伊月兄妹とKKの家の話【始まり】
「やっぱりキッチンはちゃんとしたところがいいな。コンロ一つじゃ足りないからね」
「そうだね。三人分の食事作らないとだもんね」
テーブルの上に所狭しと置かれた物件情報を見ながら、楽しそうに会話をしている男女。
それを見ているのはどう軽く見積もっても40前後の男性一人。無精髭を生やしていて、火のついていない煙草を咥えてブラブラと揺らしている。火をつけないのはそこで話している男の方に部屋で吸うなと厳しく言われているからだ。
男―KKは煙草を指で摘まんで口から離してから「なぁ」と声を掛けた。
すぐに二人ともKKの方を向く。
男女は兄妹だ。伊月暁人とその妹・麻里。
兄の暁人は切れ長の瞳に口角の上がった唇を持つ中々の美形。
麻里は大きな瞳が印象的な可愛らしい美貌の持ち主だ。
顔の整った兄妹が一斉にこちらを見るのは中々の迫力だ、と毎回思う。
「お前ら、家探してんだよな?」
兄と妹は同じような仕草で首を傾けてから「そうだよ」と口を揃えて言った。
ここはKKが寝床にしているアパートの一室だ。
超常現象を科学的に研究しているチームのアジトなのだが、そこの一室に寝泊まりさせてもらっている。
胡散臭いと思われるだろうが、超常現象は結構身近なところにある。
丁度半年前も怪奇現象が渋谷の街を襲った。
ある男が妻の死を目前にしてそれを歪んだ方法で回避しようと目論んだ。
あの世とこの世を繋げて、『死』という概念を消そうとしたのだ。
その為に、あの世の霧をこちらへ引き込み、人間を魂だけの存在へと変えた。何万と言う魂の質量で次元の違う世界をこじ開けようとしたのだ。
元々超常現象の研究チームにいた八雲凜子、エドやデイル、絵梨佳といったメンバーでその男を阻止しようとKKは動いていた。
だが、男によって殺された。魂だけの存在になったKKは、バイク事故に遭い瀕死だった暁人の体に入り込んだ。
運命の悪戯か、火事で意識不明になった妹は黒幕の男によって拉致。
KKと暁人の目的は黒幕の男を追うという共通のものとなった。
幽霊や妖怪、化け物のいる街を一つの体に二つの魂を宿した状態で駆け抜けた。
最初は反発し合っていたが、お互いの悲しみや後悔など、心の柔らかいところに触れ合い、いつしか相棒という間柄になった。
暁人の素直で優しく、まっすぐなところにKKは何度救われたか分からない。決して本人には言わないけれど。
そうして黒幕の男の野望を打ち砕き、街は平穏を取り戻した。
そこでKKは終わりだと思っていたが、そうはいかなかった。
あの世とこの世が一時でも繋がる訳にはいかないらしい。そうした事実はなかったことになる。
儀式を阻止した瞬間から、儀式はなかったことになった。
街を襲った霧など始めからなかったことになる。
ただ少しの間、人々の意識がなくなった、ということになったらしい。だから、あちこちで事故等が起こってはいるが、人の肉体が消えてはいないことになった。
あの夜、幽霊になった人々を全て救ったことも影響したのかもしれない。
なかったことになったからか、黒幕の男を除いて関係者は全てこの世に戻ってきた。もちろん肉体を持って、だ。
不思議なことに、あの夜の記憶は全員ある。
凜子たちは研究しがいがあると張り切っていた。
この世に戻ってきたなら、生活は続いていく。
入院していた麻里も目を覚まして、あっという間に元気になった。留年にはなるが、復学予定。
火事の後、暁人は1人で暮らしていたが、これからは麻里がいる。と、いう訳で物件探しをしている訳だ。
何故かKKたちのアジトで。
しかも、「はい、KKもここに座って」と言われて座ると物件情報を渡された。
