斎土はじめて物語(仮) つき合い始めて四回目のデートは、家デートに決めた。
三度目のデートでは休日の博物館へ行った。土方は刀剣に興味があるらしく、ケース越しに重要文化財の銘刀を見下ろしていた。その赤い目の輝きだけで、斎藤は幸福と劣情を覚えた。
ちょっとランクの高い居酒屋で気分よく酔い、「女じゃねぇんだから」という言葉を振り切って玄関口まで送った。靴を脱いだ土方は上がりかまちで振り返り、屈んで斎藤に触れるだけのキスをした。
「あの、期待してもいいんですか」
「野暮言うな」
からかうような形の笑みを作る土方を、その場で押し倒してしまいそうになったが、斎藤はありったけの自制心を発動して耐えた。
「あの、次は、土曜日に、うちで……」
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