きみのすきなとこ※レイスが一瞬いる。
----------
「俺たちが安地の中心だな」
「後ろの警戒は私が。前はお願いね」
何回目かのパルスの収縮が終わって次を確認すればちょうど俺たちがど真ん中だった。チームメイトのレイスがそう言い置いて俺たちがみているのとは反対方向の監視に向かってくれる。その背中を見送ってから視線を戻すと、横にいた気配がもぞりと動く。
チラリと横目で見やるとセンチネルにつけたスコープを真剣に覗く横顔。凛々しい眉毛、吊り上がり気味の細い目。すっきりと通った鼻筋に分厚い唇。
(んっ……カッコい……)
ごくりと生唾を飲み込む。いつもあの目に見つめられて、あの唇に愛を囁かれてキスをされているのかと思うとドキドキしてくる。
金属パーツに包まれた喉元。曝け出された鎖骨周りと黒のインナーで隠されつつもラインが浮き出た胸周り。大きめの上着で隠されているものの、意外にしっかり筋肉がついていることを俺は知っているのだ。
ごつごつとした男らしい手が線の細いセンチネルをしっかりと握っているそのギャップが美しくて、いろんな角度から眺めたい気持ちに駆られる。
(おれの、こいびと)
この男が。俺の。
色々思い出して鼓動が速くなる。体温が上がり顔が赤くなっているのが自分でもよくわかった。こういう時ばかりはマスクをしていて良かったと心から思う。横並びだったのを少し下がって、斜め後ろからバレないようにさりげなく見つめる。
どこから見ても格好いい。風向きが変わって、クリプトの方から俺の方へと風が吹いてきて、風に乗ってクリプトのつけている香水がふんわりと香る。爽やかなレモングラス、それに混じって隠しきれないクリプト自身の体臭を鼻腔に感じる。もっと感じたくて深く息を吸い込むけどあまり意味は成さなかった。
短く整えられた髪と丸い後頭部。少し猫背気味の広い背中に飛びついて、首筋に顔を埋めたくなる。
俺がじっと見つめていると、クリプトがゆっくり瞬きをして、少し視線を下げて逡巡したように見えた……と思ったらこちらを見た。
(……え?)
クリプトの視線は下がったままで交わることはない。でもその頬がほんのり赤い気がする。
「……見過ぎだぞ」
少し恥ずかしそうにはにかんだその表情がとても愛おしくて。
下がった眉尻と困ったようにこちらに向けられた視線が可愛くて。
こんなの、抱きしめるしかねぇよな?
----------
敵に気づかなくてダウンとられて、レイスが呆れてるまでが1セット。
2022-07-26 一生休日
----------
ベッターから移行。これ逆バージョン書きたいな?
2022-08-31 一生休日