKのことを考えていた。暁人は我ながら重症だな、と苦笑しつつ寝る体勢に入る。KKがいないだけなのに、普段以上にKKのことを考えてしまう行為に少し罪悪感さえ覚える。魂が繋がっている状態で、今更依存関係がどうなどと言えたことではないが…果たしてこの好意は正しいものなのかどうか。それを暁人は天井を見つつつ延々と考えていた。
     自分はきっと、KKに対して相棒以上のなにか別の感情を抱えている。だがそれをKKに打ち明けていいものか、打ち明けたら自身の体から出ていってしまわないか、と同時に不安も過ぎる。悶々と考えながらやがて眠気に身を任せ眠りにつく。
    「KK………僕、アンタのこと………」
     本人が居ないことをいい事に、打ち明けられない気持ちを独り言のように呟いて。
     
     翌朝、慣れた感覚によって暁人は目を覚ます。それは金縛りだった。KKがいない今、金縛りで起こされることはないはずだが、もしかすると家族の誰かが…?と考えつつ薄らと瞼を開けると、そこにはKKの姿があった。
    「………………?」
     夢でも見ているのか、寝ぼけているのか、目を擦りもう一度見るがやはりそこにはKKがいた。
    「……KK……なんで……?」
     不思議そうに暁人が見つめていると、KKが微笑して
    「おはよう暁人、そんでただいま」
     暁人の頭を優しく撫でた。
     
    「えぇ、追い返されちゃったの…?」
     どうやら、KKは田舎の祖父に会いに行ってまず死んだことを嘆かれたが、事の顛末を軽く伝えたあとは久しぶりの再会に喜びあい、ここまでは良かった。問題はそのあとだったそうで
    『…田舎のジイさんには、オマエのことちゃんと話しておこうと思ってな。死ぬまで面倒を見る奴ができたって説明したら、そりゃ大層喜んでくれたんだよ。そしたらそのあとなんて言ったと思う?こんなとこで油売ってないで早く帰ってやれって怒られたんだよ』
    「えっと、喜怒哀楽が激しいお爺さんなんだね…?」
    『そんで、今朝帰ってきたってワケだ。オマエの家族には挨拶しておいたぞ。息子のことをよろしくだってさ』
    「あぁ、そうか…………ん?」
     よろしく、とは?と暁人が首を傾げてKKを見つめる。
    『オマエがちゃんと生涯を全うするまで、オレが暁人のことを守るって伝えたんだよ』
    「………………」
    『まぁ、守護霊的な存在としてだったら言うつもりは無かったんだがな?それ以上の感情を持ってしまったら、さすがに言わないわけにもいかないだろ』
    「それ以上、って」
    『相棒以上に、オマエのことを想ってるって意味だよ。暁人』
     暁人がきょとん、とした表情から軽くため息をついて、やがて柔らかな表情になる。
    「…なぁんだ、KKも僕と同じ想いだったんだ」
     昨晩の悶々とした時間は無駄に終わるが、同時にその不安は安堵へと変わっていった。
    「僕のこと、そんなに好きなんだ」
    『一晩離れただけで恋しくなる程度にはな』
    「奇遇だね?僕も一緒」
     互いに見つめ合い視線を合わせる、するとKKのほうから先に仕掛けてきて頬に口付けを落とす。霊体だから直接触れることは出来なくとも、触れられている感覚はなんとなく伝わってくる。暁人はお返しとばかりに唇に口付けを落とした。
    「…死がふたりを分かつまでって言うけどさ。僕たち死んでも一緒だね」
    『残念だったな?死んだ後も一緒のつもりでいるぜ?』
    「もし生まれ変わってもまたKKと一緒、だね」
     見つめ合い、触れ合い、互いの想いを確かめあって。
     こうして魂が繋がっていれば霊体だろうが関係ない、二人は互いにひとつなのだから。
     二人が良い雰囲気でいると、居間の方から視線を感じ暁人がはっとして静かに扉を開ける。そこには満面の笑みで暁人を見つめる家族の姿があった。
     
     チリン、チリリン。
     カーテンレールに吊るされた風鈴が、楽しげに音色を奏でた。
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    na2me84

    DOODLE #毎月25日はK暁デー
    参加させていただきました。お題は『匂い』
    厭世的で嫌煙家の暁人くんのお話。
    sensory adaptation 雨の夜が明け家族とも一夜の相棒とも別れて、僕は日常に戻ってきた。妹を取り戻すことは出来なかったから、今までと全く同じという訳にはいかないだろうけれど、とにかく僕は一人生き残ったわけだ。それに意味があるかはまだ分からない。それでも、とりあえず僕がやらなければいけない事がまだ残っている。向こうで両親と共に旅立つのを見送った妹の現世での抜け殻に病院で対面し、身体も両親の元へと送り出した。その日は青空にふわりと薄い雲が浮かぶ、良く晴れた日だった。この世のしがらみを全て捨てて軽くなった妹は、きっと両親と共に穏やかに笑っているだろう。そうであって欲しい。

     追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。
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