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    ウジムシ蛾

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    ウジムシ蛾

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    えへへ、仲良くしてもらってるちぐさんのお誕生日に捧げた小話でございます~!お誕生日おめでとうございます!!!! やっぱモブ視点の推しカプはなんぼあってもいいですからね!アプデがきてから、色々、そりゃもう色々な幻覚が捗っております。お陰様で情緒もむちゃくちゃになっちゃう!!!!ありがたい!!!! K暁が仕事で関わっているお寺のお坊さん視点とかも、いいよね!!!!

    #腐向け
    Rot
    #K暁

    ある書店員のお話【モブ視点K暁】本屋でのバイトもそろそろ三年。
    大学に行きながら、好きな本に囲まれる生活は悪くない。店舗もそこそこ大きいから、忙しくはあるが、好きなものに関われるのは幸せだ。
    色んな人たちが来る本屋。
    いい人も嫌な人もいっぱいる。
    さて、そのお客様の中で気になる人物がいた。
    涼しげな目元のえらく顔の綺麗なお兄さん。おそらくは近くの大学に通う大学生。つまり同じくらいの年だろう。
    口角が上がっているからかクールな顔立ちなのに、近寄り難さがない。それに声と話し方が柔らかくて、そこにギャップがあって男の俺でもドキッとした。
    前はたまに友人、時々妹さんらしき人と来ていた。だから、心の中で「お兄さん」と呼んでいる。同学年だとわかっているが、なんとなく「お兄さん」という言葉が似あう。
    しばらく来ていなかったのだが、最近また来てくれている。どうしたのだろうと少し心配だったから、また顔を見れてホッとした。
    そこで気付いた事がいくつかある。
    以前は雑誌や授業に使うような専門書、参考書などを買っていた。だが、今は小説を中心に見ているようだ。
    一緒に来るのも、年の離れた男性と共に来るようになった。
    どうも彼の生活に変化があったらしい。
    こういうことは、お客さんを見ているとよくある。交友関係の変化は意外と本屋でもわかるもんだ。
    仕事関係の上司というには近しい気もするし、飲み友達というには健全な気がする。年の離れた友達、が一番いい気はするけれど、ちょっと違和感。
    どういう関係? いや、本当に。
    担当している棚ある本の補充。棚の下にある引き出しから出して並べる。足りなくなったら、裏から持ってくることも。在庫確認しておかないとな。
    しゃがんで引き出しから取り出していると、積んである本がぐらりと傾いてしまった。慌てて支えるが、一冊だけ床へと落ちる。あーあ。
    支えた方をとりあえず整えてから、落ちた本を取ろうとした時だった。
    影が落ちる。
    あ、と思った時には、落ちていた本が拾いあげられていた。
    綺麗な形の長い指がそれを拾い上げる。
    手から腕をなぞるように顔を上げた。そこにはあの「お兄さん」が立っている。
    「あ」と思って固まっていると、「お兄さん」は不思議そうに首を傾げた。

    「あの、落ちましたよ」
    「あ、あ、すみません! ありがとうございます!」

    慌てて受け取る。近くで見る「お兄さん」の手はしっかりとした青年のものだった。同性のものだというのに、どうも色気があるというか、ドキッとする。
    受け取ってからも、つい「お兄さん」の手をジッと見てしまう。

    「おい、どうした」

    「お兄さん」の奥から低く渋い声が聞こえた。
    あ、最近一緒の人だ。
    ハッとして再度お礼を言うために立ち上がった。

    「KK。本が落ちてたから拾ったんだよ」
    「へぇ、そうか。大丈夫か?」

    年上の男性は、「お兄さん」と慎重はそう変わらないのに、もう少しがっしりとしている。
    たれ目っぽいのに、眼光が鋭い感じ。顔立ちは優しそうな気もするのに、全体的な印象が強面。眉間にある皺のせいだろうか。っていうか、この人堅気?そういう関係の方、じゃないよな。
    「お兄さん」の周りの空気がふわっと柔らかいものになるし、にこにこしているから、多分怖い人ではないようだ。多分。

    「だ、大丈夫です。ありがとうございます」

    もう一度お礼を言ってから頭を下げた。
    顔を上げると、思ったより「お兄さん」が近くにいる。
    やっぱり綺麗な顔だなぁ。でも、なんか可愛い。
    思わず見つめていると、「お兄さん」の眉毛がきゅっと上がって小首を傾げた。えー、仕草かっわいい。
    瞬間、首筋がぞわりとした。
    目線をお隣の年上男性に持っていくと、物凄い怖い目でこっちを見ている。ひえぇ。

    「おい、本は大丈夫なんだろ?」
    「ひ、ひゃい!」
    「じゃ、行くぞ。暁人、この間読んでた本の作者の新刊でたっつってたろ」
    「あ、そうそう。前のはKKに紹介されて面白かったからさ。今度は僕が買おうと思って」
    「いいって。俺が買う」
    「えー、僕が先に読みたいから僕が買う」

    「お兄さん」は一度、こちらに会釈してから男性の後をついていく。
    並び立つ「お兄さん」の腰に男性の腕が巻き付いて、軽く引き寄せた。
    あ、わかった。そういうご関係なんだ。
    ドキッとする雰囲気というか、色気はそういうこと。誰かのものっていう独特の空気。
    年上の男性がチラリとこっちを見る。多分、鼻で笑った。
    「いいだろ、俺のもんだぞ」って。
    こちらの気持ちに目敏く気づいたってことだ。こういうことが多いんだろうな。
    気になる「お兄さん」のこと、結構好きだったんだと今更気づく。
    もうちょっと前に声を掛けていたなら、何か変わっていただろうか。
    仲良さそうな後姿を見送りながら、そんなことを考えていた。


    END

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    ウジムシ蛾

    DONEえへへ、仲良くしてもらってるちぐさんのお誕生日に捧げた小話でございます~!お誕生日おめでとうございます!!!! やっぱモブ視点の推しカプはなんぼあってもいいですからね!アプデがきてから、色々、そりゃもう色々な幻覚が捗っております。お陰様で情緒もむちゃくちゃになっちゃう!!!!ありがたい!!!! K暁が仕事で関わっているお寺のお坊さん視点とかも、いいよね!!!!
    ある書店員のお話【モブ視点K暁】本屋でのバイトもそろそろ三年。
    大学に行きながら、好きな本に囲まれる生活は悪くない。店舗もそこそこ大きいから、忙しくはあるが、好きなものに関われるのは幸せだ。
    色んな人たちが来る本屋。
    いい人も嫌な人もいっぱいる。
    さて、そのお客様の中で気になる人物がいた。
    涼しげな目元のえらく顔の綺麗なお兄さん。おそらくは近くの大学に通う大学生。つまり同じくらいの年だろう。
    口角が上がっているからかクールな顔立ちなのに、近寄り難さがない。それに声と話し方が柔らかくて、そこにギャップがあって男の俺でもドキッとした。
    前はたまに友人、時々妹さんらしき人と来ていた。だから、心の中で「お兄さん」と呼んでいる。同学年だとわかっているが、なんとなく「お兄さん」という言葉が似あう。
    1987

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