“私たち、別れよっか。“
半年付き合っていた彼女と別れた。突然すぎた失恋に、オレは対して驚きもしなかった。
終わりというのはいつだって酷く呆気ないもので、それはたった一言のLINE、時間にしてみれば5分にも満たない中で決まった事だ。
対外的にはうまくいっていたように見えていたと思う。というよりも、実際にうまくいっていたのだ。たまにケンカもしたけれど、お互いさっぱりした性格だったから原因さえ解決したらいつものような関係にちゃんと戻って。しばらく会えなかった時は長電話をしたり、デートしたり、あとはまぁ、やる事もやったり。至って普通の高校生カップルだったと思う。インスタグラムのストーリーから彼女の写っている投稿を消しながら、オレは小さくため息を吐いた。なんというか、悲しいというよりも、虚しい。
自分なりに彼女の事が好きだと思ったから告白に応え、恋人という関係に収まったはずなのにこうしてフラれても悲しくなかったのはどうしてだろう。実は雰囲気に酔ってただけだったのかな。多分こういうところを見抜いたからフラれたんだろうと、ただ漠然とそれだけを理解した。
オレのクラスに、アーチャーという男がいる。頭も良ければ運動神経も顔も良い、堅物だという点にさえ目を瞑れば(認めるのは癪だが)凡そ完璧なタイプの人間だ。
「あいつも、恋に悩んだりすんのかねぇ。」
たぶんしないだろう。だってつまらない男だし。