チラリと見れば、3部屋はある物件ばかりだ。
そこでKKは首を傾げた。
兄と妹で住む部屋を探しているはずなのに、何故3DKか3LDKばかりなのか。何故、自分にまで物件情報を渡されているのか。
「いやいや、お前ら二人で住むんだろ?」
「え?」
「え?」
兄と妹の声が見事にハモる。
「だってこの前、KKもこのアジトとは別の部屋借りるって言ってたよね?」
「言ってましたよね?」
「あー……確かに言った。言ったが……」
「僕が『一緒に住むのもいいかもね』って言ったら『それもいいな』って言ってたじゃん」
「言ってましたよ!」
兄と妹が「ねー」と顔を見合わせる。仲いいな。
確かにそんな会話をした気がする。
あの夜を越えて、KKにも色々と心の整理がついた。家族と別れてから、割と荒れた生活をしていた自覚はある。離婚の際、金は纏めて渡したから、たまの連絡くらいが家族との繋がりだった。
もうどうでもいいと酒と煙草の量も増え、生活の拠点はこのアジトの一室。
それではだめだと他の部屋を探して、もう少し地に足のついた生活をしようとは考えていた。最近では、別れた家族とも以前よりは連絡もしている。
「いや、あれは冗談……だろ?」
言った瞬間、二人から「えー!」と不満気な声が上がった。
「嘘だろ こっちはもう三人で住む予定なんだけど」
「そのつもりで色々情報貰ってきたんですよ」
「お、お前らなんて言って貰ってきたんだよっ! 血の繋がりもねぇおっさんと住むとか言ってねぇだろうなぁ」
「えっ、なんてってそりゃ……なぁ、麻里?」
「ねぇ、お兄ちゃん。信頼できる大人と住みますって」
「いやいやいや、ちょっと待て。確かに情報取る段階だとそれでいいのか? いやいや、よくねぇだろ。不動産屋変えろ」
「色んなところに行ったから大丈夫だよ。どこも信頼できる大手のとこだし」
「そう、そうじゃねぇよ。いやいや、待て。本当に待て」
「何か問題あります? KKさん」
兄妹揃ってまたコテンの首を傾げる。その可愛い顔にはきょとんと文字がつきそうな表情を浮かべていた。
「問題大ありだろ。年頃の娘がいる家にこんなおっさんが転がり込むなんざ言い訳ねぇんだよ。もっと考えろ」
「でも、KKだし。なぁ、麻里」
「KKさんだし。ねぇ、お兄ちゃん」
心底、何が悪いか分からないといった顔だ。
KKは頭を抱えた。
信頼してくれるのは有り難い。伊月兄妹はKKにとっても大切な存在になっている。
だが、やはり一緒に暮らすのはあまり良くない気がする。
KKにとって、相棒である暁人は大切な存在だ。相棒、それ以上の気持ちがある。多分、暁人もKKに対して同じような気持ちを抱いている。これは確信に近い。
暁人の体に入っていたからか、なんとなく分かってしまう。それだけ繋がりは深い。
決定的なことはまだ言っていない。暁人もそれは同様だった。
なんとなく両想いだということは自覚している。少なくともKKは。だが、まだふわふわとした気持ちを楽しんでいる。
この関係にもう一つ付け加えることになるのは、そう遠くないはずだ。
そういう相手と一つ屋根の下。しかも女子高生の妹が一緒。
いやいや、良くはない。
「ちょっとベランダで煙草吸ってくる」
伊月兄妹は反対側に頭を傾けている。不思議そうな顔だ。なんでだ。
暁人がアジトに出入りしてから、部屋は割と片づけられている。同時に『煙草はベランダで』だとか『食べたらここに捨てる』といったルールが明確になった。片付けを担当して貰っているからと、この暁人ルールはしっかり守るようになっている。
カラカラと窓を開けてベランダへ。
