雨の日ハイプビースト×ワイルドスピード。ハイプの描写はないのでそっちはお好みで。
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「……」
どんよりした鉛色の空から雨がしとしとと降る外を恨めしげに見つながら、オクタンはベランダに繋がる窓に凭れ掛かっていた。
「散歩は無理だぞ」
「ー」
ソファでハックの手入れをしていたクリプトが目もくれずに言えば、不満げな声を漏らして長い尻尾をピシッピシッと床に叩きつけるオクタン。
ここ数日天気が悪く、日課の散歩ができてないことも尚更ストレスを増加させている原因だろう。連れて行ってやりたい気持ちは山々だがと思いつつも、傘をさすのも嫌い、合羽を着るのも嫌い、雨に濡れるのも嫌いとくれば「行かない」選択肢以外に取れるものはない。
「さんぽ…」
「傘さすか?」
「いや」
「じゃあ合羽」
「もっといや」
「濡れるしかないな」
「もっともっといや」
ほら結局。とクリプトはその言葉を飲み込んで、テーブルの上にハックを置いて立ち上がる。
「明日は晴れるらしいから、今日の分も明日行けばいいだろ?」
「昨日の分は」
「昨日の分も明日行こう」
「一昨日の分」
「それも明日」
「三日前も雨だった」
「ならそれも」
「四日前は」
「四日前は晴れてただろ」
「ちっ」
座り込むオクタンの背中に寄り添うように座れば、床を叩いていた尻尾がするりとクリプトの脚に絡む。
「散歩行きたかった」
「そうだな」
しょんもりと肩を落としてオクタンは外を見るのをやめた。クリプトに背を向けていたのを横に並ぶように座り直すと、床についていたクリプトの手をちょんちょんと尻尾でつつく。
察したクリプトが手のひらを上に向けてオクタンに差し出せば、わずかに空いた隙間を埋めて座り直したオクタンが差し出された手をきゅっと握った。
「テジュン」
「なんだ」
「俺と散歩行くのめんどくさいか?」
何を今更とクリプトは思いつつ、そう口には出さずにオクタンの気持ちを探る。
(多分、雨続きで気が滅入ってるんだろうな)
天気予報でしばらく雨が続くのがわかっていたから、事前に「しばらく雨だから散歩に行けなくなるぞ」とオクタンに伝えていた。それでも雨が降ればこうして窓辺に座り込んで恨めしそうに、つまらなそうに外を見ながら「散歩に行きたい」と駄々をこねていたここ数日。その度に似たような会話を繰り返していた。
「面倒なことに付き合ったりする性分じゃない」
それはお前もよく知ってるだろ。と俯いたオクタンのこめかみにキスをして耳もとで囁けば、気儘なチーターはくすぐったそうに身を捩る。
「オクタビオ」
「んー?」
「明日は気の済むまで散歩に付き合ってやる」
「約束だぜ」
オクタンはくふくふと嬉しそうに笑うとクリプトに擦り付いて、クリプトはされるがまま穏やかにそれを受け入れていた。
外を見るのをやめたふたりには、空が明るくなったことも、このあとすぐに雨が降り止むことも気付けるはずもなく。
薄くなった雲の間を抜ける柔らかな日差しがふたりを包もうとしていた。
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語彙力のなさを実感するここ数日
2022-07-22 一生休日
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ベッターから移行
2022-08-30 一生休日