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    MondLicht_725

    こちらはじゅじゅの夏五のみです

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    MondLicht_725

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    夏五版ワンドロワンライ第68回お題「奇特」お借りしました。
    転生夏五(記憶なし×あり)。
    ぼんやり考えている全寮制がっこうの2人。

    #夏五
    GeGo

    夏五版ワンドロワンライ第68回お題「奇特」 つい最近、他人に指摘されて初めて知ったのだが、何気なく使っていた「奇特」とは、非常に珍しい、という意味の他に、特別に優れていること、というものがあるらしい。
     こんな私をあれこれ気にかけてくれて、積極的に話しかけてきて、どんなに邪険にしても挫けない。まったく彼は奇特な男だ――話の流れでそんなことを口にしたときだったと思う。
     ま、あいつならそっちの意味でもなんら違和感はないけどね、とその知人は付け加えた。
     出会ったときからの大きな謎だ。なぜ彼はこんなにも、私に心を砕いてくれるのだろうかと。

     物心ついたときから、ヒトというものが苦手だった。話すことはもちろん、大勢の中に佇むだけでも苦痛に感じた。
     これといって明言できる理由はない。
     ただ、そういうふうに出来ているとしか言いようがなかった。
     それでも、部屋の中でずっと永遠に引きこもって、何とも関わらずに生きてはいける仕組みに世界はなっていないのだということは早々にわかっていたので、適当な愛想笑いと社交辞令を身につけて、誰とも一定の距離を保ったまま10数年のときを過ごした。
     挨拶は返すが、それだけ。答えはYesかNoのみ。愛想笑いのひとつもしない。誰にも――両親にすら必要以上に踏み込ませることはなかった。そうして生きてきた。
     あの日、彼と出会うまでは。
     幸いにも勉強はそこそこできたので、中学校卒業後は地元からそこそこ離れた私立の全寮制高校に進学を決めた。
     無事に迎えた新たな一歩の日。勝手に決められていた2人部屋でも、必要最低限以外は話さなければいいのだと開き直って踏み込んだ、広くはない寮に先に着いていた同級生の、同室の少年。
     最初に目を引いたのは他の大勢がそうであるように白銀に輝く髪だった。次いで、少しズレたサングラスから覗いた青い双眸。
    「す、ぐる?げとう、すぐる?」
     高くもなく低くもない、よく通る声に名前を呼ばれたとき、生まれて初めて、心が震えた。
     そんなものが私にも存在していたのだと初めて知った。

    「君は、奇特な存在だ、悟」
     ベッドの上、小さな寝息をたてる白銀を、起こさないようにそっと撫でる。うつ伏せの顔の前には、この前他のクラスメイトに借りたと言っていた漫画が開きっぱなしになっていた。
     入学してから数ヶ月、私は基本的には何も変わっていない。
     相変わらず、同級生とも、先輩とも、教師とも、一定の距離を置いて過ごしている。会話はする。話しかけられれば応える。でも、それだけだ。踏み込むことも踏み込ませることもしない。
     一方の彼は、まるで私とは正反対の存在だった。
     目立つのは外見だけでない。賑やかな言動や誰であっても物怖じしない態度に、反感と同じだけ好意も寄せられている。今ではクラスのムードメーカーで人気者だ。
     本来なら絶対に、私とは相容れない種類の人間だ。それなのに、ただひとり、そんな彼だけが例外になった。
     ひとりで居ようとする私に、ウザいくらいに絡んでくる。鬱陶しいと突き放そうとしながらも、心の底から嫌がっていないことに私自身が1番驚いた。
    「なぜだろうね」
     考えても、答えはわからない。それでもやっぱり今共にあるこの時間が、悪くはないと思うのだった。
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    oh_sawasawa

    MOURNING元々は夏五ワンドロワンライのお題に興奮して書き始めたものでしたが、全く1時間で書けるものじゃなくなったので、こちらで供養。
    ちなみにお借りしたお題は喀血です。
    かなり派手に吐いているので苦手な方はご注意ください。
    モブのおじいちゃん先生捏造。
    体の関係に言及していますが、具体的な描写はないので15歳以上の方はお読みいただけます。
    「感染するとかありえなくね? 他の奴らはともかく俺には無下限あんだし」
     五条は無意識に拾った枯れ枝をグラウンドの向こうに思い切り投げつけながら不機嫌に口を尖らせた。
    「ただの結核ならね。呪霊が関連してるとなると話は別なんじゃない?」
     家入は階段の端のわずかな木影を陣取って紫煙を燻らせている。
     梅雨の薄い晴れ間。さすがに蝉はまだ地面から這い出してはいないようだが、雲間からじわじわと照りつける太陽の反射が二人の制服のシャツに微かなしみを作っていた。
     午後は体術の時間で仕方なくグラウンドに出てみたものの、この二人では特にやることもない。監督の夜蛾も上層部の呼出しで離席しており、実質休講のようなものだ。
    「それにしたって、連絡も取らせないとか横暴だろ。俺だったらとっくに脱走してる」
    10003

    RoJuriri

    DOODLEあの世の公衆電話から硝子と悟に傑から電話がかかってくる話
    Call me机上のスマホがけたたましく鳴り響いていた。
    漫画ならば、ぶるぶると震えたスマホがPrrrという効果音とともに躍り上がっているところだろうが、あいにくここは漫画の世界ではない。スマホが一人でに動き、手元に来てくれるはずもなく、手を伸ばして電話に出るまでバイブレーションとベルが鳴りやむことはなかった。
    スマホの持ち主である家入硝子は寝不足だった。太陽が肌を刺すほど照りだしているこの季節は、台風などの大雨による水害、プールや川、海などでの水難事故が多発し、呪霊が蛆のように湧きやすい。その結果呪霊による被害が増加し、現地へ派遣される呪術師の数も増加していた。呪いにあてられた被害者、または祓除中に負傷した術師など、必然的にけが人の数も増加し、比例して術師で数少ない反転術式を使え、それをアウトプットでき、医療職を生業としている硝子の仕事も多くなる。けが人だけでなく、なかには術師の到着が間に合わず死亡してしまう被害者もおり、彼らの死体を解剖し原因究明に努めることも硝子の仕事であった。治療をしては検死の日々に万年寝不足であるこの身体もさすがに悲鳴を上げていた。そんな中唯一取れた休日に惰眠を貪れるだけ貪ろうと考え、ベッドの中でうとうとしていた矢先にこの仕打ちである。硝子の機嫌は地面を突き破るほどに降下していた。急患が来たのであれば対応しなければならない、仕事へのプライドただその一心のみで硝子はスマホを手に取った。
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