咥えていた煙草にようやく火を付けて大きく吸い込んだ。
二回程吸っては吐いてを繰り返したところで、麻里がひょこりとベランダに顔を出した。
KKと同じようにベランダに出てくると、隣に立つ。
「……どうした?」
聞くと、その大きな瞳がジッとKKを見る。
なんだか落ち着かなくて、視線を外して煙草の煙を吸い込んだ。
「KKさん、お兄ちゃんのこと好きでしょ?」
急に言われて、煙が変なところに入った。
ゴッホゴホと咳と共に煙を吐き出す。吸い始めでも噎せなかったのに。かなり動揺しているらしい。
「お、おまっ……」
「いいんです。分かってるから。お兄ちゃんもきっと同じ気持ちだもん」
「あ、あのなぁ」
「女の勘ってやつです。私はいいと思う。お兄ちゃん、甘え下手だし、年上のKKさんみたいな人が丁度いいんですよ」
ニコッと悪戯っぽく笑う麻里に、KKは何も言えなくなった。
「あのね、私あと二年高校行くんですよ」
「そう、だな」
「高校卒業したら大学には行こうと思います。でもね、まだどういう形かは分からないけど、お兄ちゃんとの家からは出ようと思います」
「はっ」
思わず大きな声が出た。
「だってお兄ちゃん結構過保護なんですよ。まぁ、今までのこと考えたら当然かもしれませんけどね。でも、それだと良くないじゃないですか。お兄ちゃんにとっても、私にとってもね。それ以上一緒にいたら、本当に離れられなくなっちゃいそう。それじゃ嫌なんです。私もしっかり自分で立って幸せになりたいし、お兄ちゃんにも幸せになってほしい」
ここまでしっかり考えていたなんて、と少し驚いた。
「お兄ちゃんにはまだ言ってないけど、絶対同居は解消します。そしたら、お兄ちゃん寂しいと思うんですよね」
「まぁ、そうだろうな」
「だから、傍にいてあげてほしいんです。もうそのつもりだろうけど、もっとこう生活に密着する形で傍にいてあげてほしいなって。強がっちゃうとこあるから、強引にでも傍にいて貰った方がいいかなって思ったんですよね。そしたら私も安心だなって」
なるほど、それで同居の話に繋がるのか。
麻里の考えは分かった。
「お兄ちゃんはどうだろ。KKさんと同じ気持ちだろうけど、自覚してるのかは分かりませんよね? 一緒に住むのも本当に信頼してる大人だからって感じかも」
「あー、まぁ。そうだろうな」
二人で顔を見合わせてフッと笑う。
「KKさん」
「ん?」
「お兄ちゃんのこと、よろしくお願いしますね」
兄と似ている顔で笑っている。
KKも小さく微笑んでから、ベランダに置いてある灰皿に短くなった煙草を押しつけた。
「そう言われちゃ頑張るしかねぇな」
「よかった。それじゃ、同居を……」
「いや、それとこれとは話は別だ」
「えぇ~」
残念そうな声を背中で聞きながら部屋に戻った。
その後、話を聞いていた凜子たちの説得もあって、同居はどうにか回避。
代わりに、KKの部屋は伊月兄妹が暮らす部屋から近い場所で部屋を探すことになった。
そうした紆余曲折を経て、一か月後。
同じマンションの7階にある2LDKの部屋に暁人と麻里、1階にある1DKの部屋にKKが住むこととなった。
アジトにも行きやすい距離で、中々いい条件だった。
こうして、伊月兄妹とKKの新しい生活が始まったのである。
【アジトメンバーと兄とKK】
学校帰りにアジトへ寄るのが日課になっている麻里は、今日も今日とてアパートの階段を上って部屋へと入った。
すでに絵梨佳が来ていて、宿題や課題をテーブルに広げている。このテーブルは以前、色々なものが乗っていたが、麻里の兄である暁人が率先して片付けた結果、こうして使えるようになっている。
