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    16natuki_mirm

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    2022/12/24のイルアズワンドロ
    お題「クリス魔ス」参加分
    諸々ご都合設定です。

    #イルアズ
    iluaz.
    #ワンドロ

    【イルアズワンドロ】クリス魔ス クリスマス、という行事について、入間は「ツリーとおもちゃとケーキを売るバイトをするための日である」ということ以外の知識を持ち合わせていなかった。要するに、本来の由来とか、寝ている間にサンタさんがプレゼントをくれる、という通俗とか、本来は家族で祝う日であるとか、現代日本では恋人たちの日であるとか、そういうことはよく解っていないまま、この歳になった。
     だから、魔界にも「くりすます」と呼ばれる行事があることについて、いやいや、あるわけ無いだろう、なんてことはちらとも思わず、「そっかあ、魔界にもあるんだぁ」だけで受け入れてしまったので、謂われの違いや、文化の違いについて、あまり詳しいことには興味もわかなかった。
     魔界でもクリス魔スにはツリーを飾り、赤い衣装を身につけたサンタ苦ロースが街を行き交い、親密な間柄の二人はプレゼントを贈りあい、そしてごちそうとケーキを食べるらしい。なので、由来は色々と違えど、入間から見た限りでは、「人間界と同じなんだなぁ」という理解で十分だったのだ。
     そんなわけでクリス魔ス・イブの今日。魔界で過ごすクリス魔スは初めての入間のために、サリバンとオペラの計らいで、サリバン邸ではささやかなクリス魔スパーティーが開かれた。
    「クリス魔スのひとときを、共に過ごす栄誉に預かり光栄です」
     来客はアリス一人。本当はクララも招待したのだけれど、家族でクリス魔スを祝う支度で大わらわなのだそうだ。
    「アズくん、おうちの方は大丈夫?」
    「母は忙しいですから、我が家は毎年クリス魔スどころではないのですよ」
     困ったように笑うアリスの手を取って、ホールへと向かう。そこにはすでに、オペラが丹誠込めて用意したごちそうが所狭しと並んでいた。
     サリバンとオペラを交えて乾杯し、料理に舌鼓を打ち、とりとめのない話で盛り上がった。
    「あー、楽しかった。こんなに楽しいクリスマス、初めて」
    「……私もです」
     ケーキも食べ終え、食後の紅茶を頂きながら、二人――主に入間――は、ぱんぱんに膨らんだお腹をさすりながら、顔いっぱいに幸せを湛えた。すると、隣でアリスもまた、ふわりと優しく笑う。
    「あーあ……もうこんな時間……ねえアズくん、泊まっていかない? まだもう少し、一緒に遊びたいなぁ」
     幸せの名残がまだ残る中、入間はちょっと甘えたような表情でアリスを見つめる。すると、アリスは突然狼狽えたように表情を忙しくし、最終的に赤面して俯いた。
    「……! よ、よろしいのですか?!」
    「え? うん、多分大丈夫だと思うけど……いつもだって、急にお泊まりになったりするでしょ?」
    「それは、無論そうですが、しかし……今夜はクリス魔スですから……」
    「クリス魔スの夜だと、何か都合が悪かった?」
    「……いえ。その……サンタ苦ロースの贈り物などを信じる歳でもありませんが、しかし……」
     歯切れの悪いアリスの様子に、入間は首を傾げる。
    「えっと……サンタクロースの贈り物って?」
    「ご存知ないのですか? クリス魔スの夜には、悪い悪魔の子の所には、寝ている間にサンタ苦ロースが贈り物を届けにくると言い伝えられています。無論……ただの伝承ですが……その伝承になぞらえて、家族が子供の寝ている間に贈り物をする風習がありますから……その、理事長やオペラさんに、ご迷惑ではないかと」
    「……?」
     クリスマスにプレゼントを貰ったことの無かった入間は、いまいちアリスの言うことがよく飲み込めず、こちらに倒していた首を、今度はあちらへ倒した。
    「オペラさんが、アズくんの分を用意しないといけなくなる……? あ、アズくんのおうちの人が、困る?」
    「いえ、ですから……理事長やオペラさんが、夜中にプレゼントを届けてくれるでしょうから、その……今夜は、夜更かしはしないほうがよろしい、かと」
    「……! おじいちゃんたちが?! プレゼント?!」
     入間はきらきらと瞳を輝かせる。普段は心の中に眠らせている幼い心が、ぴょん、と飛び出してきたように。
     アリスはふふふと微笑んでから、少し寂しそうに眉根を寄せた。
    「私が入間様のお部屋に泊まっていては、理事長やオペラさんもやりづらいでしょうし……今夜はお暇致します。母も、まあ、今年くらいまでは、もしかしたら何か用意しているかもしれません」
    「……そっか。そうたよね。わかった。……ちょっと寂しいけど……また明日……は、お休みかぁ……」
     スケジュールに思いを馳せて、入間はしょんぼりと肩を落とす。
    「入間様にご予定が無いのでしたら、明日も遊びましょう! 朝一番にお迎えに参りますから!」
    「……うん! そうだね、そうしよう!」
     入間を元気づけようと、いつも以上に勢いのついているアリスの言葉に、入間はぱっと表情を輝かせる。そうして、二人は明日の朝一番に再会することを約束して、サリバン邸のホールを出ようと、した。

    「あれ、アスモデウスくん、お帰りですか? てっきり、今夜は泊まっていかれるものと思って夜着を入間様のお部屋に用意したのですが」

    「……!!」
     通りがかったオペラの言葉に、二人は顔を見合わせる。
    「オペラさんが……そう仰るのでしたら……お言葉に甘えさせて頂きます……」
     顔を真っ赤に染めながらアリスが答えると、入間もまた、嬉しいやら恥ずかしいやらというように中途半端な笑顔を浮かべた。
    「入間様」
     すると、オペラが不意に入間の横へと歩み寄ってきて、耳打ちする。
    「サンタ苦ロースからの贈り物は、明日の朝目覚めたとき、ベッドの中にありますから」

    ――入間がその言葉の意味を知るのは、翌朝目が覚めて、隣で眠るアリスの姿を見つけたときのことになる。
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    16natuki_mirm

    DONE1/28の悪学で無配にしたセパソイです。イルアズしてるイルマくんに片思い?しているソイソイと、そんなソイソイに片思いしているセパくんによる、いつかセパソイになるセパソイ。
    【セパソイ】あなたと、あなたのすきなひとのために「先輩」
    「ぅわっ!」
     突然後ろから声を掛けられて、ソイは思わず羽を羽ばたかせた。
     ちょっぴり地面から離れた両足が地面に戻って来てから振り向くと、そこには後輩であるセパータの姿があった。いや、振り向く前からその影の大きさと声でなんとなく正体は察していたのだけれど。
    「……驚かせましたか」
    「……うん、結構」
    「すみません。先輩、自分が消えるのは上手いのに、僕の気配には気づかないんですね」
     セパータが意外そうな顔を浮かべる。それに少しばかり矜持を傷付けられたソイは、ふいっと顔を背けると、手にしていた品物へと視線を戻した。
    「……自分の気配消せるのと、他人の気配に気づくが上手いのは別でしょ。……いやまあ、確かにね、気配消してる相手を見付けるのも上手くないと、家族誰も見つからなくなるけどうち。だから普通の悪魔よりは上手いつもりだけど、今はちょっと、こっちに集中しすぎてただけ」
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