「こんにちはー」
声を掛けると、奥の和室にいるエドがいつものようにパソコンの前に座りながらもボイスレコーダーを起動させて『おかえり。よく来たね』と返事を返してくれる。
絵梨佳も笑顔で「おかえり~」と応えてくれた。
なんだかもう家族のようだと嬉しくなる。
エドと絵梨佳以外は仕事で出ているようだ。いつものことだから気にしない。あと一時間くらいすれば暁人も来るだろう。
「麻里ちゃん、ちょっと生活落ち着いた?」
「うん、落ち着いたよ。引っ越しはみんなに手伝ってもらったから早くすんだしね。ありがとう」
「当然だよぉ。今度泊まりにいきたーい」
「もちろんいいよ。いつも凜子さんと絵梨佳ちゃんの家にお泊りさせてもらってるし」
麻里も自分の鞄から課題を取り出しながら微笑んだ。
ニコニコと笑っている絵梨佳だが、ちょっとそわそわしながら顔を赤くして身を乗り出してきた。
「ねぇ、ちょっと気になったんだけどさ」
「うん」
「暁人さんとKKってどうなってんの?」
「あぁ、まだ付き合ってないみたい」
「まだなんだ~。もうつまんないなぁ。はやくくっつけばいいのに」
絵梨佳が勢いをつけて椅子の背へと倒れ込む。
最近の関心事はもっぱらこのことだ。女子高生と恋話は切ってもきれないものなのだ。
「なんだ。まだモダモダしてるんだな」
二人の上から声が降ってくる。いつの間にか凜子が帰ってきていたらしい。
「あ、おかえり。凜子」
「おかえりなさい。凜子さん」
「あぁ、ただいま」
凜子は表情を緩めて、二人の頭を交互に優しく撫でた。
麻里にとって頼りになるお姉さんといった人だ。
「お兄ちゃん、絶対KKさんの分のご飯も作るんですよ。KKさんも何時頃帰るとか連絡をお兄ちゃんに入れてるみたい。で、連絡が来たらいそいそと一階まで届けにいくんですよね」
「暁人さん、健気だよね~。尽くすタイプなのかな」
「で、行く前のお兄ちゃんが面白くてね。汗くさくないかなとか、やっぱり着替えていこうとか、鏡の前で髪形も整えたりしちゃって、本当にデート行く前みたいなの。毎日だよ」
「可愛い、暁人さん。きゅんとしちゃうよぉ」
「そうだな。でも、あまり尽くしすぎるのもね。あの男が調子に乗りかねないわよ」
絵梨佳はきゅんきゅんしているらしく、胸元を抑えている。
凜子はやっぱりKKには厳しかった。
それが面白くて麻里は小さく笑う。
「ちなみに、お兄ちゃんにそのこと指摘したら『え? 俺そんなことしてる?』だってさ」
「無自覚なんだ~」
「こりゃ、KKがどうにかしないと事態は動かないわね」
やれやれといったように三人は苦笑した。
そこに大きな音をたてて玄関のドアが開き、KKが入ってきた。
「あっちぃ~。外出るのも一苦労だぜ」
三人の生暖かい視線がKKに注がれる。
女三人からの圧を感じてか、KKは変な顔をしながら「な、なんだよ」と後ずさった。
こういうやり取りをする日常を麻里は結構気に入っている。
兄の恋路を見守る同志たちがいて楽しい日々だ。
【関係が進む時】
伊月兄妹の暮らす部屋にあるダイニングテーブル。そこそこ大きいのは、一階に暮らす兄の相棒が買ってくれたものだ。
年上、バツイチ、子持ちの男はKKという。
大学に行く兄、暁人のバイト先での相棒であり、頼れる大人だ。
妹である麻里にとっても信頼できる大人だった。
ある夜を境に、伊月兄妹の日々は変わっていった。火事でこん睡状態だった麻里は、目覚めると色んなものが視えるようになった。
妖怪、幽霊、化け物。色んなものが視える。『適合者』というらしい。
そういうものを研究している人たちの手伝いもしている。
特にKKは実験台として力を埋め込まれていて、戦闘能力がズバ抜けている。
そんなKKを暁人はサポートしているようだ。高い身体能力と器用さで活躍しているらしい。
KKのことを暁人は慕っている。相棒として、というより想いを寄せる相手として。
つまり恋している。それは誰の目から見ても明らかだ。研究している人たちの集まるアジトでは知らない者はいない。
ちなみにKKも暁人を想っていることも全員知っている。
両片想いというやつだ。
暁人は最初こそ無自覚だったが、近頃ようやく自覚したらしい。
テーブルに話を戻そう。
今、テーブルの上は所狭しと食べ物が乗った皿が置かれている。
とんかつ、からあげ、エビフライ、メンチカツ、竜田揚げらしきものもある。
揚げ物ばかりではない。筑前煮とかほうれん草の白和えとか、ポテトサラダもあった。生姜焼きもあるし、焼きそばもある。お好み焼きもあれば、ツナサラダもあった。
多種多様な料理が並ぶ。ちなみに今は春巻きが置かれた。
「お兄ちゃん、また」
思わず大きな声になってしまった。
麻里は呆れたように暁人を見る。
暁人はムスッとした表情でキッチンへ向き直った。
「KKさんと何かあった?」
「別に、何もない」
「嘘。お兄ちゃん、KKさんと何かあるたびに大量に料理作るじゃない」
くるっと麻里の方を向いた暁人は顔を真っ赤にして口をへの字に曲げている。
こんな兄は珍しい。いつもは麻里の前では兄として格好つけているのに。
「……依頼人がすごく綺麗な人で、KKと年が近いから話も合って楽しそうだった。その人もKKもまんざらじゃないって感じでさ」
「お仕事なんだから丁寧に接してただけじゃないの?」
「僕だけ帰されて、二人でどっか行っちゃったよ」
「あ、あぁ。そう、なんだ」
正直、フォローのしようがない。麻里はその場面を見てきた訳ではないし、どういう事情があるのか分からないからだ。
どうしようかと思案している内に、暁人が大きなため息を吐き出した。
「もう、いい。とりあえずこの料理、KKの家の冷蔵庫に詰め込んでくる。しばらくあっちには行かない」
「あ、そうなんだ。夕食じゃないの?」
「夕食だよ? でも、食べきれないだろ。夕食分と明日のお弁当分だけ別にするから、食べたいものとか自分で分けて」
「明日のお弁当も豪華になるね」
「たまにはいいだろ。で、他は詰め込んでくるから」
そう言いながら、暁人は保存容器をいっぱい出してくる。
KKの部屋に、麻里はあまり行かないが、確かそんなに冷蔵庫は大きくなかったはずだ。
詰め込まれた料理を見て、きっと驚くだろう。
兄の作る温かい料理を食べずに、あの人は何日我慢出来るのだろう。それにはちょっと興味がある。
さて、料理の入った大量の保存容器を抱えた兄はKKの部屋に行って、すぐには帰ってこなかった。
『先に寝てて』という連絡が来たっきり。
次に姿を見たのは二日後の朝だった。
どうやら『綺麗な依頼人』というのが性質の悪いモノだったらしい。
なんとか倒したようだが、術を掛けられていたとかなんとか。
その呪いを解く為に、兄は相当頑張ったらしい。
この日から、二人の距離はさらに近くなったし、甘ったるい空気が流れている。
どういう呪いだったのかはすぐに察することが出来た。KKが暁人を遠ざけた理由と解呪の方法も、だ。
もちろんアジトメンバー全員が理解した。
まさか怪異切っ掛けで関係が進むとは思わなかった。
まぁ、あの2人らしいといえばらしいのかもしれない。
何はともあれ、幸せそうな暁人を見ているのはいいものだ。
麻里はちょっとだけ怪異に感謝した。
怪異がなければ、あと半年はもだもだしていただろうから。